第32話 体育祭実行委員会
時は7月5日まで進む。空白の3日間は期末テストだった。テスト前に職員室に通されていたのは驚きだがもう終わったことだ。
今日は体育祭実行委員会議があり、俺を含めた委員は会議室に集まっていた。
「生徒会会長及び体育祭実行委員長の沖田だ。よろしく頼む」
議長席から腰を上げ軽く礼をする沖田会長。どうしてあんな弟が出来てしまったのだろうか。
この会議の中で知っている顔は会長、美玖、そして手伝い人を引き受けてくれた莉櫻の3人だ。……そもそも1年生なのだから知らなくても仕方がないと思う。
「それでは会議に入る。まず学年ごとで班を作り、合計3つの班で仕事にあたる」
班を作るのは賛成だ。年上と一緒にというのは肩身が狭い。あと雑用を押し付けられるのはごめんだしな。会長がそこまで考えているかはわからないが俺にとっては得なことだ。
「予算などは生徒会で何とかする。この委員会ではどう盛り上げれるかを考えて欲しい」
すると、ここで1人手を上げる者がいた。会長は手を伸ばして発言を促した。
「今までの種目、売店などをすべて変えてしまっても問題ないという事ですか?」
気弱そうな顔に反して言葉はやる気を見せている。恐らくは2年生だろう。会長に敬語だし。
「あぁ。全く問題ない。というよりも今回の生徒会は改革を望んでいる」
生徒会は、と示したことで自分だけではないと言いたいらしい。例年を知らない俺にとってはあまり関係のないことだが。
「自由という事ですね」
「考えるのは自由だが、ここの会議を通して決定することを忘れるな。2年生班は案だしを頼む」
釘を刺しておくのも忘れない。ここが会長を会長とさせる理由の一つなのかもしれない。
ならば初参加である俺達1年生にはどのような役割を与えてくるのだろうか。
「3年生班は売店などの来客者が楽しめる施設の調査を頼む。。1年生班は生徒会と行動を共にしてもらう」
おっと雑用かな?俺としては楽にできる仕事の方がいい。部活もあの2人だと不安だしな。
「班で1人、代表を決めてくれ」
来たぞ。俺の一番嫌いなやつ!参加せずに一歩引いて決まるまでじっとしていよう。うん。そうしよう。
「誰にする?私は山岸くんがいいと思うんだけど」
初手。山岸くんと呼ばれた人物が推薦された。ちなみに誰がどんな名前なのか等さっぱり分からない。
「俺は潤平を押すよ。切れ者だよ。意外かもだけど」
莉櫻が俺を推してきた。やめてくれない?!山岸くんで良いじゃん。代表とか面倒くさいしさ。
しかし思うことが出来ても口に出すことが出来ない俺は黙ることしかできなかった。
「山岸くんどうする?」
どうやらこの女は山岸くんとやらの手伝い人らしい。他のクラスの人は誰も入ってこようとはせず、いつの間にか俺と山岸くんというより、この女と莉櫻の一騎打ちになっている。
「正直やりたくないから助かる。辞退させてもらうよ」
何ともまぁ。……あっさりと退いてくれたようで。俺が代表をしなければならなくなった。莉櫻としては善意でやったことだろうから怒ることもできない。
友達と付き合う上での苦労である。
「決まったようだな」
会長の一言で俺は口を挟むチャンスを失った。1年生代表は俺、2年生代表は先程の挙手をしていた人、名前を東野真。自己紹介で聞こえた。3年生代表は安定の沖田会長だ。
「……はぁ、どうしてこうなった」
「潤平なら余裕でしょ」
「……過労死のピンチだ。向こうに美玖が見える」
「実際にいるから」
莉櫻とふざけていると会議は終了となった。断じて俺らがやらかしたわけではない。たまたまだ。
「代表は残ってくれ」
会長か代表かどちらで呼ぶべきか迷ったが俺は今まで通りに会長と呼ぶことにする。
俺の手伝い人である莉櫻は別に帰っても構わないと会長に言われていたが残る方を選んだようだ。
「久しぶりだな。再起部部長」
「……お久しぶりです。会長」
莉櫻と東野先輩はえ?という顔をしていた。それもそのはず、俺と会長は先の部活動総会で口戦した間柄というのはそこに居た各部活の部長、キャプテンしか知らないことだ。
「立て直すとは流石だな。やはりあの先生が見込んだ男という事か」
「……そんな大層なものではないと思いますけど」
未だに大原先生が俺に関わってくる理由は分かっていない。会長は何か知っているようだがまだ訊かない。
「会長。要件は何でしょうか」
東野先輩が区切りを見つけ出して強引に話を戻した。
「代表には生徒会とのパイプ役になって欲しくてな。念押しというやつだ」
俺の勘だがこの言葉は嘘ではないが真実でもない気がする。まだ本音を言っていない。そんな感じ。
「わかりま「……まだありますよね」
遮るようで悪いがここで終わらせては困る。
会長は我が意を得たりというように俺に視線を向けた。……どうやら的中したようだ。
「底がまるで読めないな。いったいどこからそんな思いが出てくるのか」
勘です、とは流石に言えない。俺にも小さいが面目というのがある。ここは大きく過大評価してもらおう。
「……なんとなく、ですかね」
「潤平はおかしいところがありますか」
おい、莉櫻。チラッと莉櫻を見ると期待した眼を向けられた。手伝い人が過大評価をしてどうするんだよ。
「どういう事ですか?」
会長は雰囲気をビリッとした感じへと変えた。俺を含めた3人は全く予期していなかったために息を呑むことしかできなかった。
「今回の代表にはパイプ役以外のほかの需要は無い。そこで風紀委員への編入を言い渡す。これは校則第20項生徒会長権限によるものである」
途端に面倒になった。風紀委員?体育祭実行委員と再起部だけで狂うほど忙しいのに?冗談ではない。
「……校則第21項、生徒の尊重に違反している。俺は掛け持ちが3つになる」
「潤平……そんなの覚えてんの?マジか」
俺の必死さが伝わったのか会長は腕を組み、悩む素振りを見せた。
「手伝い人にやらせればよいのでは?」
成程。そうしよう。
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