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コミュ障になった俺とコミュ障だった彼女の不可解な生活  作者: 戦告
第二章『ダブルカップリング』
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第28話 ダブルカップリング9

 俺達は再び歩いていた。莉櫻から告げられた話は別にイチャイチャしていたとかではなかった。


「……そういう事なんだろうな」


 ただ楽しんで回っているだけ。その楽しみ方が莉櫻と真鐘では真逆に違ったようだ。

 莉櫻は驚きはするものの全てをじっくりと楽しみたいらしく長居するらしい。対して真鐘は最初の方が平気な顔をしているが段々と怖くなっては走り抜けていくらしい。そのため、真鐘はひたすら莉櫻にくっついて……ん?くっついて?


「……莉櫻、イチャイチャすんな」


 たまたま近くに居たので小突いておく。莉櫻はふぎゃと変な声を出した後にらんできたが全てを悟ったようだ。


「遅いな。あまりにも考えてたから2人は先に観覧車のるってさ」


「……お前のせいだ。反省しろ」


「はいはい。って急がないと一緒に乗れない」


 陰キャラの俺に走るなんて重労働はきついのですが。はっきり言って3歩走れば血圧上昇で昇天しちゃう。

 勿論冗談ではあるが、あまり走りたくないのは本音である。


「潤平急げって。愛する美玖ちゃんと乗れないぞ」


「……うるせぇ。真鐘と乗りたいだけだろ」


「勿論それもある。だってもう恋人だからな」


「……よく恥ずかしげもなくそんなことが言えるな」


「O型だから?」


「……それは俺も一緒だ」


 思わぬところで莉櫻の血液型を知った。真鐘の血液型はAB型だった気がするな。あの新山さんが作ってくれた書類に書いてた気がする。

 走りながら言い合っていると大きな観覧車が目に飛び込んできた。流石、新しいというべきだろうか。汚れは一切なく、金属光沢が輝いている。


「潤平君!こっちこっち!!」


 分かったから大声でこちらに手を振らないでください。恥ずかしい。……あと莉櫻も呼んであげて欲しい。

 俺達は暫く待ってから観覧車に乗り込んだ。席順は俺から見て左に美玖、真の前に真鐘、その真鐘の隣に莉櫻がいる。


「今日は楽しかったね」


 美玖の言葉だ。だが俺は安易に頷くことが出来なかった。


「……どうした?何かあったのか?」


 美玖の眼元が赤い。恐らくは泣いた後だろう。俺が泣かせてしまったのかと記憶をたどるが該当するものは見つからない。


「あのな、お前らがトイレに行っている間に……」


「だめっ!もう解決したからいいの。心配かけたくないから言わないで」


 この時点で俺は死ぬほど心配しているのだがそれを分かってはくれないらしい。


「わ、わかった。美玖がそれで言いていうのなら」


 真鐘も美玖に弱いらしくあっさりと引き下がる。


「潤平のアドレス教えてよ」


 唐突に変な事を言ったのは莉櫻だ。その手には携帯が握られている。この場の雰囲気に耐え切れなくなったのだろうか。

 ともあれ、断る理由もないので交換しておく。これで2人目もアドレスゲットだぜ。


「ついでに自分の分もやるよ」


 おっと真鐘のアドレスも貰えるようだ。こちらも特に断る理由もないので交換しておく。


「今から送るぞ。確認しろよな」


 ピローンと着信があった。差出人は真鐘だ。


『何があったのかはかえって連絡してやる』


 真鐘は優しいらしいな。俺の思いを理解してくれているらしい。


「……来た」


「3人共観覧車に乗って携帯見てたら意味ないよ」


 少し怒った様子の美玖を見て俺達はポケットへと携帯を突っ込んだ。


「……そろそろ頂上か?」


「まだもう少しある、はず。ごめん。自信ない」


「あ、あのさ」


 真鐘が一世一代の告白でもするのかというほどに決意のこもった声で切り込んできた。


「どうしたの?麗律?」


「美玖と松平にはお礼が言いたくてな」


 どうやらお礼のお話らしい。別に俺は俺のために言っただけなので筋違いだとは思うが貰えるものは貰っておくのが俺のスタイル。


「特に松平には言っておきたい。他人だった自分にここまでしてくれたんだからな」


「……いや別に」


 正直この遊園地は美玖と真鐘が画策したものであり、俺は自分の欲望(美玖の美しさともいう)を言ってしまっただけである。


「結果的に、自分の望む形ではなかったけど、これはこれでアリだな」


 隣の莉櫻をニヤニヤ顔で見る真鐘。これはもう少し詳しく話してもらわないといけないな。


「ま、俺からもありがとうって言っとく」


 何だろう。とてもむず痒い。


「ありがとう」


 忘れていた感覚、いや、忘れようとしたこの気持ちが今、俺の中であふれている。あの日以来、人と話さなくなって感情も表には出さずに生活してきたのに……。


「……あぁ、どういたしまして」


 どうしてこんなにも嬉しいのだろうか。


「美玖もありがとう。2人のおかげだ」


「私は何もしてないよ。潤平君が考えて、麗律が動いただけ」


 何て嬉しいことを言ってくれるのだろうか。ただ俺が考えることが出来たのは美玖のおかげなんだけどな。


「あの~。俺もありがとう。それで……潤平の友人な俺なので恋人さんも……その」


 急によくわからないことを言い始めた莉櫻。これは重傷だ。頭がやられてしまったらしい。


「……はっきり言えよ。そこしか取り柄がないくせに」


「ひでぇな。まぁ……はっきり言えば呼び方を近しいものにしたいってことです」


 何故に敬語?!美玖は少し目を見開いた後、


「莉櫻君、でいいのかな?」


「照れくさそうに笑った。俺と呼び方が一緒ってなんかショックなんだけど……。


「ありがとう。()()()()()


 ア?今何て言ったよ莉櫻君?


「莉櫻…お前ぇ!!」


「……潔く落ちろ」


 俺と真鐘の右ストレートパンチが腹と横腹に突き刺さる。どうやら考えたことが同じだったらしい。


「え~っと。どうすればいいのかな」


 残念ながらことえる人は1人としておらず、1人は白目をむき、2人は勝ち誇った顔をしていたという。

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