第17話 恋愛相談(パート3)
“世の中は回っている”。そんな言葉がある。しかし俺は思った。上手くではないよね、と。人がたくさん存在するからこそ、利益を得る人が居る。だが逆を見れば損をする人もいる。そして俺は損をしている方の人間だ。楽して生きたいのに部長にされるわ、やりたくもない恋愛相談させられるわ……。
「おい。ちゃんと聞いてんのか?あァ?」
本当にどのような経緯があればこいつ俺の目の前に座っているのだろうか。
「……もう一回念のために言ってくれ」
「はぁ。……ここは恋愛相談所なんだろ?俺が相談しに来たってことだ」
いや、そういう訳ではなくてさ……。
「お、俺は端山に……告白したいんだよ。力貸してくれるよな」
やはり俺が悟りを開く前路一言一句同じ言葉が聞こえてくる。しかしまた……美玖なのかよ。
「……どうしてこうなった……。沖田。昨日のは何だったの?もしかしてこれ?」
「おうっ!」
おうっ!、じゃねぇっ!!絡み方絶対間違っているだろ……。しかし俺はこの相談も受けなければならないのか、と本気で悩んでいた。
沖田が告白を成功することはほぼ100%無いに等しい。俺が沖田の狙っているところに既にいるからだが。が、相談を断ると沖田のことだ。絶対に何かをしでかしてくるに違いない。
「……相談に来た理由は?」
「俺、こんな性格だから自信なくてよ。どう?」
その性格で毎日過ごしていれば良いものを。何故、あんなチンピラのような行動+言動になってしまうのか。人とは不思議なものである。
「……性格を直せ。話はそれからだ」
「ヤクザみたいな人が好きとかそういうのは?」
「……絶対ない」
「いや、でもそれはお前の考えで……」
「……ない」
舐めてもらっては困る。ヤクザが好きなのならば俺はとっくの昔にヤクザになっている。
「わかった。今日は帰るわ」
沖田烈という人物の裏の一面を知った気がする。他人がいつも周りに居るからこそ自分の気持ちに素直になれないのだ。大方、また大原先生の手回しだろうと推測するが根拠がないのでそこまでだ。
問題は、成り行きで絶対に振られる告白の相談をさせられ、同時進行で真鐘さんの方もしなければならないことだ。……俺の身が持たないぞ。
「ブチョーが疲れてる」
机に突っ伏していた俺の頭をポンポンと叩きながらいう吉田さん。このまま寝てもいいですか?
「先程の方はとんでもない威圧感がありました」
冷静なふりをして眼鏡を少し動かした新山さん。手震えてるし。怖かったのかな~。
「……どうすればいいんだ」
「私達が何かしましょうか?」
「私も手伝うよっ!」
正直、当てにならなそう。真鐘さんとの相談は俺1人に丸投げしておいて……相手が沖田ならいいのかよ。
「……なら沖田について調べてくれ」
俺の考えというより現状だが、すべて俺の彼女、美玖が関与している。沖田の事は放っておいて(100%実らないから)真鐘さんの方をこなさなくてはならない。片側だけの見方ではダメなのかもしれない。
「……新山さん。鶴田氏についても調べておいて」
「既にあります。どうぞ」
3枚ほどの紙束を受け取る。中身をざっくり見た感じ物凄く細やかに書かれてあった。
俺の鶴田氏情報が増えた。覚えたとは言っていない。
「……一度会ってみる必要があるな」
「何?鶴田くんなら同じクラスだよ。明日連れてくるね」
どうして独り言を勝手に解決していくのだろうか。いいんだけどね。俺も悩みたい。
「……頼んだ」
「部長。端山さんという方の方はどうしますか?」
美玖なら情報なんていらないのだが理由を訊かれたときに正直に答えられない。
「……そっちも頼む」
「了解です」
「ブチョーブチョー」
「……何?今、俺は頭が忙しいんだ」
「ブチョーはどうしてそんなに相談が上手なの?」
辺りはカリカリと新山さんが書く音のみが響く。忙しかったはずの俺の頭は一瞬で真っ白になった。
彼女がいるから?元陽キャラだったから?どの答えも的を射るようで少し違う気がする。
「……どうしてか、ね」
普段ならば適当なことを返しておくか黙っておくのだが今回は何故か真面目に答える気になった。沖田のせいかもしれない。
「私達がここに居るのと同じ理由なのではないですか?」
「あ、……ならそうだね。ごめんねブチョー。変な事訊いちゃって」
「……うん?うん」
意味が解らない。あと2人で納得するな。俺が1人ボッチで可哀相だろ。
この世の中の女というのは何かを人に隠さなければやっていけないのだろうか。大原先生然り。こいつら然り。
「……仕事だから、と言っておく」
「あははっ!そうだね。よ~し私も頑張るぞ」
「私の方へ来ないでください。私の仕事が増えます」
「え~いいじゃん。仕事好きでしょ?」
「確かに好きですが増え方に問題があります」
2人でギャンギャン叫びやがって。あ~毎日しんどいな~。水族館行ったのいつだったけなー。もう一回デートしてぇなぁ。携帯をこっそりつけても着信メールは無く、来る気配もない。
「ブチョーが携帯抱いてる」
いつの間にか俺の携帯は大事そうに胸の前で両手によって掴まれ静止していた。
「デートの申し込みですか?それなら納得します」
新山さんも実は気になっていたらしい。後、デートの申し込みではなく、申し込みをしたい、もしくわされたいのだ。
「えぇっ!ブチョーに彼女?マジ?」
マジです、が言いません。恥ずかしいから。相手が端山美玖だから。
「……どうだろうな」
「絶対ないわ~」「ないでしょう」
なんで?!ここはいる前提で話が進んでいくところなのでは…。
「……今日は終わり。帰宅だ」
少し、ほんのすこ~しだけイラッとしたから今日の部活は終わりにする。
時計は帰宅するにはちょうどいい6時30分だった。
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