隣国侵襲
よろしくお願いします!
「エリルさま~ライムさま~王様がお呼びです、召集命令でございます、すぐに王様の所へ」
なにかあったのか
重厚な鎧が太陽の光で青く光っている、青の番人だ。
ガシャンガシャン!と音をたて、青の番人がホワイトドラゴンの頂上に向かってものすごい速さで走ってくる。
しかしあの鎧でここまで、あれは脱いではいけないのか、それとも軽い素材なのかと思わせてしまうくらいの身軽さだ。
ここまで走ってきたのに息ひとつ乱れてないあの番人はいったい……
「飛鳥さん、急いで王様のところへ向かうわよ」
「ああ、行こうぜ」
ダッダッダッダッ!
登ってきた道のりを駆け足で下る、足下はゴロゴロとした岩や石ばかり不安定で、おっと!態勢を崩しながらも走った、すると後ろを走る飛鳥さんがたすけてくれた。
「僕に乗れ!」
ぶわっ!と白い霧と共にホワイトドラゴンに擬態する瞬間、その飛鳥さんは私と番人の手を両手で引いた。
「「きゃっ!」」
一瞬の出来事で私と番人は声がでる「えっ?」番人は女性?
バサッバサッバサッ!
私を背中へと乗せたドラゴンは羽ばたいて上空へ……
「うわっ!すごい!エベレストを見下ろすなんて夢のよう、飛べるなんて信じられないわ」
「二人とも、しっかり掴まれよ」
そう言うとドラゴンは疾風迅雷の如く城まで急降下していった、振り落とされそうに後ろのめりになる私達は必死で自身を呼び起こし体勢を立て直し、全身で背鰭に抱きついた。
「わーおっ!まるで、ジェットコースターのようね、スリル満点」
「なんだ?ジェットコースターって?」
「気にしなくていいのよ……ははは」
バサッバサッバサッ!
城の庭に着くとホワイトドラゴンはライムへ戻り、私は息を切らしながら、王様の元へ走った、番人は相変わらず息は切れていない、3人は謁見の間へ向かう、到着するとそこにはあの赤の番人と、20数人ほどの兵士が並んでいた。
「王様に拝謁いたします」
「おー待っておったぞ」
私達は一礼をし、王様の話を聞いた。
「皆の者、先ほどエクレルの衛兵からの連絡により、隣国のザンドルフ王国の軍3000がこちらに向かっておるとの情報がはいった、まだ確かではないが、エルフの血を見つけたと……」王様は玉座に頬杖をついた。
エルフの噂は隣国に伝わっていた、それを聞いた、我が国に一番近い国ザンドルフ王国の軍が、侵攻してきたのである。
「麓のエクレルの関で、常駐の兵士がくい止めておる状態だ、アメリ、エメリ行ってくれるか」
「「はい、承知いたしました!直ちに!」」
鎧カブトの赤の番人と青の番人が返事をし、兵士全員を引き連れ部屋を後にした。
そのエクレルは左右が絶壁でできた難所の渓谷でホワイトドラゴンに登る際には必ず通らなければならない、そこに関を築き、この国を護っている、早い段階から侵攻が分かっていたなら、左右の絶壁上から岩攻めも作戦として有効なのだが、急襲には対応できないということだった。
「あのカブトの番人は何者なの?」
私の質問にライムが答えてくれる「あの2人は普段は無口だが、いざ闘いにでれば、世界随一の槍と剣の使い手、敵10000にも匹敵する猛将なんだよ、大切に扱えよ」
「ライム、お前も後衛として、向かうがよい、エリルはここで待機していなさい」
「あっ、はい!」
ライムは威勢よく返事をしたが、私は不満だった、王様に向かって懇願した。
「王様、私も行かせてください、民を守らなければなりません」
「ザンドルフはエルフの血を求めておる危険じゃ、待っておれ」
「ライムが一匹で行くのですよ、あの子は私の使い魔です!私も戦わせてくだ」
「わかった、エリルお前はライムと共に民を守れ、必ず生きて帰ってくるのだぞ、約束だ」
「王様、ありがとうございます!」
「ライム、行くわよ、民を守るの!」
私は謁見の間に常備してある剣が目に入った、手に取ろうとする、すると王様は「エリルこれを持って行くがよい、杖を敵に向け『クリストリーフ』と唱えなさい」と先端にクリスタルの付いた杖を私に放り投げた、「ありがとうございます」受け取るとライムと共に走り出した。
城の扉を開け、外に出ると、すぐにライムに命令する。
「ホワイトドラゴン、エクレルまで飛んで!」
「ラジャー!」走り出す私の下に潜り込み、白い霧と共にホワイトドラゴンに擬態する。
「ラジャーって、今時言わないわよ」
「僕の読んだ文献には書いてあったぞ」
「どんな文献読んでんのよ!!」
すっかり強くなってる私の心、おそらく頼もしい仲間が増えたたに違いない、そして何より民に信頼してもらえるエルフになるため。
眼下には先ほど先鋒として先立った赤と青の番人達が槍と剣を手に地竜に乗って向かっている。
エクレルは我が国の一番麓にあり、一番城下町に近い。着くと駐在していた兵士が戦って抵抗している。
「ライムは番人が到着するまで、ホワイトドラゴンで体を張って扉を護るのよ」
「え、エリルは……?」
「私は、町民を避難させるわ、番人達が来るまで耐えるのよ」
「エルフを出せ!エルフの血を出せ!」
ザンドルフの軍勢は反対側から扉に衝車攻撃を仕掛けてきた。
ドゴン!ドゴン!ドゴン!バキッ!
ドラゴンはその巨体で、扉を押さえつけ踏ん張っている、しかし木の扉も限界寸前だ。
私は町へ向かって走り出した……もちろんひとりで。
その途中、赤と青の番人とすれ違った
「番人さん、ライムをお願いね」
無論、私は戦ったことも、町民に信頼してもらえるかもわからない、でも無我夢中で走った、2度も拾った命もう怖いものは無いわ。
「みんな、隣国が攻めてきたの、お願い逃げて!」
町民からは、罵声が飛んできた。
「エルフじゃないか!お前の言うことなんか信じられない!」
「そうよ、もう200年も戦ってないんだぜ、俺らを騙して、何をしようと思ってるんだ!」
私は諦めない、絶対に諦めない!私は狼少女じゃない!
自分の心に言い聞かす。
「エクレルまで敵が来てるのよ、お願い逃げて!私と一緒にお城まで逃げるのよ!」
ドゴ――――ン!
関所は破られた、扉が砕け散った、番人とドラゴンが必死に戦っている、さすがに猛将と言われる番人も走り着いてすぐでは、数千の軍勢には押し負けている。
「ウオリャー!」
それでも態勢を立て直した青の番人はバッタバッタと敵陣をなぎ倒している。
敵陣を目の当たりにし、私の言ったことが本当にだと気づいた町民が逃げ惑い避難し始めた。
「キャー!!!助けて!!!」
悲鳴が聞こえた……先日私を非難していた女性が襲われようとしていた、助けに行くには遠すぎる。
私のせいで犠牲を……そう、ここだ、王様の杖……呪文。
思い出せ……思い出せ、あっ。
「クリストリュフ!」
いや、違う……焦るな焦るな。
「クリストリーフ!」
何も考えずに、無心で敵陣に向けて必死で唱えてみた。
すると真っ白な氷の結晶陣が空に現れ、そこから菱形で透明の氷が敵に降り注いだのだ。
ブチッ!ブチブチブチッ!ブシャ!
「こ、これはエルフの魔法――――うわぁ――――ウグッ」
飛び散る血しぶき……初めて見る血に私は目を塞いだ……
「キャッ……早く今のうちよ」
「エルフさん、ありがとうございます」
「早くお城まで駈け上がるのよ、ライム敵を引きつけるわよ、サウスコルまで逃げると必ず安心だから!」
番人と私達は必死にじわりじわりと後退しながら持ちこたえた、すると敵が、ひとりまたひとりと、バッタバッタと次々倒れていく……そしてひとり残らずのた打ちまわった。
町民が避難するのを確認し私は叫んだ!
「今よドラゴン、飛ぶのよ!」
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