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11回目にてグランドエンド  作者: 作者不明
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第五話 才能の火炎と狼煙

 宿題ってなんでしたっけ・・・。

 今回も楽しんでいってください。

   ━0━


 風が吹いて、命であるは炎は燃え盛る。


 風が吹いて、命だった灰は飛んでいく。


   ━1━


 国歴458年 2月18日


 わたしは、こんな世界に生まれ落ちた。

 名を「エンド」

 姓を「ヒート」

 ミドルネームを「/」

 と呼ぶ。


 わたしは母のいない父子家庭に育った。わたしと、わたしの家族全員は五体満足。姉妹は妹が一人いる。


 国歴466年 4月20日


 この世界は電気というものを手にいれた。大義の偽善(エヴォハンド)に付与された電気というものを使って、人工的に雷を産み出すというのだ。しかしこの電気を使う技術は3年前に発見されたばかりで、未だ謎が多い。今のところ、一部の金属に電気を貯めることができる技術を発展させているらしい。そして、電気を貯めるという工場までできた。しかも近所に。最近建てられた。この日、わたしが妹と一緒に家にいたときに雷が落ちた音がした。震動、閃光、轟音、爆風。4つがわたしの家を揺らす。この日は父が仕事でいなかった。だから何が起こったのか分からなくてどうすればいいのか分からなくて、泣きながら妹と抱き合った。あの雷はあのあと4、5回続き、気絶した。その時は谷に落ちる夢を見た。


 ☆★☆★☆


 あれから30分ほど経って、暑苦しさと優しい揺れで目が覚めた。目の前は妹と、家だった火だるましか写らない。驚いて、悲鳴すらでなかった。いきなりのことに情けなくも、妹に飛び込んでしまった。でも、すぐに立ち上がり、父からよく聞いた

「お姉ちゃんらしくいなさい。」

という言葉を反芻し、妹とここから出ることを決意した。しかし目の前はここが燃えていないのが不思議なくらい大きな炎。そして炎を吸収して黒々と紅く光る家だった木材。とても打開できる策も力も勇気もなかった。いや、時間もない。家だった火だるまはメキメキと音をたてて天井から炭になった梁を落としてくる。ここで時間を稼いでも仕方がない。と、考えていると。

「おーい!」

と知らない大人の声がした。そして、

「エンドー!ソートー!」

父の声だった。ソートとは妹のことである。聞きなれた声に安堵して涙が出そうになった。妹と声を会わせて

「ここだよっ!」と叫ぼうとしたその時、






わたしたちの上から黒くて紅い炭は降ってきた。






悲鳴も、抵抗も、父の叫びも聞こえずにわたしたちはまた、谷を落ちる夢を見た。








 ☆★☆★☆








そして、わたしは生きていた。


妹は黒く、ただ、黒くなっていた。


腕の


中で


わたしは泣いた。


心配をかけたからじゃない。


妹を死なせてしまったからじゃない。


唯一の家族だった父に


拒まれたからだった。


父がわたしを拒んだのもわかる。


わたしは


体が


無傷で


生きていたから。


だった。


 国歴467年 1月11日


 弧児院に入ったわたしは数々の検査を受け、ようやく、わたしの謎が解けた。わたしは超越の栄光者オーバーオーヴァリアーだった。実は最近こういった超人的な能力を持った人間は増えてきているらしい。わたしは細胞が一定の温度以上にならない。つまり火傷しないということ。しかも一定以上の温度を感じない体質だった。他にも手が異形の子や、尻尾や翼の生えた子、電気を放ったり、炎を吹いたりする子もいる。まだ例は少ないが確かにいるらしい。彼等彼女等の祖父祖母がちょうど超越の栄光者オーバーオーヴァリアーズの帰戦士たちだった。その子供は超越の栄光者オーバーオーヴァリアーズの魔法移植されたときの遺伝子を遺伝し、またその子供が遺伝された超越の栄光者オーバーオーヴァリアーズを反映させ、このような人間が生まれるそうだ。



軍は彼等彼女等を遺伝者カブリ



と呼んでいる。


 国歴473年 4月7日


 わたしは兵になった。遺伝者カブリの兵としての可能性やら、必要性やらを調べるためと言って軍にわたしは買わされ、兵になった。


 国歴478年 4月8日 


 わたしは幾多の鍛練と戦場を乗り越え、遂に新部隊、王の犠牲(エルハンズ)に入隊した。


 国歴478年 4月17日


 もう誰も数えていない超前線大遠征に出ることになった。今回の主役、主戦力は王の犠牲(エルハンズ)。他の部隊は回収隊や運搬隊ばかり。あとはそれらを守るための衛兵。しかし、5年間の戦場の経験と普通の人間には使えない正義の犠牲(ニューハンド)でこれだけの部隊で十分であるということを知っている。一週間かけて前線維持部隊本拠地に到着。そこから一気に前線を超え、上げる。


 国歴478年 4月18日


 今夜、戦闘が始まる。奇襲だ。今回わたしは遊撃兵として部隊に配置され、前衛、後衛、中衛を行ったり来たり、行かなかったり来なかったりして部隊全体をサポートする。そして今装備している正義の犠牲(ニューハンド)はただの正義の犠牲(ニューハンド)ではない。今のところ貴重な大義の偽善(エヴォハンド)である。銘は首斬られ龍(キャントファイア)。鍔が龍の頭の大太刀だ。龍の頭からは炎を吐く。刃は炎を纏い、熱を帯びる。そのまま熱が柄まで伝わってくるために持ってる人は火傷してしまうと言われた。しかし、そもそも火傷しないわたしにとって、炎を吐くことで近距離から中距離まで攻撃範囲の伸びた心強い武器になる。短所を克服し、長所のみを残した最強の妖刀となった。


 ☆★☆★☆


 地は太陽を飲み込み、代わりに月を産み出す。細く曲がった月は力なく地を照らし星達は闇の名中を漂い続ける。つまり夜だ。奇襲が始まる。これに勝って帰れたらわたし、あの人に告白するんだ。と、夜と戦場の緊張感で変に舞い上がったわたしは前から気になっていた男性を思い、そう胸に誓った。今から、戦争が始まる。

 支配軍は強くなっていた。支配城の近くまで来たと言うのもあるのだが、やはり魔物モンスターの数より、質が前線を進めるのつれ、上がっている。豚小人ゴブリン猪人オーク蜥蜴人リザード竜人ドラグニュートだけじゃなく、小型の龍型魔物モンスターや、鳥型魔物モンスター。飛翔系が増えている。空は他の遊撃兵に任せ、わたしは地上の敵を優先的に遊撃する。

 小型の地龍に飛び込んでいく。わたしは右の手の爪で切り裂こうするのを右に避け、懐にはいる。首斬られ龍(キャントファイア)の火力を最大にして一文字に燃やし斬る。灰になって崩れていくその地龍を見もせずに他の小型の地龍を燃やし斬りに行く。今度は縦に。次もまた縦に。

 斬って斬って斬りまくる。

 空から飛竜が火を吐けば、首斬られ龍(キャントファイア)の炎の推進力で空へ翔び、斬る。小賢しい豚小人ゴブリンの矢は炎で燃やし尽くす。

 燃やして燃やして燃やしまくる。

 鎧を着た竜人ドラグニュートは鱗とその鎧で炎が効かない。刃も立たない。

 なら殴って投げて殺しまくる。

 最早どっちが魔物モンスターかわからなくなっていた。人ではない、何かになっていた。でもわたしはそれを制御しきることができた。心の内にある狂暴なわたしを飼い慣らせていた。


☆★☆★☆


 こうして数人の王の犠牲(エルハンズ)達だけで奇襲は成功した。研究員も想像を遥かに越える結果と言っている。遺伝子的に人でないわたしたちは筋力が増加している。それもあってか、支配戦争での前線を一部であるがこの夜に大きく進めることができた。


 国歴478年 7月3日


 結果、資材を使いきって帰ってきた。あのあと、わたしたちに続き、王の犠牲(エルハンズ)達は3日に1度攻め続けた。負傷者は数名。大事には至らない軽傷で済んだ。実はわたしも防ぎきれず軽傷をところどころ負っていた。これは数ヶ月お休みをもらえるかなと夢を膨らまし、大遠征の初日胸に誓った言葉を思い出し、顔を真っ赤にした。後日、恋人を手に入れることになる。

わたしは自分に嘘をつけないのだ。


 国歴480年 6月26日


 この日は前線維持の為、防衛線を越えてきた魔物モンスターを狩る仕事だった。しかし、雨が降っていた。土砂降りとはいかなくとも本降り程度には。もちろんこんな天候で愛刀、首斬られ龍(キャントファイア)の力は半分以上に落ちている。炎を吐けない。つまりただの重い刀になるだけだ。そこで今度は新しい大義の偽善(エヴォハンド)を使うことになった。それは始めて作られた正義の犠牲(ニューハンド)壊れた爆弾バーサークバースト。足に火蜥蜴サラマンダーの火炎袋をそのまま取り付け、推進力と炎を生み出す、首斬られ龍(キャントファイア)の祖先とも呼べる脚鎧。そして身体中を針、刃、爪、牙、甲殻で覆われた鎧。頼りない衛兵バットソードノットアーマー。この2つを融合させ、改良した大義の偽善(エヴォハンド)憤怒する大地(ボルクボルケーノ)。体を溶岩のような体のジンの皮膚を使った鎧だ。もっとも、そのジンの討伐、加工に携わったのはこのわたしなのだが(溶岩のような皮膚を触ることができるのはわたしぐらいなので)。

 結果は大成功。なにも知らない魔物モンスターどもにわたしの正拳突きを喰らうと、焼き印をつけたように拳の形が残る。皮膚はどろどろに爛れ、思うように伸び縮みできなくなる。痛みでもがき、一時してに気絶した。魔物モンスター頭を足裏と大地で挟み焼く。脳は溢れることなく、焼けて黒くなる。火傷させる最大のメリットはその時の火力の上昇ではない。相手に治療困難で痛みの強い傷を負わすことで、精神的に攻めて、責め続けられることだ。完全に人でないわたしは精神的にも強くなった。守るべき人を、持ったからだ。


 国歴481年 11月22日


 3年と半年間の交際を経てわたしは結婚をした。ここで問題が生まれる。子供を産むかどうかだ。妊娠中はもちろん訓練はおろか、筋トレもろくにできない。産後にまた筋トレを始めて他の兵に追い付けるとは到底思えない。しかし、夫もわたしも、正直な気持ち生みたかった。わたしは、子供を産むことにした。

わたしは自分に嘘はつけないである。


 国歴483年 3月12日


 わたしは子供を産んだ。女の子だった。名を「イフル」と呼ぶ。本当に愛らしかった。これでわたしはもう、前線に出ることはなくなった。


 国歴491年 


 イフルの成長に合わせて家を建ててもらった。イフルを産んだあと、結局わたしは5年後ほどに前線に出ていた。惜しい戦力ということで戦える範囲で戦ってもらうらしい。あと憤怒する大地(ボルクボルケーノ)を扱えるのはわたししかいないからだ。あんなもの、持ち運ぶことすら難しい。全く、人使いが荒い連中だ。まだ戦場には出てもらいたいということで幼稚園に近い土地を買った。小学校、中学校も近く、近くの駅から都心部に行くこともできる。イフルの成長が楽しみだ。


 国歴498年


 40になったわたしは兵を引退し、伝説になった。王の魔神と呼ばれ、栄光剣士オーバーソードマスターに選ばれた。二つ名を貰い、名誉を手に入れたわたしを親の持つイフルは今、支配戦争に参加している。能力が発現したのが私より遅く、わたしが8歳までには発言していた能力は、イフルは14歳になって初めてわかった。慌てて手続きをしてイフルも王の犠牲(エルハンズ)に入隊できるようにした。イフル自身も嬉しそうだった。憤怒する大地(ボルクボルケーノ)はイフル用に改良され、わたしの愛刀、首斬られ龍(キャントファイア)を受け継いでいる。能力の発現は遅くても、戦闘能力の面はわたしを遥かに凌ぎ、その年にして炎の華の異名をとった。


 国歴505年 8月13日


 わたしは外で家庭菜園の草取りをしていた。すると、わたしは熱中症により倒れてしまった。そのままわたしは入院した。さすがに異例のことだった。一定以上の温度を寄せ付けないわたしは熱中症なんてものにはならない。夏は大体体感温度32~33度で留まるのに結果わたしは重度の熱中症にかかってしまった。聴覚を残して意識を失ったわたしを慰めるようにイフルも来ていた。

 その後わたしは聴覚を失い、目を覚まさなかった。







   エンド/ヒート

 国歴458年~505年 47歳だった。




















そして、















これが俺の5順目だった。


















 今回から比喩表現なんかを多く取り入れています。語り部が語り部なだけに会話文を入れづらいんですよね。まあ、語り部のことはまた、後々出てくるのでお待ちください。

 次回は今週の金曜日に十一回目にてグランドエンドの第一話から第五話までの整理をした、整理回をだそうと思います。一応そのあともこういった整理回を出すつもりですが、出来るだけ整理回同士繋がった話にしていきます。割り込み投稿で一話の前に出すので、ご期待ください。

 続きがあれば続きを、なければ出るまで、もしくは別シリーズを読んでお待ちください。

 お読みいただきありがとうございます。

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