第三話 善悪の正義と虚偽
メモ帳に書いてたメモリが全部パァになりました。なので遅れました。ヤバイね。誰だよ6日後に投稿するとか言ってたやつ。ごめんなさい。
今回も楽しんでいってください。
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人ってのは案外簡単に正義ってもんを無くしちまう。
そして人はその事に自分で気づけない。
だからこそ嘘何てもんがあるんだろ?
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国暦344年 夕方
自分は今、森にいた。目を開けると目の前は緑と茶色の斑模様に染まる。体は上下に揺れ、誰かに背負われてるようだった。次第に気分か悪くなり、自分の意識はまた、消えていった。
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そして、場面は変わる。ここはどうやら小屋の寝室のベットの上。頭を上げて部屋を見回そうとしたとき、左目に鋭い痛みが走った。左目を押さえてみると、いつもある皮膚とは全く違う感触。そして、今いる場所、ここまで来た経緯。何より自分が何者か分からない。違和感。気分が悪くなり、吐き気が込み上げる。とりあえず厠にいきたいと思い、勢いよく扉を内側に開き、ズキズキと痛む体を無理に動かす。痛みで廊下に転び、大きな音を立てる。近くからドタドタと音がする。
「どうした!?」
ボロじゃなくとも雑巾みたいな服を着た男性が自分をゆっくり、優しく抱えた。
「か、かわやに・・・」
発音がままならない。消えるような声だったが抱えたためにその男性には聞こえたらしい。
「分かった。厠だな。」
ギシギシと軋む小屋とも呼べない大きな家を進むと外に出た。夜だった。厠に着いて、便器まで運んでもらい出すものを全部出して、また、抱えて部屋まで運んでもらった。その時に小屋とも呼べない大きな家の外見を見れた。それはもう、城だった。同じ道を行き、同じ部屋のベットに寝かされ、そこでまたも寝付いた。
やっと、一日が終わった。
国暦350年 8月30日
自分はその城の副長をすることになった。ちなみに、その城と言うのは記憶喪失になってしまった自分を拾ってくれたコレク´《アポストロフィ》スティとその家族の家。スティ一家はこの森で盗賊をしている。この森は近くに村がたくさんあり、そこから食料を取っては食べ、家畜を殺しては捌き、金品を盗んでは売り、そして、森で拾った子は一家の養子として盗賊に仕立てあげていた。自分はその森で倒れているのを見つけてもらい、恩返しの代わりと言ったらなんだが、ここに住まわしてもらっている。自分はその時、記憶を失っていたらしく、今も戻っていない。そんな自分をスティは拾ってくれた。今では位が自分の方が高いが。
国暦352年 10月8日 早朝
日も上がらないうちに作戦の準備はされた。今回は南の大地主の家に突撃し、秋の収穫の時期、沢山採れた野菜や米をわんさかと貰う作戦だった。皆で一昨日から山を降り、昨日から此処にいる。気付かれないように大地主の蔵裏に近づき、米を回収するのが自分の役目。
「コケコッコー!」
鶏が鳴いた。作戦の実行の時。自分は四人を連れ、蔵の裏まで着た。大きな金属の金槌で何度も蔵の壁を叩く。大きな音が今さっきいた森で木霊し、大地主の二人ほど衛兵が遅れてやってくる。
「そこで何をやっている!」
「結構前から盗賊やってますっ!」
そう自分は言うと壁を叩いていた金槌の柄のお尻の方を持ち、一気に衛兵の近くまで駆け込んだ。衛兵が抜刀するよりも速く回し蹴りを決め、そのまま金槌を回した。金属ではなく柄の頭の方が衛兵の二の腕に当たり、ぶっ飛ぶ。残りの一人は後の四人が始末してくれた。バキッと音がして、目の前の壁が壊れると、
「回収ぅぅぅぅぅううううう!」
と、四人の内一人が叫んだ。そして、四人が蔵に入って、俵を一人一つ持っては、急いで森に駆け込む。自分も俵を二つ持って森に入る。少し行ったところに、大きめの子供が何人かいる。その子供に俵を預け、また俵を回収しに行く。バケツリレーというやつだ。そして、森に控えていた若造がさらに蔵から俵を持っていく。そしてまた、俵を回収しに行くつもりなのだが、やはり大地主。大量の衛兵が突撃してくる。自分を含む最初の五人は若造達が俵を運ぶのに邪魔しないように排除する。死なない程度に。そして、記憶の飛ばないように衛兵を蹴ったり殴ったり投げたり押したり。衛兵を気絶させていく。
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日が頭のてっぺんを通る頃、自分等は城に帰っていた。重傷者はなし。そして自分等が倒していった衛兵たちにも重傷者はいないだろう。多分。それがこのスティ一家の家訓。
『盗む量は半分』
『誰一人として死なせない』
『働かざる者食うべからず』
の三つ。たまに増えたり減ったりするが、この三つだけは消えない。
その日の夜。宴だった。
国暦372年 11月1日 夜
城に来客が来たようだ。誰かと思って武装していったところ、警察だったので殴って叫んだ。
「警察だっ!戦えっ!」
籠城戦が始まった。
国暦373年 2月20日
元々、秋は冬を越すため、保存がきき、なおかつ大量に野菜や米を回収するため、そこまで苦戦することはなかった。この春まで籠城戦が続いていることを除いて。城の周りは警察兵に囲まれ、動けなくなっていたため、非常通路を通り、逃走することになった。しかし、それでも囮が必要なため、自分等10人ほどで城を守っている。警察も下手に触ってはいけないと判断したのか、無駄に攻撃しては来ない。そして、今日が完全に非常通路からの脱出が完了した日だった。
国暦373年 2月21日
自分達が非常通路を通って逃げているときだった。非常通路のトンネルを抜け、すぐに人に会った。しかし、人として生きていなかった。人として人ならず者は巨大な人のものではない手を振りかざし、仲間のうち、二人を切り払った。その手は鱗に覆われ堅く、その爪は長く刃になっていた。何とか人として人ならず者を倒した。その手を武器として使い、警察から逃げることに成功した。
国暦373年 2月22日
皆とははぐれ、もう二度と会えないことになっているため、自分等は自分等で森に生きることになった。そこでも人として人ならず者は現れた。しかし虚偽の手と名付けたその爪で難なく倒していった。そして、その倒した人ならず者を武器として使い、生きていった。自分はこれを正義の犠牲と名付けた。
国暦375年 10月17日
もう、自分しか生き残っていない。皆人として人ならず者に殺されてしまった。そこで初めて市街に降りてみた。しかし、そこには誰も居なかった。否、人として人ならず者はいた。見たこともないような家、綺麗な家具、木すらない道路。どれも森しか見ていない自分にとってはもう、輝いた物ばかりだった。それはどれも、くすんだ物だけなのだが。
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くすんだ市街を朝から探索しても何一つ使えるようなものは見つからない。見つかるものは腐った食べ物か、必要ない家具ばかり。あとは人として人ならず者。人として人ならず者はもう数えきれないほど倒してきた。身体中に虚偽の手のようなものを装備している。
右手には虚偽の手
左手には振るわない刀
両脚には壊れた爆弾
身体中に頼りない衛兵
こんな感じ。
今夜は眠れないようだ。
国暦375年 10月18日 昼
何体目か分からない腕の大きな人として人ならず者と戦っているとき、人に出会った。軍の人なのだろうか、武器と鎧を装備している。そして、そんな人がぞろぞろと市街を歩いている。自分を見つけるや否や急いで自分を回収され、軍の後方まで運ばれた。そして、ここまで何があったのかを、これから警察に引き渡さないことを約束に話した。
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軍の本部らしき所に着いてすぐに情報の交換が始まった。自分は自分が何者なのか、どうやってここまで生きてきたのか、正義の犠牲をどうやって作ったのかなど。そして、軍の本部にこう聞いた。
「彼等は何者なのか」
答えは
「彼等は堕落の超越者。我等が作りし我等の敵だ。」
国暦387年 12月19日
自分はいつの間にかその軍の指揮官になっていた。そして、自分は栄光者に選ばれた。栄光指揮官だった。そして、栄光指揮官になってすぐに魔法移植をすることになった。なんでも若返れるらしい。そりゃあやるしかないとなって、手術を受けることにした。
国暦387年 1月11日
久しぶりの目覚めだった。1ヶ月保存液の中を漂い続けていたらしい。そして気づいた。身体中が軽いと。超越の栄光者になれたのだ。自分は三十年以上も前に散々見た顔になっていた。成功していた。
「おめでとう。これであなたは女性初の超越の栄光者になって、栄光を越えた。」
そう、研究員らしき人が言い、程なくして身体力試験を行った。普通の人が出せるような結果ではなかった。そして自分は普通の人では扱えないこの体を扱いきれなかった。最初は歩こうとするだけでからだが追い付かなかったが、次第に歩けるほどになれた。
国暦387年7月11日
超越の栄光者になって、ちょうど半年が過ぎた。この体にももう馴れた。超人的怪力は制御できるようになった。何度か小遠征などに参加し、体が馴染んだ。結果、前線に出ることが決まった。半年ぶりに正義の犠牲を装備し、もう、誰も数えていない、超前線大遠征に出ることになった。
国暦387年10月20日
体はいつも以上に動いた。指揮官であることをほとんど忘れ、魔物を殺しに殺した。振るわない刀で脳天から猪人を叩き潰し、虚偽の手で蜥蜴人の首をはねた。竜人の火も爪も頼りない衛兵には、ただ崩れ壊れるしかなかった。豚人の群れは壊れた両脚で一掃した。血を求めるように四肢はうねり、興奮で目眩がした。
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「……レク…………エン………揮官……」
「フグッゥ……」
「さようなら」
エンド/コレク
国暦?年~387年 年齢はわからなかった。
そして、
これが俺の3順目だった。
続
えー、今回はいつも書いてるメモ帳のメモリがパァして、最初っからになりました。いやはや。ほんとに私、体の全てを土に埋めないといけないところでした。もう、今から次話書きますわ。うん。そうしよう。明日、無題シリーズを投稿します。やっと、始動。
続きがあるなら続きを、無いなら出るか、別シリーズを読んで、お待ちください。読んでいただきありがとうございます。次でお会いしましょう。