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11回目にてグランドエンド  作者: 作者不明
12/12

最後の最終回 最後に。

さようなら

  ――0――




  ――3――

  皆よ。生きるという字を見ろ。まあ、見てどうにかなるってもんじゃない。生きる、生まれるってどういうことか考えたことがあるか?俺は何千回、何万回という生まれるという感覚をもって、こう言わせてもらう。

  生きるっていう言葉は息をするってことなんだと、俺は思ってる。

  生きる。

  息る。

  息をして、生きる。それが生きることだと思う。つまり生まれることは息を始めることなんだと、そう思う。赤ん坊は、生まれてきた喜びで産声わあげる。少なくとも俺は違う。

  息が始まって、生きる事が始まることに驚いているのだ。


「ああ、また始まんのか」って。



  ☆★☆★☆


  今回の俺の生まれてきた環境は『王室』ってやつらしい。まあ、王の親戚という訳だ。しかも俺の場合、まさかの王の息子。皇太子として生まれたのだった。無駄に豪華な食事を毎日三食。乳母と母と戯れて、勉強をする。剣を、弓を、拳を習う。そして眠る。

  そんな生活が続いたある日、俺は王になった。急で非常に驚いた。こんな驚きは生まれた時と同じくらい。・・・とまでも行かなかった。

  かくして、俺は国を治め、政治をすることになった。


  ☆★☆★☆


  国の統治は難しくなかった。

 これまで積み上げてきたものが高かったから。これ以上積み上げなくてもよかったんだ。

 いつも通り兵を出し、いつも通り民衆に耳を傾け、自分のしたい政治をする。民衆は俺に逆らえない。何故なら俺はこの国の王だから。


  ☆★☆★☆


 この国の王になって数年が経った。いや、もう数十年経った。俺にも子が生まれ、そろそろ政権交代のときだった。

 俺もしよう。

 俺が持つこの王冠の名は「絶えなき対なる王の政(ゼッタイオウセイ)」。人の恐怖心を操る能力を装着者に付与させるものだ。しかもその範囲は人ならず、魔物モンスターにまで及ぶ。この国はそうやって作られてきた。

 そして、「絶えなき対なる王の政(ゼッタイオウセイ)」の最大の能力は2つある。その1つ目がその恐怖心を操り、人を、魔物モンスターを人形のように操ることが出来る。

 そして2つ目の能力が、他人に受け継がすことが出来ることだ。しかし、「絶えなき対なる王の政(ゼッタイオウセイ)」は手順を踏まなくてはいけない。でないと体を「絶えなき対なる王の政(ゼッタイオウセイ)」に乗っ取られ、無差別に恐怖心を操っては人魔物(モンスター)を殺してしまう。

 だから、こうやって手順と儀式を行うことで、「絶えなき対なる王の政(ゼッタイオウセイ)」の効力を消さず、さらに暴走もさせずに引き継ぐことが出来る。


 御託はここまで。

  では始めよう。


  ☆★☆★☆


  じゃあ、死ぬ時はどうだと思う?生きる時は息る。息を続けて生きるなら、死ぬ時はなんなんだ?それは何千回、何万回と生き、死んできた俺にも分からない。でも、ただひとつ言うなら、普通の人間の目線で言うなら、

「人生に飽きた」

 から、なんじゃないかな。


  ☆★☆★☆


  俺は玉座に立った。儀式を行うために必要なのは「絶えなき対なる王の政(ゼッタイオウセイ)」、次の装着者、今の装着者、特殊な呪術をかけたナイフ。

 これを使って、俺は死ぬ。そして、俺の息子に「絶えなき対なる王の政(ゼッタイオウセイ)」を継がせる。

  手順はこう。

  まずはナイフを俺の手首にあてがい、引く。その時の血で、自分の手と、次の装着者である俺の息子の手に満遍なくかける。魔法陣の中央に立ち、「絶えなき対なる王の政(ゼッタイオウセイ)」を息子の頭の上に乗せる。詠唱者が詠唱を始め、儀式は終わる。

 

「それでは始めよう。」


  この儀式はいつも王が変わる時にいつもやってきたことだ。変わりない。だから泣く人もいないし、泣けばマナー違反として注意される。そんなものだ。だけど俺は


「きゃぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁあ!」


  俺は首に通る太い血管をナイフでこじ開けた。意識がものの数秒で遠のき、周りから聞こえる悲鳴が聞こえなくなる。目が見えなくなって、体から力が抜ける。倒れ込んだのだろうか。痺れたように体に伝わったはずの衝撃は鈍くなり、体は以前、冷たくなっていく。


「死んでくれたまえ。」


  俺は出るはずのない声でそう呟いた。


  ☆★☆★☆


 俺が天国とやらに行く前に解説をしよう。

 俺は自殺した。その理由から話そうか。

 俺のオリジナル。オリジン。始祖。は、今から何千年も前に生まれ、あの国で言う、「栄光の超越者オーバーオーヴァリアーズ」にされた。結果は成功した。能力の内容は「転生」全ての『死』を体験するまで生き返り続ける。そして、俺の始祖を移植手術したそいつは、その積み重ねた経験を武器に魔王を討伐しようと思っていたのだろう。

 だが、それは不完全だった。

 仕組みとしては、死んだ俺の始祖の魂は1度肉体を離れ、この国のどこか、産まれたばかりの赤ん坊に取り憑く。そのあとは普通の人間として生き、死ぬ。その死んだ俺の魂はまた産まれたばかりの赤ん坊に取り憑く。これを繰り返す。

 だが、途中で突然変異が起きた。魂にふたつに分裂した。片方は「記憶を持ち続け、共に生き続ける能力」に、もう片方は「死んでも、その記憶を上書きして、また転生する能力」というものだった。俺は後者の方だ。そして前者は魔王が持つ。分裂してしまった能力は、魂は、リミッターが壊れ、永遠に転生を繰り返した。

 そして、また突然変異が起きた。その突然変異は両者の能力に起きた。両者の能力が完全体になったのだった。片方なくして、両方になった。

 そうすることで、今まで積み上げられてきたはずの記憶を取り戻した10回目の俺は魔王を討伐しに行く。しかし、上書きは上書き。何千年も、何万年も前のことなど、とうに忘れてしまった俺は魔王と対峙し、恐怖心を操られ、死ぬ。そして、魔王の新しい皇太子の肉体に取り憑いた。しかも両者の魂が。

 結果、完全なる完全体になった俺の始祖の魂は、以前と同じく、全ての『死』を体験するまで転生するようになった。

 そして、最後、残った『死』が、自殺。

 それだった。

 俺はこれまでに

 焼けて死んだ。

 刺されて死んだ。

 溺れて死んだ。

 病気で死んだ。

 殴られて死んだ。

 圧縮されて死んだ。

 拷問されて死んだ。

 切られて死んだ。

 凍って死んだ。

 天寿を全うして死んだ。

 もちろん同じ死に方をしたことだってある。

 俺は、何千年も、何万年も、生きてきて、こう思った。

「暇だな」

 って。そして、俺はこの命を完全に断ち切ることにした。それで、

 唯一なかった死に方。『自殺』を実行した。


  もう時間が無い。いや、俺はもう逝く。この国では死んだ人間の魂は48日かけて天国まで行く。なんて言うけど、実際は自分のタイミングで逝ってもいいのだ。俺はもうこの世界に飽きた。天国がどんな世界は知らないけど、今よりももっと楽しいところであることを願おう。



 名乗るのを忘れていた。

 俺の名は「グランド/エンド」。

 魔王だ。死因は自殺。歳は・・・。知らねぇや。









 さようなら。












 飽きてしまった、










 この世界へ。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。明日の夜、次シリーズの読み切りを書きたいと思います。

あと、今回も遅れてしまって申し訳ありませんでした。今、非常に忙しく、纏まった時間が取れなさそうです。次回も遅れてしまう可能性がありますので、ご了承ください。

続きは作ってくれという要望があれば別タイトルでします。別シリーズが出るまでは、別シリーズを読んで、お待ちください。本当に、ありがとうございました。次のシリーズでお会いしましょう。


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