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ローランド探偵団事件奇譚  作者: 卯月 聖
屍者狂詩曲 〜コープスラプソディ〜
9/19

屍者狂詩曲~コープスラプソディ~ 2-4

男は切られた首筋を抑え、まだ立っている。

「あれで…首筋を切られてまだ生きてるって……嘘だろ……」

 男はジェニーのほうへ走り出す。

 反撃を予感したジェニーは即座にケースに手をかける。

 しかし、男はジェニーを飛び越え、ジェニーには目もくれずおよそ常人では追いつけぬほどのスピードで走り去っていった。

 「っ⁈」

 ジェニーはカレンが待機していた場所へ視線を向ける。

 そこから小さな影が駆け出すのを確認して、ほっと息を吐く。

「とりあえず、作戦通り、かな……」

 ジェニーは周りを見渡す。あれだけの騒ぎを起こせば民家から何事かと様子を見に外へ出てくる人々でいっぱいだろうと考えたからだ。

 しかし、

「あれ?」

 周りには誰もいなかった。

 民家のほうへ目を向けても窓から様子をうかがう気配すらない。

(カレンさんの声は聞こえなかったでも説明がつく。けど、あの男の叫び声、あの大声量で誰も気づかないなんて…)

 そこでジェニーはあることに気づく。

 ジェニーがカードを投げ、男の首筋を切ったとき、一瞬だけ目に入った男の顔。

 その表情は痛みに耐えかね、咆哮したものだった。

 そして、男が地面を砕いたとき、男の咆哮も、大地の爆ぜる音も、そのすべてが、

「聞こえなかった…」




 とある町の端にある建物。その中には黒装束の男が一人。

 そして、首から血を垂れ流す男が一人。

「ほぅ…まさかこいつらに反抗してくる輩が現れようとは……そして、この男は…」

 黒装束の男はそう呟き、宙を見つめ、にやりとその頬を歪ませる。

「まぁ、邪魔者が現れたのなら排除するのみ。ましてやそれが裏切り者ならばなおさらのこと……よし、よく報告した、下がれ。」

 黒装束の男は血を垂れ流す男に一言そう告げた。

 だが、男は動こうとしない。

「どうした。私の言うことが聞けないのか?傀儡風情が。」

 ドスの利いた声で言われた男はとくに表情を変えるでもなく、血痕を残しながら静かにその場を去った。

 その姿を見届け、黒装束の男は「ふんっ」と鼻を鳴らす。

「誰がどう足掻こうが、私の軍団に敵うものなどいない。そして、奴がいるということはあの男も………」

 男はその場で膝をつき、空を見上げ、両手を広げ叫ぶ。

「おぉ!我が主よ!必ずやあの不届き者どもの魂をあなた様に捧げましょう!我が命に代えましても!あなた様を信仰したあの日から、我が命はあなた様のものなのですから!ククク………アハハハハハハハハハハハハハ!アッハハハハハハハハハハハハ!!!!!!」

 男の狂った祈りが木霊する。

 男の手には、妙な生々しさを醸し出すタクトが握られていた。


どうも、卯月です!なんかいかにもな変な男が現れましたね。この男がどのように絡んでるかはおいおいわかってくると思いますよ。それでは今日はこの辺で。

次回もこうご期待!

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