屍者狂詩曲〜コープスラプソディ〜 1-3
「あの、依頼の連絡を入れていたものですが…」
1人の男がローランド探偵事務所の扉を開く。
扉を開いた先にはにこやかに男を迎える二人の男女、その側に息も絶え絶えな少年と少女が立っていた。
「どうも、ご足労頂きありがとうございます。所長のロシュア・ローランドです。」
「あぁ、これはどうも。私はダニー・ホワイトと申します。」
「ホワイトさんですね。どうぞお掛けになってください。」
ロシュアは依頼人、ダニー・ホワイトに座るように促す。ダニーは指されたソファに腰を下ろす。
座った直後、目の前のテーブルにコーヒーが置かれる。
「コーヒーですわ。」
「あぁ、これはどうも。」
コーヒーが出された方を見ると、そこにはロシュアの横にいた女性が立っていた。
「申し遅れました。わたくし、所員のレオネッタ・ヴァーダイルと申しますわ。以後お見知り置きを。」
レオネは自己紹介をし、上品にお辞儀をした。
「え、ヴァーダイルって貴族の…?」
「えぇ、お恥ずかしながら。」
「そんな方が探偵を?」
「はい。父と母から自分のやりたいことをやりなさいと教えられてきたものですから。それで、このお仕事を選ばせていただきましたわ。お月給はとても安いですけど。」
「ゴホンゴホン」
レオネの冷ややかな視線を受け、ロシュアは咳払いをしながら目をそらす。
「な、なるほど…あと、気になっていたのですが、そこの2人は?」
ダニーはロシュアの後ろに立つやっと息が整ってきた2人を指し示す。
「どうも、所員のジェニー・ハルミオンです。」
「同じく、所員のカレン・ミツムラと申します。よろしく。」
2人の自己紹介を聞き、改めてダニーは4人の顔を見回し、
「変わったメンバーですね。」
「よく言われますよ。」
ダニーはポツリと呟き、それを聞いたロシュアは苦笑する。
「しかし、腕だけは確かです。どんな依頼も解決してみせましょう。」
突如、雰囲気の変わったロシュアの強い眼光を受け、ダニーは僅かにたじろいだ。
その瞳には絶対的自信のようなものが宿っていた。
「では、依頼をお聞きしましょう。」
にこやかな表情に戻ったロシュアはダニーに依頼を言うように促した。
「はい、今回依頼したいことなのですが…」
ダニーはそこまで言うと、少しだけ躊躇いを見せるが、再び口を開く。
「『連続猟奇殺人事件』について調べて頂きたい。あわよくば犯人を突き止めて頂きたい。」
「ほぉ、猟奇殺人の捜査、ねぇ…」
ロシュアは顎に手を置き呟く。 後ろの3人の表情も少しだけ険しくなる。
その空気に不安を感じ、ダニーが口を開く。
「あの…」
「………っと、失礼しました。しかし、なぜ我々に依頼を?その事件は警察が全力で捜査してるはずですが?」
「………警察が頼れるなら、ここまで来たりしません。」
ダニーは心底悔しそうに歯噛みした。
その姿を見て、ロシュアはダニーに尋ねる。
「ホワイトさん、失礼ですが、ご職業は?」
「はい、私はこの街の警察署に勤めています。」
「ほぉ、警察からの直々のご依頼ということですかな?」
「はい、お恥ずかしい限りですが…」
「今回依頼に来られたのも、上の方からのご指示で?」
「いえ、依頼自体は私の独断によるものです。」
「独断って……よろしいのですか?政府公認の警官が、民間の探偵団に捜査を依頼したと知られれば、あなたの立場も危ういのでは?」
「覚悟の上です。」
ダニーは強い意志を感じさせる瞳でロシュアを見据える。
その視線を受け、ロシュアは1度目を瞑り、真剣な面持ちで答える。
「わかりました。詳しくお聞かせください。」
どうも、卯月です。やっとこさ依頼が来ましたよ!前回まで茶番ばかりでしたからねwww物語はここからが本番ですよ!それでは、乞うご期待!