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ローランド探偵団事件奇譚  作者: 卯月 聖
屍者狂詩曲 〜コープスラプソディ〜
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屍者狂詩曲〜コープスラプソディ〜 1-2

「おはよう、皆さん。」

扉を開き、上品に挨拶を口にする女性。

鮮やかな赤髪と薄茶色の双眸、肌は健康的な色をしており、スタイルは服越しからでもよくわかるほど抜群であった。帽子をかぶり、いかにも高級そうな春物のコートを羽織り、肩にはショルダーバッグをかけている。いわゆる「金持ちの令嬢」といった出で立ちだった。

そして、右手にのみ革製の手袋を着用していた。

「おはようございます、レオネさん。」

事務所に入ってきた女性、レオネことレオネッタ・ヴァーダイルはジェニーの顔を見るとニヤリと笑い、ジェニーに近づき、その腕を抱いた。

「おはよう、ジェニー。今日の調子はいかがかしら?」

「別にいつもどうりですよ。ところで毎度毎度言ってますが、そういう風に胸を押し付けられると作業しにくいんですけど。」

「もぅ、いつもそうやって冷たくあしらって、わたくし寂しいですわ。」

「意外と男の方が好きだったりしてな。」

不服そうに頬を膨らませるレオネとからかうロシュアにジェニーは返答する。

「別に僕はふつうに女性を好きになりますよ。ただレオネさんが僕の守備範囲外ってだけです。」

「えぇ⁈」

ジェニーの発言にショックを受けるレオネ。

ロシュアは腹を抱えて笑っていた。

そんな中カレンだけがレオネに近づき、励ましの言葉を送る。

「レ、レオネ殿、私はレオネ殿のこと好きだぞ?だからそう気を落とすでない。」

カレンの励ましにレオネの顔が明るくなる。

「あぁ、カレン!あなたはとっても優しいのね!このままお持ち帰りしたいくらいですわ!そうね、今夜はわたくしのお部屋に泊まってくださいませんこと?そして、皆寝静まった頃に…」

「おいこらそこの節操なし。純粋無垢なガキに手ェ出そうとしてんじゃねぇ。」

「ん?泊まるくらいなら私は一向に構わんが…」

「やめとけ、いろんなもん失っちまうぞ。そういうのはもっと大人になってからだ。」

ロシュアに子ども扱いされたカレンが反論を口にする。

「むっ!バカにしてくれるなよ所長殿。私はもう立派な大人だ。れでぃだぞ、れでぃ!その証拠にだな、私は知っているぞ!赤子はキャベツから生まれてくるということをな!」

平らな胸を張りカレンは自慢気に言い放った。そんな幼い少女に3人は、

「おぅ、そうだな。」

「あらあら。」

「何言ってるんですか。子どもはセッ…」

「それ以上は言ってはいけませんわよ?」

ロシュアとレオネは微笑ましく彼女を見つめ、ジェニーはレオネに口を塞がれモゴモゴ言っている。

「なんだ、その侮るような目は。私は変なことを言ったつもりはないぞ。」

至って真面目な顔で言うカレンに「本当のことを知った時が楽しみだ」と密かに笑うロシュアとレオネだった。

「ところでロシュア?」

レオネはロシュアの前まで移動し、問いかける。

「今日はお仕事はないのかしら?お仕事はないのかしら?」

「あ、そうだった。今日9時から依頼人来る予定になってるから。」

「は?」

「9時から?」

ロシュアの発言に目を見開くカレンとジェニー。2人は壁にかけてある時計に目を移す。

時刻は午前8時45分。

「…ってあと15分しかないじゃないですか!」

「その依頼はいつ来たんですの?」

「3日前。」

「なぜ今まで教えなかったこの大バカ者!」

「すまん、忘れてた。」

「あらあら。」

「カレンさん!あんなバカほっといて急いで掃除しましょう!」

「あいわかった!」

2人は掃除道具を取り出し散らかった事務所の掃除に取り掛かる。2人の邪魔にならないようにレオネはロシュアのデスクの後ろに回る。

そして2人には聞こえないほどの声でロシュアに話しかける。

「随分と明るくなりましたわね。あの2人も。」

「ジェニーは17歳、カレンは15歳だぜ?ガキは本来あのくらいでいいんだ。」

「そうですわね。」

レオネは慈愛と哀しみを宿した瞳で2人を見つめる。

「あの年なら同年代のこと遊びまわってていいはずなんだよ。それなのに、ガキに似つかわしくないもん背負わせやがって…ヤツらのせいで、あの2人は…」

「ロシュア…」

「……まぁ、ここにスカウトしちまった時点で、俺も人のことは言えねぇかもしれねえがな。」

「あら、ではわたくしも同罪かしら。」

「お前は違うだろ。お前にも、たくさん辛い思いさせちまったからな。もぅ、無理に俺について来ることなんかないんだぜ?」

「フフ、わたくしはあの日から貴方を支えるって決めているのよ。あの子たちもきっと同じ。貴方こそ、1人で背負う必要なんてないのよ?」

2人の間に沈黙が流れる。しばらくして、レオネが口を開く。

「『連続猟奇殺人事件』について、貴方はどうお考えなのかしら?」

「強いて言うなら、そうだな…謎な点が多い。周りは気にした風じゃないが、おかしな点がいくつもあるんだ。もしかすると、ヤツらが一枚噛んでるかもな。」

「ヤツらが?」

「あぁ、ただの予感だが、どうも雲行きが怪しい。この事件、ヤツらが関与してても不思議なことはねぇぜ。そして、今回の依頼も…」

そこまで言って、ロシュアは窓の外に目を向ける。

春風とともに不穏な空気が流れ込んできた。そんな予感が彼の心を曇らせる。

いきなり謝るっていうのもおかしな話ですがすいません(汗)

2日前に投稿したお話があまりにも長すぎるなと思ったので二つに分けさせてもらいました!

なのでこれで正式に主要メンバー全員集合です!

それでは改めまして、彼、彼女らの活躍に乞うご期待!

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