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一つの世界の終わりに  作者: いちのはじめ
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青い空の下で

 こう思った事はないだろうか? 別の宇宙があり、そこには今の世界とは違う、まったく別の物語があるのではないだろうか? と。


 別の次元、別の宇宙、それは時空を超えるエネルギーの数だけ存在する。これはその中のごくわずかな一つの宇宙の、更にわずか、無数にある小さな世界の出来事から連なる、物語の最後。そして最初の出来事。

 とてもとても広い空の下。一面に薄い青をした全くの空の下で、僕は、一本の道を丘の上へと歩いていく。朝露に濡れた草の香りと風がけっしてやむ事のない丘の上で、彼女は僕を待っている。それをとても嬉しく思って、身体全身がその喜びで一杯になった。そして彼女も同じ思い同じ気持ちでいる事を、僕は知っていた。遠く遠く、ここまでの道のり。

 風が少し強くなっただろうか、丘の上が近づくにつれ、そこに彼女の姿があった。遠目にもそれとわかる豊かな黒髪が、いたずらに風がもてあそんで少し、彼女はそれに困っているように見えた。だから僕は少し急いですすんだのだ。心地よくも少し強い風の中、僕が彼女の隣に立ち、彼女を抱き寄せるために。そして優しく髪をおさえるために。

 僕の身体は鼓動を喜びにと解放されていき、さらに外へと広がり全てと一つになる。透き通るように。

 僕達は"作るもの"。二人で一つ。ここで再び会う事を誓い合い、長い長い時間を超えてようやく、その約束を果たす時がきていた。遠い遠い、はるか昔にかわされた太古の約束。この丘の上で。そう、ここは最後の世界。そして最初の場所。この先に、世界はない。この丘の向こう側というものは存在しない。それは僕達が一つになり、これから作るまだ見ぬ世界のため、その先にルールは存在していないのだから。真っ白な、ただただ真っ白な自由があるだけだった。そしてようやく果たされる約束を迎えて僕達は喜びの中、その先に世界を作るだろう。"作るもの"として。きっと美しい、しかしとても平凡な風景になるに違いない。一歩、また一歩、そして最後の一歩を。

 そこで彼女は僕に言うのだ。あの言葉を――。

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