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バレンタイン番外編2

本日2話目です!

番外編1の続きになってるのでまだ読んでない方は番外編1から読むことをおすすめします。



そして14日


「ただいまー」「うーす」「お邪魔しまーす」

「お父さんおかえりなさい!」「おかえりー」「兄さんおかえりなさい」「旦那様、お疲れ様です」「あ、真琴帰ったんだ」「真琴君!お疲れ様」

「あれ?皆来てたんだ」

「だから言っただろ?」

「あれ?姉さんも居たんだ」


この日は真琴と悠一、リオンがバイト(真琴の紹介で全員同じバイト先だ)で一日出ており、家に帰ってきたら女性陣が勢揃いしていた。


「これ適当に買って来たけど良かったか?」

「あ、ありがとう。貰うわ」


ついでとばかりに優衣がメールで飲みのもを買ってくるように言ったので少し帰りが遅くなった。

え?父さんと母さん?知らないけど今頃二人でデート中じゃない?


というわけでこの家には現在真琴、悠一、リオン、優樹菜、優衣、ルーン、アルン、クロ、ルナ、ティターニャが居る。


「もうちょっとでご飯出来るから待ってて」

「悪いね、ありがとう」

「気にしないの」


バイトで疲れたのでここは素直に女性陣に任せ、男性陣はリビングに倒れ込む。


「何で今日あんなに忙しかったんだよ…」

「しゃー無いだろ?バレンタインなんだから」

「地球って恐ろしいね」


そこにいるだけでも否応無く目立つ3人はバイト先の例のデパートのバレンタイン限定特設カフェでホールに回され、馬車馬の様に働かされた。


「そういえばマコト、荷物どうしましょう?」

「んー、とりあえず部屋に置いとくか…」


リオンが横に置いたカバンを指さすと真琴は若干だるそうに起き上がる。と、そこに優樹菜がやってきた。


「あ、私持って行こうか?」

「ああいいよ」

「そっか…ところでこれは?」

「チョコレート」

「あ、おい悠一!」

「え?」「は?」「ん?」


悠一がからかい半分で告げた中身に女性陣は固まる。


「ま…まさかこれ全部?」

「聞いて驚け、全部だ」


そのカバンは優樹菜が両手で抱えるぐらいの大きさだった。しばらく固まると優樹菜が笑いながら真琴に近寄る。目のハイライトは消えていたが。


「ねぇ…真琴君。まさか」

「いやいやいや優樹菜さん落ち着こう。そう、一旦落ち着こう。これには訳が…」

「ここで言い訳をするのは見苦しいぞ」

「ルーン!?いやそうじゃなくて」

「旦那様……残念です」

「ティターニャまで!だからちょっと」

「兄さんがそんな人だったなんて」

「ルナ!だから話を」

「お父さん…」「まさか…」

「アルン!クロ!話を」


浮気現場の問い詰めの如く真琴に迫る優樹菜達を優衣と悠一は爆笑しながら見ている。そう、それはまるで火曜の昼ドラを見ているが如く。

そんな様子を見ながらリオンは思った。

(…何か、凄まじいな)


「はいはいそこまで。優樹菜も話ぐらい聞いてあげなさい」

「…」

「真琴、だから言っただろ?」

「いやだからって…」


今にも掴みかかるが如く真琴に迫る優樹菜を優衣が止め、真琴に笑いながら悠一が話しかける。


「で、何があったの?」

「いや…バイトしてたらお客さんが是非受け取ってくれって。そして好きだから付き合って下さいって…」

「補足しとくとちゃんと断ってたからな、全員」

「全員って…まさかユウイチとリオンのもあるのか!?」

「いや姉さん何でそこで驚くんだよ」

「ちなみに俺とリオンで合わせて10ぐらいだったかな?残りは真琴の分だぜ?」


悠一の告げた脅威の内容に真琴は余計なことを言うなと睨む。


「で、でも断ったのに何で?」

「"せめて…せめて食べるだけでもいいから受け取って下さい"だってさ。もー凄く必死な顔しながら」

「あー」


真琴がそう言われると弱い事を誰よりもここにいる皆が知っている。


「つまり真琴は…」

「彼女が居るからって断っても泣いて渡してくる女子達に断りきれず受け取ったと…」

「…すみません」


何とも言えない空気が漂う。実際見たわけでは無いがこのチョコレートの数を考えると中々に凄いことになっただろう。これはさすがに優樹菜も怒るに怒れずなんとも言えない顔になる。


「うわ、凄いよこれ住所まで書いてある」

「"一生あなたを待ってます"だって」

「こっちなんか"ずっと見てます"だぜ?」

「地球の女性は怖いな…」


そんな空気の中何気なく見たチョコレートの内容が軽く怪文書化していてキモを冷やす。


「…真琴君、これお返しするの?」

「……一応貰ったからね」

「「はぁ…」」


それを横目にそれでも返す真琴を誇っていいやら怒っていいやらでよく分からなくなる優樹菜だった。


ちなみにそんな中、年少組は

「く、クロ…ヤバいよこれ」

「これなんか軽くストーカーじゃないですか」

「恐ろしいわね…」

真琴がいかにモテるかを再確認し、同時に手紙の内容に戦慄していた。



「ま、まぁとりあえず食べましょ!」

「そ、そうだな!」


仕切り直すように優衣が告げ、今度は真琴達も協力して夕飯を並べる。


「お、凄く美味しそうだ」

「アルンも作ったんだよ!」

「わ、私も」

「兄さん、これは私が」

「はい悠一も座る」

「うーん豪華だね」

「ユキナさん、これ持っていきますね」

「あ、すみません」

「あ、僕が持ちます」


「皆座ったわね?それじゃ今日はお疲れ様」

「「「いただきます!」」」



それぞれが思い思いに話しながら和やかな夕食は過ぎていく。


「「「ごちそうさまです」」」

「お粗末様です」


「じゃ、片付けは僕達でやっておくよ」

「え?そんな」

「まあまあ座ってなって。リオンもいいだろ?」

「当たり前です」


それならばと女性陣は一旦何処かへ行き、その間に真琴達は食器を片付ける。


「終わったー、ってみんなは?」

「リビングじゃない?」


リオンの言う通りリビングには皆が集まっていた。何故か全員立っている。その中からアルンとクロが前に出た。


「「お父さん!」」

「ん?どうした?」

「そ、その」


目線を合わせるためにしゃがむと緊張しているのかモジモジしているアルンとクロ。その後ろからティターニャが優しく背中を押した。


「これ…」「つ、作ったから…」

「これは…僕に?」

「そ、そう」

「ありがとう!嬉しいよ」


二人がおずおずと差し出したのは可愛くラッピングされたガトーショコラだった。多少形が崩れているがそれでも上手に出来ている。


「ご、ごめんなさい…」

「どうした?」

「形が、変だから」

「そんな事ないよ、二人が作ってくれてとっても嬉しいよ!」

「…ん」「ありがとう」

「こちらこそ、ありがとうね」


そう言って頭を撫でると二人はくすぐったそうに目を細めた。


「旦那様、これは私からです」

「ティターニャも、ありがとう」


そう言って後ろにいたティターニャも丁寧にラッピングされたお菓子を差し出す。


「嬉しいな」

「そ、その、日頃の感謝を込めて…」

「ありがとう、大好きだよ」


そう言って抱きしめると顔を赤くして「もう…反則です」と呟いた。

ティターニャが離れると次は顔を赤くしたルナが緊張気味にお菓子を差し出す。


「兄さん、その…いつも、ありがとう、です」

「ふふ、ルナもありがとう」

「な、なんですか!」

「いや、ルナは可愛いなって」

「うな!?」


緊張しているためか普段は隠している猫耳や尻尾が所在なさげにフラフラ揺れていた。そんなルナの頭を撫でると顔を真っ赤にして恥ずかしそうにうつむいたが小さい声で「…ありがとう、です」と呟く。


「マコト、これは私からだ」

「ルーンありがとう。嬉しいよ」

「そ、そのだな…初めてで色々とあれだが」


確かにルーンのお菓子も多少形が変だがそれだけだ。


「そんな事ないよ。すっごく美味しそうだ」

「そ、そうか。それは良かった」

「ルーン、ありがとうね」

「ふ、ふん!」


改めてお礼を言うとそっぽを向いてしまった。しかし真っ赤な耳が隠せてないのは黙って置くべきだろう。


「はい、悠一も」

「お、悪いな」

「いいわよ。ついでだったし」

「扱い雑くね?」


そう言って悠一は苦笑いするが若干優衣の耳が赤くなっているのは言わない約束だ。


「優衣」

「ん?」

「ありがとう、大好きだよ」

「…バカ」



何処も幸せそうで何よりだ。

ちなみにリオンは既に本命から貰えており、ティターニャからも余ったから、と渡してもらえたので喜んでいた。


「皆渡し終わったかな?」


そこで優樹菜がキッチンから顔を出す。手には大きなチョコレートケーキが。


「それじゃこれ食べようか」

「飲みのも持ってくるね」

「あ、ありがとう」


そう言って真琴が席を立つとアルンが不思議そうに優樹菜に聞く。


「あれ?ユキナは渡したの?」

「ふふっ、私は…後で、かな?」

「?」


よく分からず首を傾げるがまぁいいかと準備を手伝った。


それからはみんなでケーキを食べ、ジュースを飲んで少し遅くまで騒いでいた。夜も遅いという事でこのままみんなは真琴の家に泊まる事になった。


「すっかり寝ちゃったね」

「そうだね」


疲れたのか年少組は眠ってしまった。


「なら私も寝かせるついでにもう寝ますね」

「あ、なら私も手伝うよ」

「なら私も」

「んじゃリオン、俺達も寝る準備するか」

「そうですね」

「悪いけど片付け頼むわ」


そう言ってティターニャと優衣、ルーンは年少組を抱えて寝室へ向かい、悠一とリオンは客間で寝るためその準備で退室して行った。必然的に真琴と優樹菜の二人が残る(全員がニヤニヤしていた事からわざとだろう)。


「…とりあえず片付けようか」

「そ、そうだね」


なんとも言えない空気の中とりあえず二人は後片付けを行う。


「…ふぅ」

「お疲れ様、優樹菜」

「あ、ありがとう」


一段落すると真琴は先程作ったココアを優樹菜に渡す。


「優樹菜も大変だったでしょ、料理教えるの」

「まぁ…でも楽しかったな」

「それは良かった」


そう言って二人で笑う。


「…真琴君、はいこれ」

「これは…ありがとう」


優樹菜が差し出した小さい紙袋には自作のお菓子の詰め合わせのような物が入っていた。それを受け取って真琴は嬉しそうに微笑む。


「良かった、貰えないかと思ったよ」

「まさか!でもその…ちゃんと渡したくて」

「嬉しいよ」

「真琴君、その…大好きだよ」

「優樹菜、僕も優樹菜が大好きだよ」


お互いの目を見つめて想いを伝える。次第に二人の距離が近づく。

ゆっくりと二人の影は重なった。

夜空の月だけが二人を静かに見守っていた。









次の月…つまりホワイトデー


「はい、みんなにプレゼント。バレンタインはありがとうね」


そう言って真琴は一人ひとりに自作したお菓子の詰め合わせをプレゼントしていく。悠一とリオンも真琴に習いながら作った。


「…む」「なんだろう」「何か悔しい」

「お父さん!美味しい!」「さすが兄さん…」「まぁ…」


一人ひとりに合わせて中身が違い、かつどれも美味しい事に乙女達はなんとも言えない敗北感を味わうのだった。


(来年こそは…!)


そう密かに決意するのだった。


いかがでしたか?

本編とは一切の関係がない(…多分)ですが「こうだったらいいな…」という筆者の想像を書いてみました!

本編は早ければ今週中にでも投稿したいと思っています。


少しでもいいなと思っていただけたら嬉しいです!

感想、評価お待ちしております

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