第7話 会議の終わりと始まりと
「ん…まぁ代表については一旦保留に」
僕はみんなの息の合った反応に少し圧倒されつつも、とりあえず抵抗を試みる
「工藤君?時間が惜しいと言ったのは君ですよ?」
「大体あの場であんだけ話せたのは真琴ぐらいだろ?」
「それに生徒会長だしね」
…ダメだそうです。ちなみに最初の発言は三咲先生だ。いや、あんた教師だろ?あんたやれよ。その意見も先程却下されたので通用しない。
(…くそ、何か回避する手立ては)
僅かな期待を込めて横の優樹菜を見ると
「真琴君が代表やってくれたら安心だね」
と、とても良い笑顔で言われあえなく撃沈…
(いやいや優樹菜さん?あなたは一体僕の何に安心してるの?)
と、そこで肩に手をおかれ振り向くと
「もう…諦めな」
クラスの男子どもに諭された。
(いや、お前ら絶対楽しんでるよねぇ?ねぇ?)
その後頑張ってみたが結局逃げ切れず代表になりました。
「さて、ここまで来ると後は副代表だが…」
「はい!真琴代表、意見があります!」
と、そこで一人の女子生徒が手を挙げた。
「代表はやめてくれ…えーと、三和さん?だっけ?」
彼女は確か優樹菜といつも話している人だ。
…生憎と毎朝寝ているので、未だにクラスメートの顔と名前が一致しない時がある。
「わぉ、覚えててくれたんだ。風花でいいわよ」
「これはまたいきなりだね。オーケー、それで?風花さんの意見とは?」
「むむ…まだ硬いな。まぁそれは追々として、代表に男子がなったならここはやはり女子もいた方が、何かと都合が良いと思うから副代表は女子から決めて良い?」
「ふむ…一理あるな、分かった。じゃあ副代表は女子で決めてくれ」
その言葉を受け、女子達が集まってゆく。
「先生、すみませんが先生も参加して下さいね。」
「分かってます。さ、遠藤さんも行きますよ?」
僕が頼むと三咲先生は心配性ですね、とクスクス笑いながら優樹菜と一緒に女子グループの方へ行った。
(さて…どうなるのかな?)
〇〇女子side〇〇
少し離れたところでみんなが円を組むように固まる。
「それで、どうやって副代表決めるの?風花ちゃん何か考えあるの?」
「もちろん!副代表は優樹菜が良いと思う!賛成の人挙手!」
「「「はい!賛成!」」」
「はい決定。優樹菜頑張ってね!」
勢いに乗り損ねた優樹菜は唖然とする。
「ふぇ…?ちょ、ちょっと待って。え?何か軽くない?大体何で私なの?」
「いやいや優樹菜さん?代表はあの真琴君だよ?」
「うん、そうだね…え?まさか理由それだけ!?」
「むしろそれ以外に理由いる?さあ!この機会に更に一歩踏み出すのよ!」
「いやいや意味分からないよ。一歩って何?
それに大体三咲先生がいるじゃない」
「あー、三咲ちゃんちょっと頼り無いし…」
「あー…」
一斉に哀れみの視線を向けられる三咲先生
「た、たよ!?う…分かってます、まぁ分かってますけどそんなのはっきり言わなくても…」
先生遂に端でしゃがみ込みました。あ、のの字書いてる。
「だから優樹菜!頑張ってね!」
「いやだから…」
「上手くいけば、真琴君と二人きりになれるかもよ?」
優樹菜の耳元で悪魔(風花)の囁き
「ふ、二人きり……や、やらせていただきます」
優樹菜がそう呟くと、周りから歓声が上がった。
…三咲先生はまだいじけていたが。
〇〇真琴side〇〇
女子が少し離れた所で話しているので、こっちはこっちで男子達と話している。流石にこれだけ時間が経つと皆この状況に慣れたのか普通になってきた。
「いやーやっぱり代表はお前じゃないとな」
「もっと相応しい人いたでしょ…」
「まぁいいじゃないの。頑張れ代表!」
「お前ら…絶対楽しんでるだろ!?」
「「「もちろんさ!!」」」
「もうやだこいつら…」
などと話していると、女子グループから唐突に歓声が上がった。
(どうやら決まったようだな)
何故か端で三咲先生がいじけてるが何かあったのか?そんな事を考えていると、女子たちも戻ってきた。とりあえず先頭にいた風花に声をかける。
「お疲れ様。それで?代表は決まった?」
「わ、私です…」
と、横にいた優樹菜がおずおずと手を挙げた。何故か顔が真っ赤だ。
「なぬ!?優樹菜さんが!」
「しまった!その可能性があったか!」
「なら俺がやっておけば…」
今さらながらに、騒ぎ出す男子ども…
「はぁ…もう時間惜しいから文句なら後な。じゃあとりあえず時間も無いから代表は僕、副代表は優樹菜にやって貰う」
周りを見ると特に反対も無く、他の学校も大体決まったようなので
「うーん…あと10分ぐらいか?まぁみんなは適当に他の学校の人とかと話しておいて」
そう言うと、皆ばらばらに動き出した。
「じゃあ優樹菜行こうか?」
「ひ、ひゃい!…あ」
…噛んだな。それも"ひゃい"って…
本当に顔赤いけど、大丈夫か?風邪とか引いて無いといいけど…
とりあえず噛んだ事には触れず歩き出すと黙って付いて来た。
…そういえば三咲先生忘れてたな。ま、いっか
それから、数分としないうちに他の2校も決まったようで代表がこっちへ来た。
結果↓
桜ヶ丘代表 工藤真琴
副代表 遠藤優樹菜
中部工業代表 斉藤悠一
副代表 近藤達也
新中央代表 服部優衣
副代表 加藤真理
…何故こうも見知った顔が多いんだ?
ふと悠一を見ると苦笑いしながら
「いやー、最初真琴達と話してただろ?それで、どうせ仲が良いのなら…って」
「あーうちの学校も大体そんな感じで流されてね…」
そう事情を説明した。
「なるほどな。まぁ確かにそっちの方が気分的に楽なんだがな…
何かごめんな。迷惑かけたみたいで」
そう謝りつつ初の顔合わせとなる二人へ向く
まずはこっちから挨拶だよな
「初めまして。桜ヶ丘の代表の工藤真琴です。」
「は、初めまして。中部工業の副代表の近藤達也です。」
「同じく新中央の副代表の加藤真理です。」
近藤さんはやはり体格の良い元気そうな男子。
加藤さんは眼鏡が特徴的なおとなしそうな女子だ。何とも対照的な二人だった。どうやら悠一、優衣と仲が良いようで彼らも流された結果だそうだ。
緊張でガチガチな事については一々突っ込んでもいられ無いので各々自己紹介をして今後どうするかを話し合う…はずだった。
「あー…真琴ごめんな。工業としてはとりあえず真琴に合わせる事になった。いや、俺は止めたぜ?でもほとんどがそれで行けってさ…」
「真琴ごめんね。新中央もそんな流れになったのよ…何かもうあんたが代表ならそのまま決めて貰えって…」
と、二人がすまなさそうに爆弾発言をした
(ようは責任転嫁か…何となくそんな予感はしてたけど…)
と、早速嫌気が差しつつも時間が惜しいのでそれを了承する。皆後からマズイ事になった時に叩かれるのが恐いのだろう。
ま、なら僕で良いか。
「優樹菜ごめんね。ちょっと大変だと思うけど…」
「ううん、私は大丈夫だよ!それよりも真琴君は大丈夫なの?」
「はは…まぁ何とかなるでしょ…」
てか何とかしないとな
一応副代表である優樹菜には謝っておき、憂鬱な気持ちで改めて国王達をみるとあちらもそれを察して防音壁が解除されてゆく。
ふと後ろの生徒達を見ると、もはや学校毎の境界線は無くなっておりいくつかのグループが出来ていて、みんな真琴達を期待と不安の混じった顔で見ていた。
(まぁとりあえず仲良くなっただけでも良しとするか…)
そう気持ちを切り替え、未だこちらを観察し続ける異世界の住人と対峙しながら真琴はこれからどうするかを考えだした
やっと帝国と話し合いです
ちょっと状況整理のため長くなりますが気長に読んで下さい