第62話 残された者達#4
「ねぇごめんってば優樹菜。ねぇ」
「知りません」
私は今とても怒ってる。
ええ、それはもうすっごく。
「ねぇ優樹菜、もう許してよ」
「優衣ちゃんと悠一君があんな…あんな事を…」
隣の優衣ちゃんに怒ろうとしたけどそもそもの原因を思い出して顔を赤くしてしまった。
そんな私を見て優衣ちゃんはニヤニヤ笑ってる。
「あれあれ?優樹菜さんどうしたんですか?"あんな"って何ですか?」
「も、もう!もういい!」
「あぁ優樹菜ごめんってば」
私と優衣ちゃんは今は私の部屋で話している。
所謂ガールズトークをしているんだけど…これって自分が当事者だと凄く恥ずかしい!
まぁそもそもの原因が私が真琴君が好きだって暴露したのが悪いんだけどさ…そんなに言わなくてもいいじゃん!
「ま、まぁ悪かったって。優樹菜が可愛くてついやっちゃった」
「うー…もうやらない?」
「う、それは…はい」
「そこは即答しようよ優衣ちゃん…」
一旦落ち着いたところで優衣ちゃんがふと優しげな顔になって言った。
「まぁ、何はともあれあんたが戻ってくれて良かったわ」
「うん…本当にありがとね。優衣ちゃんには凄く大変な事したと思う」
「ああ、いいのよあれぐらい」
「ううん。今回の事は私の想像してる以上に優衣ちゃんには迷惑かけたと思うから…本当にごめんね」
「んん、何かそう畏まって言われると照れるわね。でもま、こうやって話せてる事が本当嬉しいわね」
「優衣ちゃん…」
「それにね、迷惑なんて言わないの。
私達は友達でしょ?迷惑なんてドンと来いって感じよ。だからそんな一々畏まらなくっても大丈夫よ。こういう時はね、ありがとうって言っておいて後は早く元気になってくれればそれでいいの」
「優衣ちゃん…本当に、ありがとう」
「ん、どういたしまして」
不覚にもまた泣いてしまった。
優衣ちゃんの背中を撫でてくれる手はとても温かくて、とても優しかった。
「さて、優樹菜。あんたこれからどうするの?」
落ち着いたのを見計らって優衣ちゃんが聞いてきた。
「うーん…一刻も早く真琴君を助けに行きたい」
「いやそれは全員の総意だと思うわ」
「優衣ちゃんは何してるの?」
「私?私は病人の看病…かな?」
こっちを見てニヤッと笑う。
(その病人って…もしかしなくても私、だよね)
「その節は大変…」
「ああいいのいいの。さ、ふざけるのはここら辺で。私はともかく、悠一はずっと訓練してるわね」
「訓練?」
「そ、ここにはカインさんとエクさんが居るから相手になって貰ってずっとやってる」
「ティターニャさん達は?」
「ティターニャさんは…悠一の意見を聞いてから今もずっと真琴を探してる。あとアルンちゃん達はちょっと…」
「そう…」
多分アルンちゃん達はこの世界の人達だから余計に真琴君が死んだって信じているんだろう。
そしてティターニャさんもまだ真琴君が見つかって無い状態で曖昧な情報を知らせて希望を持たせるのを避けているのだと思う。知った上で死んでいたら多分今よりも更に酷くなるから。
「ルーンさん達は?」
「王族の皆もずっと戦闘訓練」
「…え?」
おかしい。私の耳がおかしくなったようだ。
「あ、カリンさんはティターニャさんの手伝いをしてたかな?」
「いやいや、そうじゃ無くて」
「どうしたの?優樹菜」
「え?待って、戦闘訓練?王族が?」
「あぁ、そこね」
と、ここで私の混乱の原因を理解した優衣ちゃんが事情を説明してくれた。
何でもこの島に来た初日は真琴君の事もあって何もしなかったらしい。しかしこのままでは本当に何も出来ないと一念発起?したルーンさんが悠一君に混じって訓練を始めた。すると私も私もとアイゼン王とリオンさんも訓練に参加。カリンさんはティターニャさんが大変そうなのでそちらを手伝っているそうだ。
(うん、何かとても活動的な人達だね)
「まぁとりあえず挫折して無いだけマシでしょ」
「うん、まぁそう、だね?」
何だろう。私の知ってる王族のイメージと全然違う気がする。
「で、改めて聞くけど優樹菜はどうする?」
「うーん…とりあえず訓練、の前にアルンちゃん達とちょっと話す事にするわ」
「そう、分かったわ。なら私もついて行く」
なんだかんだで心配してくれる優衣ちゃんは本当に優しいと思う。
「うん、じゃあ「その前に」…ん?」
「あんたまずお風呂入りなさい」
「え?……!?!?」
言われて気づく。私今凄い格好してる。
(そういえば最近お風呂入ってないし、ご飯そんなに食べてない。それに服なんて何時から変えてないっけ?)
「あぁ、ほら落ち着く。とりあえずお風呂ね」
「はい…」
我ながら情けない。そう思いながら身支度を整える私でした…
遅くなってすみません…
今回はちょっとほのぼの回でした
あと二、三話程残された者達編を書いてその後に本編に戻る予定です。
よろしくお願いします




