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第59話 残された者達#1

しばらく優樹菜達視点です


「真琴君!」


まただ…


私はほんの僅かな期待を込めて必死に手を伸ばす。


ほら、また


視界の端に映る人影…三咲先生がナイフを構えて走って来る。

そんなもの、ナイフぐらい私はどうでも良い。それより真琴君を…


ほらね、やっぱり


何時も真琴君は私の手を取らずに庇ってくれる。

ナイフが刺さるのも構わず私を押してゲートの向こうへ飛ばす。


「また後で!」


そんな言葉と安心させるような無理な笑顔で。

ダメだよ…何で…?

私は戻ろうと必死で手を伸ばす。

どんどんゲートは閉じていく。


そして…



「真琴君!!……ぁ」


あぁ、まただ…

もう何度目か分からない。いつもの夢のいつもの場面で私は飛び起きる。


「…優樹菜、大丈夫?」


横では当たり前のように優衣ちゃんが居て、心配そうに顔を覗き込んで来る。


「…優衣ちゃん、真琴君は?」

「……」


何も言わずに首を横に振る。その様子に私はまた顔を伏せて泣いてしまう。落ち着くまで優衣ちゃんはずっと傍にいてくれた。

(何処にいるの?真琴君…)




あの教会の謀反から既に1週間が経過していた。


あの日、私がゲートを幾つか潜ってこの場所に辿り着いたのを最後にゲートは閉じてしまった。

私が、真琴君が残された事を説明すると優衣ちゃん達やアルンちゃん達はすぐに戻ろうと言ったけどティターニャさんがそれを止めた。


「何故ですか!?」

「それが旦那様との約束ですから」

「…約束?」

「はい、向こうのゲートが閉じる時間になったら誰が残っていても絶対に閉じろ、と」

「そんな…な、何でそんな事を…」

「でもお母さん!マコトが!」「お母さん!早く助けに!」

「あなた達は黙ってなさい!」


突然の母の剣幕に精霊二人はビクッと固まり、普段とは打って変わった様子に全員が驚いてこちらを見る。


「私が…私が平気でいられるとでも!?あの人が…マコトが今も闘っているのに何もせず平気でいられると!?私だって…私だって今すぐにでも行きたい!行きたいですよ…」


押さえつけていた感情が爆発したかのようにティターニャは涙ながらに叫ぶ。


「でもそれだと…マコトの努力が、計画が無駄になってしまうからと…今この瞬間にもこうしている事がどんなに辛いかあなた達に分かりますか!?」


その時になって私達はようやく気付いた。彼女の両手が血に染まっている事に。恐らく今までずっとこの状況に耐える為に無意識に手を握り続けていたのだろう。爪がくい込み血が流れるぐらいに力を込めて。


「ぁ、…す、すみません。取り乱してしまいました」


我に返ったティターニャが謝るがもはや誰も戻ろうとは口にしなかった。ティターニャの気持ちは痛いぐらいに分かるから。


「とにかく今後の予定を話します。旦那様との計画では今後は全てが落ち着くまで様子見の為にここで安静…つまり動かずに隠れ続ける事になっています」

「そんな…!」

「分かってますユキナさん。これを変更し、今回の事件が落ち着くのを見計らって旦那様の奪還を行います。その為にはユキナさん達の力が必要なのですが…今更ですね」


ティターニャの問も不要とばかりの意思の篭った優樹菜達の目を見て作戦の実行を決めた。


「そもそもここはどこなんですか?」

「ここは大陸の端…そこから更に離れた小島です。地図にも乗って無いのでまず発見される可能性は無いでしょう」

「な、なるほど…でも真琴君の位置は?」

「私達は魔力で繋がっているのでいつでもわかりますよ」


ゲートの時は気付かなかったけどいつの間にか海を渡ったようだ。

でもいつでも位置が分かるって…ちょっと、ちょっとだけ羨ましいと思う。

(でも、これで…)

僅かでも希望が見えた。それだけでもかなり大きい。


これからの連絡に少しティターニャさんが席を外した時に私は優衣ちゃん達に三咲先生の事を伝える。


「あぁ、やっぱり…」

「え?"やっぱり"?」

「あ、違うの優樹菜。これは、その…」


それから聞いた事は凄くショックだった。でも確かに辻褄が合う事ばかり。

(そんな…先生が…)


「そんな!何で!?」「ま、マコト!?」

「アルン!クロ!」

と、その時にアルンちゃん達が急に泣きそうな顔で頭を抱えて立ち上がったと思ったらティターニャさんが凄く慌てて戻って来た。


「だ、旦那様は?マコトは?」

「「…ダメ」」

「そんな…」


青ざめた顔で問いかけるティターニャさんに半泣きで首を振る二人。


「あ、あの…真琴君に何が?」


底知れない不安を感じながら聞く。


「魔力が…旦那様との繋がりが、切れました」

「…え?」


何を言っているのか分からず首を傾げる。


「優樹菜!腕輪が!!」

「え?…う、嘘!何で!?」


しかしその意味は嫌でも知る事になった。優衣ちゃんの悲鳴混じりの声に咄嗟に真琴君から貰った腕輪を見る。するとその中心に埋め込まれた魔石が…ひび割れ、そして消えた。

あまりに突然な事に呆然とする。

魔石はとても固く、簡単には壊れない。


確か本で読んだ気がする。

魔石は凄く固く、並大抵の力では壊せない。が、唯一の例外として魔石の魔力がゼロになって24時間経過した時。製作者が死亡した時。この二つの場合は魔石が砕けて消えるそうだ。


そしてこの魔道具は今回の作戦の前に真琴君が魔力を満タンにしてくれた。だから一つ目の例外は当てはまらない。

つまりそれは自動的に例外の二つ目と言う事になる。


だから


つまり


真琴君は


「…死んだ?」




目の前では泣きじゃくるアルンちゃん達とそれを泣きながら抱き抱えるティターニャさん。


後ろでは魔石の消えた腕輪を見つめ呆然としている優衣ちゃんと悠一君。


(…あれ?…あれ??)


そこで私は意識を失った。





それからは寝る度にあの日の悪夢にうなされては飛び起きる日々を繰り返している

いかがでしたか?


今回は少し暗い感じの話になりました。次回は悠一視点の話にする予定です

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