表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/100

第56話 魔王対決

遅くなってすみません


「何とか間に合ったな」


光が収まるとそこは中々に荒れた状態だった。元々あった天井は大穴が空き、衝撃で壁のガラスも粉々だ。

だが

(やっぱりやられてくれないよな)

下では片手を上げた魔王がこちらを見て笑っているようだ。仮面で見えないけど。


何があったかと言うと事前にルーンには優樹菜達に渡したような魔道具を渡していた(だが急造だった為真琴しか聞こえず、真琴から話す事も出来ない)。それからかなり切羽詰まったルーンの声が聞こえたのでバルトの背からスカイダイビングよろしく王の前に降り、下に魔王が居たので問答無用でバルトにブレスを撃ち込んで貰ったのだ。


そして目の前に至る。未だ呆然としつつもルーンが近寄って来る。


「マコト…なのか?」

「うん、僕だよ。お疲れ様。よく頑張ったねルーン」

「う、うわぁぁぁ」

「え?ちょっ、えぇ?」


と思ったら急に抱き着いて泣き出した。さすがに命の危険に晒され、挙句犯される手前で助けられたのだ。無理もない(最も、真琴は全く知らない事だが)


何とかルーンを宥めながらも前を見る。


大半はブレスの影響で気絶又は腰を抜かして戦闘不能。未だ残っているのは魔王達と勇者が20名ほど。


「おいおい、よく見たら坊主じゃないか!ん?……あぁ、そうか真琴か!」

「…?」


突如魔王は真琴を名前で呼んだ。確かに前回の戦闘で何回か名前を呼ばれたので相手が覚えていても不思議では無い。

(でも何だ?この感じ)

真琴自身も言い表せない不安に戸惑いを示す。


「これはこれは、何とも滑稽な話があるもんだ」


何故か魔王も一人納得し笑っている。

(いや、今はそんな事より)

とにかく眼前に集中する。ルーンも落ち着いたのか顔を赤くしながら離れた。


「おーおー代表様じゃないですか!今更のご登場ですかぁ?」


下からは良太のバカにした声が聞こえる。確かに彼からしたら今から皆殺しが始まる場所にわざわざ飛び込んで来た真琴達はさぞ滑稽に映っただろう。


しかしこちらとしては始めから逃げの一手だ。しかも計画もほぼ完璧だからそこまで深刻になる必要も無い。王様も真琴達が来た事で余裕を取り戻したようだ。なので皆良太の声を普通に聞き流す。


何も反応しない事に苛立ったのか

「ぶっ殺す!」

と言う何とも小者臭いセリフと共に黒い甲冑が現れ、それを身にまとった。そして何故かドヤ顔する良太。


(クロ、あれは?)

『闇の魔力を使った擬似霊装ね。多分教会の力でしょう』

(僕の霊装で勝てる?)

『無抵抗の人間倒すのに上級魔法撃つようなものね』

(うわぁ…)

た、例えが…


(てかまた教会か…)

それであんな威張れるって…何だろ?虎の威を借る狐?いや教会の威を借る不良か?


「真琴、真琴」

「ん?どうした?悠一」

「声出てる」

「え?あ、マジ?」


見ると良太が顔を真っ赤にしてかかってくる。

(アルン、翼だけで)

『分かった!』


アルンにお願いし一部の霊装を出して対抗する。


「悠一達は他のを頼む」

「任せろ!」


見れば他の男子生徒も来てたのでそこは悠一達に任せる。

結果…

五分と経たず相手の男子生徒達は軒並み気絶した。

うーん、弱い

と、


「っっ!!」

「何だよ、気付いてんのかよ」


油断しかけたところで魔王が来た。空中で鍔迫り合いをする。下では3人の魔族と悠一達も戦っていた。どうやら相手も近接が2人(恐らく前回もいた奴らだ)と魔法使い1人のようだ。


「まぁた余所見!」


再び来るのを何とか回避し続ける。

(これなら…ギリギリ)

対抗するのは無理だが回避に集中すればギリギリ打ち合えた。それは悠一達も同じようで先ほどから全く攻めてない。それは魔王も感じたようで不快そうに眉を潜めた。


「なぁ真琴さぁ、お前ら何か勘違いしてないか?」

「勘違い?」

「あの時の俺達が全力だって誰が言ったよ」

「…え?……がっ!?!?」


魔王の言っている事が分からず思わず止まってしまう。

そのスキを突いて来た魔王に対処出来ず床に叩きつけられる。


「真琴!?」「え?」「真琴君!」


と、それに釣られて動きが止まった悠一達も纏めて飛ばされた。


「あぁ、もういいや。アイン、ツヴァイ、ドライも来い!」


その声に反応して黒ローブ達が一斉に下がった。


「確かに俺達はあのダンジョンでお前を殺さなかった。それは何故か分かったか?あれは俺達の分身体だったからだよ。真琴の剣のせいで魔力が漏れちまって決める前に魔力切れで消えそうだから下がっただけだ。あいつら自体は俺達の力の4分の1ぐらいしか無ぇよ」


(くっそ!読み間違えた)

確かにあそこで引いたのは変だと思ってはいたが能力が4分の1であれだけとは…まぁいい、準備は終わった。


真琴とて何も黙って聞いてた訳では無い。魔法の呪文を唱えていたのだ。それが今完成した。


「《ゲート》!!」


それは一見ありふれた魔法だ。それが王の更に後ろに現れただけだ。魔王達も一瞬身構えたが普通のゲートと分かると気を抜いたぐらいだ。しかしそこで違和感を覚えた魔王が眉をひそめる。


「何?…おい真琴、お前いくつ発動したんだ?」


(ちっ、もうバレたか。だが待ってやる義理は無い!)

問答無用とばかりにゲートへ向かう。そして何かあると考えた魔族も邪魔をしてくる。確かに全員動きが段違いだ。ここで本気を出て来たようだ。


「アルンもう隠すな!全力だ!」

『了解!いっくよ!!』


後は撤退するだけなので最早霊装も隠さず全開にする。今までは翼とおぼろげな防具だけだったが、翼はより繊細になり肩、腕、脚に明確な鎧が現れた。そしてその全てが白く輝いている。


近接の2人、アインとツヴァイが斬りかかって来るが今の真琴だと一人で相手が出来る。更に後ろの魔族、ドライには前回から更にパワーアップしたあの自動浮遊体ー細い板(board it thin)の頭文字をとってビットーを向ける。これは前回よりもより細く切れ味が鋭くなった。しかも先端には銃口が付いているので遠距離も可能性だ。

(これなら…行ける!)

全力の霊装でかなり優位に付けた真琴は若干気を緩めてしまった。


「おいおい何だよ。あるじゃん強いヤツ。いいねぇ」

「がふっ!!??」


突如横っ面が殴られ、壁に叩きつけられた。魔王が直接来たのだ。

(ちっ、大人しくしとけよ)


「何だよ、ほらもっと来いよ!さぁさぁさぁ!」

「うるさい、よ!」


お返しとばかりに二刀流で連続して斬りかかる。


「はっ、そんな玩具で!」

「だったらやってみろ!」

「うるせぇぇえ!」


さすがに拳ではキツかったのか魔王も大剣をどこからか取り出した。あえて下がり王達の前に戻る。


「ルーン達は早く行って!アルンとクロも悪いけどあっちで事情説明を!カインさんとクラリッサ先生も一緒に!」

『マコト!?』『私達はまだ』

「時間が無い!あっちが信用してくれる人が行かないと!」


このまま王族だけ行っても警戒されて無駄に時間をロスするだけだ。だからこそティターニャの娘の2人に行ってもらうのが良い。


「あぁもう!分かったわ!ほらアルン行くわよ!」

「え?でもマコトが…」

「安心して、すぐに行くから」


実体化しても尚渋るアルンを安心させるように笑う。


「それにこれはアルン達しか出来ない事だ。任せたよ」

「「…!」」

「わ、分かったわ!」「任せて!」

「よし、じゃあ頼んだよ」

「うん!マコトも気をつけてね」

「マコト!待ってるよ!」


そして2人はゲートへ飛び込んだ。

(からかってるだけだろうけど…まぁ待ってくれるのは有難い、か)

さっきから散発程度にしか仕掛けて来ない魔王達に若干苛立ちつつもこの時間を最大限に活かす。


「皆も!早く!」

「すまん!また後ほど」


アイゼン達もすぐにゲートへ飛び込む。

しかし何故かルーンだけが残った。


「ルーンも早く!」

「ま、マコト!」

「ん?どうした?」

「き、気を付けてな」

「…はい!」


それだけ言うと笑って手を振りながらゲートへ飛び込んだ。


「さて…」

「私達はまだ残るからね」


何故か不機嫌気味な優樹菜が続きを遮った。悠一と優衣も同意するように頷く。ゲートを閉じるのにも時間がいるので後5分程はここでゲートを守る必要があるのだ。

(うーん…出来れば行って欲しいけど…ダメそうだな)


テコでも動かないとばかりに武器を構えている幼なじみ達に少しの頼もしさを覚えて笑う。


「なら…お願いしようかな」

「う、うん…!」


よっぽど意外だったのか驚いた後にニッコリと笑って返事をする。


「おーおー準備はおしまいか?」

「わざわざ待っててくれる何て優しいね」

「ははっやっぱり坊主は坊主だな」

「……」

「こうやって策巡らした奴をこてんぱんにしたらお前はどんな顔をするのかねぇ!」


「構えろ!」


魔王が嗜虐的な笑みと共に来ると同時に霊装を再び纏い迎え撃つ。


「優樹菜達は下の奴らを!遠慮するな!全力でやれ!」


そして上で衝突すると同時に下でも激しい攻防が始まる。


「何だ何だ!?ちゃんと霊装出来るのかよ!いいねぇ、最高だ!」


話す余裕も無いままに刀を繰り出す。魔王が大振りで横薙ぎに払うのをあえて受け、その勢いで離れると共に総勢4機のビットで撃ちまくる。

「うっとうしい!」

魔王が自身の魔力を爆発させビットを落とす。しかしそのスキに真琴は魔王の背を取り十字に斬る。

それらを驚異的な反射神経で下に逃れた魔王。だが

「これで!」

「…!」

その時に先程落としたビットが下から突進して来た。側面は鋭い刃物なのでよく切れるだろう。そして上からも真琴自身が切りかかる。魔王自身がバランスを崩し、上下からの同時攻撃。これで決まったと思ったがそうは問屋が下ろさない。


魔王は魔力を2つ自身の目の前とビットの真上で爆発させる。それによりビットは今度こそ全滅。魔王も爆風で横に飛んだ為ほぼ無傷だ。


「危ねぇな。でも惜しかったなぁ」

「そうかな?」

「…?」


真琴の言葉に首を傾げる魔王は次の瞬間に慌てて横に回避する。

するとそこに炎を纏った槍が通過した。


「きさまぁ!」


先程の槍は優樹菜の魔法だ。見ると3人の魔族は真琴の復活させたビットへの対応で動けない。瞬間的に自由になった4人で一気に畳み掛けた。


まず優衣が上から音も無く首を狙う。それを腕を掴んで投げる事で避ける魔王。するといつの間にか周囲には360度全方位に水の矢が所狭しと並んでいた。

「《ウォーターアロー》」

一気に矢が魔王に殺到する。それをマントの能力(恐らく)や時に自身の動きで回避する。

「《アイス》!」

優樹菜がそう唱えると今まで水だった物が一瞬で氷になる。当然その中心にいた魔王も氷漬けだ。

「《ファイヤーボール》」

間髪入れず真琴は次々と撃ち込む。すると水蒸気爆発が起こり中心に更に衝撃を加える。

更に瞬間的に視界も効かなくなる。


「真琴!」「悠一行け!」


その中心に向かって真琴は悠一を放り込む。


「優樹菜!」「優衣ちゃんお願い!」


反対側では優衣の跳躍と同時に足元で優樹菜が魔力を爆発させ更に優衣を飛ばす。

優衣や悠一は精霊が動物と言う事もあり動体物に対しての直感が鋭くなっている。更に真琴が魔道具を介して魔王の魔力の正確な位置を教える事で的確にその場所へ向かうことが可能だ。


「「はぁぁぁぁあ!」」


そして、2人が両側から同時に氷塊を叩き切った。


『優樹菜!』『うん!』

「「《ファイヤーボール》!」」


悠一と優衣が離れた瞬間に魔道具で優樹菜とタイミングを合わせてダメ押しとばかりに氷塊に炎を叩き込む。



(くっそ!まだだめか!)

未だ水蒸気が立ち込め視界が効かない中でも真琴は確かに魔王の魔力が動くのを感じた。


『優樹菜達は3人を抑えて!』

『おう!』『分かったわ!』『気をつけて!』


詳細など語らなくてもこの4人は分かる。瞬時に各自動き出す。優樹菜達がビットを退けた3人を食い止めるうちに真琴は刀を構えて中心部へ高速で突っ込む。


(…いた!)


そこには衣服がボロボロになりながらも確かに仮面を付けた魔王がいた。相手もこちらに気付き、構える。

(でも遅い!)


一瞬で肉薄し一閃


辛うじて交わすも仮面の一部が砕けた。

(これで…!)

返す刀で首を取ろうとして―止まった。


それは戦闘で決してしては行けない行為。にも関わらず真琴はその場所で固まり、相手の顔を凝視する。

(な、んで…)

勿論そんなスキを逃す相手では無い。真琴にボディブローを入れ少し浮かせるとかかと落としで一気に蹴り落とした。


手加減無しの一撃にクレーターが出来る。それは丁度優樹菜達の目の前で突然の事に両者固まる。


「…え?真琴、君?真琴君!!っ《ヒール》!」


急いで優樹菜が駆け寄って回復魔法を唱える。しかし真琴の様子が変だ。

(これは、震えてる?)

気になって顔を除き、固まった。優樹菜から見た真琴の顔には憤怒…それと隠しようのない恐怖が浮かんでいた。


「え?ちょっと真琴君!?大丈夫?ねぇ、真琴君?」


あまりの事に動転し、異常を察知した優衣と悠一も駆け寄った。


「な、おい!真琴!しっかりしろ!」

「ねぇしっかりしなよ!どうしたの!?」


「はっ、心はダメダメだな」


慌てる3人にそんな声がかかる。間違いなくあの魔王だ。あまりな事に奴を睨もうとして…再び優樹菜、悠一、優衣は固まった。


「なんで…」


戦闘の最中に生まれた奇妙な静寂に身体を起こした真琴の声が響く


「あ?」

「なんで…なんでいるんだ!?」

「…」

「何でいるんだよ!父さん!」


欠けた仮面から除く顔の左側。そこから見える何処か疲れた雰囲気の男性。


工藤大介

母を殺し、真琴を殺しかけて行方不明になっていた…死んだと思っていた父が、そこにいた。

読んで頂いてありがとうございます

薄々気付いていた人もいたのでは?

という訳で魔王の正体は真琴のお父さんの工藤大介(だいすけ)です。


更にまだ秘密が…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ