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第54話 龍王猛攻

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バルトの背から戦場を睥睨し、悠然と真琴は立っていた。


「王よ、いかがしますか?」

「遠慮は要らないよ、全力でブレスを中央に叩き込め」

「…よろしいのですか?」


恐らくバルトは威力の心配をしているのだろう。龍5体の全力のブレス、少なくとも地形は変わるレベルだ。しかし、それに対し真琴は鼻で笑いながら問い返す


「出来ないのか?」

「まさか」

「なら、僕にバルト達の全力を見せてよ」

「それが王の、望みとあらば」


真琴の言葉が嬉しかったのか少し笑いながら正面を見据えた。そして5体がブレスの力を溜める。感の良い奴らが逃げようとするがすかさず悠一、優衣の部隊が倒していく。幾ら真琴より弱いとはいえ、彼等は勇者だ。そこら辺の兵士とは比べ物にならないぐらいの力はある。

『悠一!優衣!全力で下がれ!そして全員に耐衝撃用の構えをさせろ!』

『『『了解』』』


「よし…放て!」


タイミングを見て、真琴が命令を下した。


瞬間、眩い閃光が戦場を照らす


次には、圧倒的な力ー最早暴力と言っても差し支えないレベルーが戦場を支配した。


ブレスが集中した中心からは着弾と同時に巨大な爆発が発生。周囲にも同等の力を撒き散らし、広がってゆく。少し遅れて轟音が響き渡った。


激しい地響きで立つことも出来ず、響く轟音も最早それを音と認識するのが困難なレベルだ。


全てが終わった時、その場所は荒野から地獄へと様変わりしていた。元々不毛の荒れた大地は抉れ、クレーターが出来ている。ブレスのあまりの高温に地面の一部は鏡面化している。その中心にいた生物など最早残骸も残せていないであろう…誰もがそう確信した。


だからこそようやく衝撃から回復して立ち上がり、再び衝撃を受けて固まった。


ブレスの中心、最も威力が集中した場所から後方は現在…何も無かったように普通に存在している。周囲は抉れ、陥没している状況でその場所だけV字に何もない地面が続いている事が余計に違和感をかもしている。


(…10体か。でもこれだけ削れたら充分だな)

上空から俯瞰し、冷静に分析する。その問題の中心地では魔族10人が固まり、多重に防御魔法を展開していた。それによりその場所から後方はブレスが届かず、このような地形になったのだ。ただ被害は甚大で立て直しはまだまだかかりそうだ。


「クロ、残りは?」

『うーん…大体2万、かな?』

「十分の一か…バルト、ありがとう」

「申し訳ありません、王よ。まさか殲滅しきれないとは…」

「気にしなくて良い。疲れただろうし、上空を旋回して威嚇を続けてくれる?」

「はっ」


『おい真琴!どうなったんだ!?』『ちょっとあんた大丈夫なの?てかこの状況は!?』『真琴君大丈夫!?怪我してない?』

『あー皆落ち着いて。簡潔に言うと防がれた。残りは2万程度。あと優樹菜、僕は怪我してないから大丈夫だよ。ありがとう』


とりあえず心配してくれた皆に状況を説明する。ふと後方を見ると兵士はいまだ腰を抜かしたりしていた。

(くそ、上空だと指示が出しにくいな。どうせ通信用の魔道具とかあるけど僕に渡してないだけだろ)

ここからだと声が届かないが、真琴オリジナルの魔道具はあまり知られたくないので仕方なく声を増幅させる魔法を使う。


「ガルムさん!!合図を出したら突撃を!!悠一、優衣の部隊はそれに乗じて側面から叩け!!一気に決める!」


と表向きの指示を出す。当然だがこれは魔族側にも聞こえているのであまり作戦の意味が無い。なのでガルム以外に本当の作戦を伝える。


『優衣と悠一は機動力のある奴を10人ずつ出して後方に向かわせろ!そっちは優衣が隊長で指示を!一応近藤君にも行ってもらうから副隊長にして!悠一は側面から突撃、優衣の部隊と合流したら加藤さんを副隊長として兵士に気付かれないように立ち回って!

これで正面と後方から叩ける』

『おいちょっと待て!

まだ正面は超高温だぞ!?どうやって行くんだよ?』


確かに魔族の周りは後方以外はブレスの影響でとても歩ける状態では無い。


『分かってる。優樹菜!回復は後回しだ。全員で遠距離の水魔法を斜め上空に上げて。大丈夫、少しズレてもこっちで何とかする!』

『分かった!任せて!』

『おいそれだと水蒸気爆発が…』


流石悠一だ。真琴の考えの穴を見つけて聞いてくれる。


『それを利用する。一気に視界が効かなくなる内に優衣と近藤君が移動してくれ。悠一の突撃のタイミングは任せる。但し突撃する時は何でも良いから爆発魔法で音を出せ。それで加藤さん達に動いてもらう。以上を近藤君と加藤さんに伝えて。優樹菜、準備は?』


見ると魔族側は体制を立て直したようでそろそろ来るだろう。


『大丈夫!何時でも行けるよ!』

『よし撃て!』

《《ウォーターランス!!》》


突如後方から呪文が聞こえる。この魔法は水を槍状に打ち出すので遠距離にはうってつけだ。やがて後方から大量の水の槍が飛来する。


「バルト達はあの水をブレスの位置に誘導して!」

「はっ!」


その大量の水の槍をバルト達は風の流れで上手く魔族側へ落とした。着水と同時に大量の水蒸気が発生し、視界が効かなくなる。


「じゃあ行くか」

「ご武運を」

「ああ。アルン、クロ頼むぞ」

『『任せて!』』


一気にバルトの背から飛び降りた。それを見た優樹菜達が悲鳴を上げてるがとりあえずスルーだ。アルン達の頼もしい声と共に真琴はバルトの背から中心地へ落下した。

身体強化で衝撃を殺し着地と同時に刀を振り魔族を血祭りに上げる。


遅れて悠一、加藤さんの部隊も突撃し、側面からも剣戟の音が聞こえる。堪らず下がろうとするが後方でも優衣、近藤君の部隊が突撃し最早袋のネズミだ。多少苦戦している様だが物量的にも心理的にもこちらが上だ。次第に魔族は倒れていく。え?兵士?まだ呆然としてるよ?もうあいつらほっとこう。


前方左右から悠一と加藤さん、後方から優衣と近藤君、そして中心で真琴が次々と魔族を屠る。

(これで終わり―)

『マコトやばい!!!』

「な、クロ!?どうした!?」


勝利を確信しかけた真琴にクロが悲鳴混じりの声を上げる。


『上見て!上!』

「上?……なっ」


クロに従い上を見ると黒い影が4体高速で通り過ぎた。一瞬だが確かにあの仮面も見えた。

(確かに居ないからおかしいとは思ったけど…よりにもよって今か!てか、行く先は…まさか優樹菜か!?)

「おいクロ!あいつらはどこに向かってる!?」

『落ち着いて。多分お城よ』


最悪の可能性に青ざめてクロに確認するがどうやら違ったようだ。

(だが何故城なんだ?…まさか教会がまた何かしてるのか?)


周囲を見ると粗方の敵は倒した様で残りは100体ほどだ。


「優衣と悠一!それと加藤さんと近藤君もこっち来て!」

「どうした真琴?」「あんた顔色悪いわよ?何かあった?」


すぐさま4人集まったので簡単に事情を説明する。教会の裏を知らない2人は首を傾げているが優衣と悠一は重大性がわかったようだ。


「皆落ち着いて聞いてくれ。僕達は今から城へ戻る。いきなりで悪いけどこの人達は加藤さんを隊長、近藤君を副隊長として指揮を頼む」


突然の事に唖然とする2人。しかし時間が無いので今はスルーだ。


「大丈夫、敵は残り少ない。基本は3人で1体を相手すれば勝てる。終わったらすぐに後方の回復部隊と合流して。悪いけどその後は各自判断で」


いきなりな事に目を白黒させる近藤君と冷静に考える加藤さん。


「…とりあえずはわかりました。一応工藤さんの指示通りにやってみます」

「悪いね。いざとなったら近藤君や他の人に相談して」

「え?お、自分ですか?」

「普通で良いよ近藤君。とりあえず基本は"いのちだいじに"だよ」


その言葉に2人共ちょっと固まってから少し笑った。少し場が和む。


「はい、分かりました工藤隊長」

「任せて下さい工藤隊長」

「隊長ね…まぁいいか。とりあえず任せたよ」

「「はいっ!」」


2人の返事を頼もしく思いながら置いてけぼりの2人を見る。


「悪いけど状況は後で説明する。とりあえず城へ向かうよ」

「え?ちょ、真琴!」


2人を置いて真琴は後方へ走り出した。2人も遅れずに付いて来る。


「バルト!!」


と、声をかけると上空から龍が飛来する。


「二人共乗って。バルト、悪いけど城へ向かう。途中で1人ひろう」

「はっ」


そして3人は上空へ向かう。


「あんたって本当に何でもアリね」

「すげぇな!本当に龍に乗ってるよ」


優衣は呆れた声で、悠一は興奮した声でそれぞれ声をかけてくる。


「まぁこれは成り行きといいますか…」

「はぁ…いっその事龍王とか名乗ったら?」

「え?やだよそんな仰々しい名前」

「いいじゃん龍王。カッコイイと思うぜ」

「えー…」


殺伐とした戦場の上では何とものんびりとした会話が続いた。途中で優樹菜も拾い(皆あまりの事に固まっていたのでそれに乗じてすぐにその場から離れた)事情を説明しながら城へ向かう。



途中確認したがやはり司祭達一部の教会の関係者は姿を消していた

中途半端ですみません…

出来たら明日、遅くとも明後日には次話を投稿する予定なのでよろしくお願いします。

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