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第4話 何か勇者になったそうです


…僕は一体どこにいるのだろう?

ここは…どこだ?


何だこれ?


真っ暗じゃ無いか


ふと気が付くと真琴は真っ暗な空間に立っていた。


…とりあえず進むか


何かしなければ、そう考えとりあえず真琴は前へと足を進める。

大体30分ぐらいだろうか、前方から何かがやって来た。


「キュー!」


(真っ白な…ドラゴン?の子供?)

そこにはまさにRPGなどで出てきそうなドラゴンの小さくしたような生き物がいた。

迷子なのだろうか、ドラゴンは真琴と目が合うと嬉しそうに鳴いて真琴の胸元に飛び込んで来た。


「うおっと

…お前も迷子なのか?」


真琴は慌てて受け止め、ついネコのノリで撫でながらドラゴンに尋ねた(だってサイズといい肌触りといいまさにネコみたいだし)


「キュー…」


子ドラゴンは質問には答えず、気持ち良さそうに撫でられていた。


「ははは、まぁ、分からないわな。

…にしてもお前、すごく暖かいな」


真琴はそう呟きつつも子ドラゴンを撫で続ける。

と、子ドラゴンも安心して眠くなってきたのか真琴の胸に体を預けるように丸まって、目を閉じた。


「ふぁ…眠いな…僕も寝よう…」


真琴もそれを見てだんだん眠たくなってきたのでその場で座りこみ、うとうと微睡んでいると優しい光が一人と一体を包み込んだ。


(ふふ…本当に気持ちよさそうね)


(どうか…その子を頼みます。いずれまた、会うその時まで…どうかあなたの旅路に幸多からんことを…)


真琴の心にそんな声が聞こえ、

(誰…だ?この…声…は?)

そう聞こうとしたが、真琴の意識はまたブラックアウトしていった……






ーーーーーーーーーーーーーーー





…ドサッ


「痛っ…」

「きゃっ」

「うっ…」


唐突に意識が覚醒したと思ったら少し高い位置から落とされたような衝撃が、腰に響いた。

そして腹部にもそれなりの衝撃が…


簡単に説明すると、上に優樹菜が乗っていた。


「ま、真琴君!?ご、ごめんね?重いよね…」

「あーいやいや、大丈夫だよ。バイト三昧してるだけあって体は丈夫だから。えーと…とりあえずどいてくれる?」

「あ…ご、ごめん」


そう言って優樹菜は恥ずかしそうに僕の上から退いた。…決して重くなかったよ!うん!そう心で訴えつつ、軽い頭痛を覚えながら起き上がる。

そして周りを見て一言


「…どこ?ここ」


目の前に訳の分からない光景が広がっていた。何を言ってるのかって?僕にも分からない。まず目に入るのは、真琴達と同じく制服を着た学生がざっと100人ほど。…みんな僕と同じようになったのか痛そうに腰をさすりながら立ち上がっている。


そして僕たち学生を取り囲むように、豪華な服を着た30代から60代ぐらいの男たちと、西洋の甲冑のようなものを着た体格の良い男たちが立っている。みんな僕たちを興味深そうに見ている…いや観察している。そうて奥の方の数段上にある椅子に座っている豪華な服を着た初老の男が一人。


…そして、あえてスルーしたが僕たちの目の前にキリスト教の司祭が着てそうな法衣をまとった40代ぐらいの男が少し気持ち悪い笑みを浮かべながらこちらを、見定めるように立っている。なんだろう…嫌な感じだ。てか頭痛い…


その時おもむろにその司祭が口を開き


「ようこそおいで下さいました。勇者様方」


そう言って頭を下げた。


(テンプレきたぁぁ!!)

そのセリフに真琴は少々場違いにテンションが上がっていた。真琴もテレビで見るようなオタク程では無いが、アニメやネット小説にはそれなりに手を出しており、中でもネット小説は本を買わずに読めたりするので割と重宝している。そんな事があるのでこの手の展開の知識も豊富だったりする。

そんなこんなで割と興奮している真琴である。


周りの生徒達もそのセリフを聞いて少しざわついている。


「ごほん!」


そこへ司祭がわざとらしく咳払いをすると、皆一応静かになった。


「では改めて。我がフォード帝国へようこそおいで下さいました。私はこの帝国でモール教の最高司祭をさせて頂いております。アビスと申します」


それを聞きながら一部の男子生徒達はとても楽しそうな笑顔を浮かべている。が、それ以上に普通こんな状況になったら少なくとも多少は混乱するはずが生徒達は皆、何故か静かに司祭の方を見ていた。その事が逆に真琴の警戒心を上げる。


そして真琴は司祭のセリフに違和感を覚える。

(…ん?今あのおっさん"我が"って言った?そういうのは大体国王とかトップのセリフじゃ無いのか?…ならこの国は宗教国家?じゃあ奥のあいつは?)

そう考え奥を見るとちょうど奥の椅子に座った男性と目があった。男性は少し驚いた後に、少し嬉しそうに笑い軽く頭を下げた。


(…?)


その瞬間に真琴は改めてこの状況がおかしい事、謎の頭痛が未だ続いている事を思い出す(何で今まで気付かなかったんだ?)

そこで真琴はある可能性を思い付いたが、まだ司祭が話していたのでそちらに意識を戻した。ちょうど一通り挨拶が終わったようで、


「さて、勇者様方にはこれから我がフォード帝国にて訓練を受け悪の権現である魔王を討伐してもらいます。もちろん衣食住は保証させてもらいますし、見事討ち取って頂ければ相応の報酬を用意いたします。よろしいですね」


断定的な言葉にも関わらず皆口を挟まない。むしろこれまたテンプレな展開に、一部の男子生徒がとても嬉しそうな顔をしている。恐らく彼らは、何かしら自分にはチートな力や秘められた力があり、それを使って英雄になる事しか考えて無いのだろう。


司祭はそれらを眺めながら


「では質問も無いようですので…」


と、続けかけたがその時


「待って下さい」


そう言葉を発したのは今まで静かに様子見していた工藤真琴だった。

しばらく説明回が続きます

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