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閑話 ある冬の1日 (下)

ある冬の1日完結です。

ちょっと時間を戻して優樹菜視点からです。

後半は糖分多めで…


その日は偶然皆の予定が空いていたから近くのデパートまで遊びに来ていた。

(…やっぱりおかしい)

突然だが少し前ぐらいから真琴君と悠一君の様子が変だ。なんだろ、ちょっとよそよそしいと言うか避けられてる?みたいな。


そんな態度に遂に優衣ちゃんが痺れを切らしたのか喧嘩してしまった。

(大体真琴君だって何時も何時もあんな適当にはぐらかして…何か不満でもあるのかな)

ついつい場の勢いに当てられて真琴君と口論してしまい、その場で真琴君達と別れた。




「は!何よ悠一の奴!最近ロクに目も合わそうとしないで!」

「真琴君だって何か聞いても適当にはぐらかすし」

「本っ当男子って何考えてるのよ」

「そうだよね」


所変わって近くのカフェにて。まだ帰るには早かったからちょっと食べて行こうと入ったら愚痴大会が始まった。結局それもあまり長続きせずに帰ることになる。


「あ、そういえばうちの親が優樹菜の家に居るそうだけど行っていい?」

「うん、勿論だよ。あ、そうだ。お母さん達に聞いてみる?」

「うーん…何か嫌な予感がするけど一応聞いてみますか。あ、今日はこっちから帰りましょ」


そう言うと優衣ちゃんは普段は通らない裏道へ入って行く。

見るからに人気の無い閑散とした所だ。


「ゆ、優衣ちゃん…流石に止めない?」

「何言ってんのよ。冒険しましょう!」

「こんな街中で冒険って…」


その少し子供っぽい発想に呆れながらも少し興味はある。

(あるけどさすがにここは…)

結局私も入ってしまった。数分後にものすごく後悔するとは知らずに。




「はー本当に人気無いわね」

「そ、そうだね」


なんだろ。さっきまで人混みに居たせいか少し不気味だ。


「あれ〜?珍しいね、お嬢ちゃん達迷子〜?」


その時に唐突に後ろから声をかけられた。振り返ると大学生ぐらいの男の人が5人ほどいた。何故か皆ニヤニヤ笑っていてちょっと嫌な感じだ。


「あ、いえ帰る途中ですよ」

「またまた〜そんな事言って。こんな場所に美人さんが揃って…そういう事なんじゃないの?」

「…え?」「は?」


この人達はさっきから何を言ってるのだろう?

(そういう事って…?)

気づけば周りを囲まれていた。


「ちょっと何よあんたたち!いいから通しなさい!」

「おーおー威勢がいいね。お兄さんそういう子好みだよ〜」

「うわぁ〜ドMだ〜」


優衣ちゃんの言葉も聞かずに勝手に盛り上がり出す。流石にここまで来たらヤバイって分かる。でも逃げようにも囲まれていて逃げられない。


「まあまあこっち来いって」

「大丈夫、痛いの最初だけだから」

「な、触るな!」

「ちょ、離して!」


腕を掴まれたと思ったら優衣ちゃんと更に奥へ連れて行かれる。振りほどこうにも力が強くて効果が無い。その時に腕時計が外れてしまったけど気付かないまま連れて行かれた。

そこは更に人目に付かない路地だった。奥に行った所に黒いワゴン車が止まっている。


「いい加減離しなさい!」

「まあまあ嬢ちゃんそんな連れない事言うなよ」

「触るな!あ、優樹菜!」

「むぐっ!?」


嫌な予感しかしなくて更に暴れたけどハンカチで口を塞がれてそのまま担がれてしまった。優衣ちゃんはまだ抵抗しているようだけど私は3人に担がれて車に入れられた。


「ひっ…」

「まあまあそんなに怯えるなって」

「すぐ気持ち良くなるよ」


ゲラゲラ笑いながら男達は私の手足を縛った。


「じゃあとりあえず…服脱ごうか」

「え?…ひぁぁぁあ!」


身動きが取れない状態で私は一気に服を破られた。

(え?何で?何で服を脱がすの?何で?何で?)

あまりの事に混乱し、まともに考えられない。


「うひょーすげぇ身体してんな」

「うわぁ、最高じゃん」

「…おい、何か外煩くないか?お前らちょっと見てこいよ」

「え?…はぁ、了解でーす」


と、外から何か物音が聞こえたのか2人が出ていった。そして残った1人が私に覆い被さって来た。

(ひぃ!もうやめてぇ!助けて!真琴君!)

反射的にいつも一緒にいて頼りになる幼馴染みを思い浮かべた。

その時に誰かが来て上の男を退けたようだ。でもまた別の人が迫って来る。


「…き菜!」

「ひっ!来ないで!」


何か呼ばれた気がしたけど私の頭は混乱していて考えられない。


「こ、来ないで!」


後ずさって距離を取ろうとする。その時に身体に何かがかけられた。と思ったらその上から抱きしられた。訳が分からず滅茶苦茶に暴れる。


「いや!離して!」

「優樹菜!」

「いっ!…あ、真琴…君」


そこでようやく私は今まで呼びかけてくれていたのが真琴君だと気付いた。


すると真琴君は手足の紐を解きながらゆっくりと話してくれた。そして最後に言い聞かせるように「もう大丈夫だ」と言ってくれた。


その言葉で安心した私は今までの恐怖を思い出して思いっきり真琴君に抱きついて泣いてしまった。それでも真琴君は優しく背中をさすってくれて、その温かさに更に泣いてしまう。


少しすると落ち着いてきて身体を起こす。

(どどどどうしよう!?私何か思いっきり泣いちゃった!それも真琴君にだ、だきついて!さ、避けられないよね?引かれないよね?)

…前言撤回、一気に恥ずかしくなってまともに顔が見れなくなった。その時に真琴君の腕の傷を見つける。


「…あ、真琴君その傷」


よく見ると引っ掻かれ傷た。

(…あ、あれ私の)

今更ながらに暴れた事を思い出す。


「ん?あぁ大丈夫だよこれぐらい。唾付けとけば治るって」

「だ、ダメだよ。って首まで!ちょっと見せて!」

「うぇ!?ちょ、優樹菜!前、前!」

「え?ひゃ!?」


言われて見てみると今の私は下着の上からコートを羽織っただけと言う何とも言えない格好だ。つまり前はオープンな訳で…


「…真琴君のえっち」

「す、すみませんでした…」


そんなやり取りがおかしくって不意に2人で少し笑ってしまった。そして真琴君が出ようかと言った時に足が鬱血して上手く立てない事に気付いて先に行くように頼む。


「それは無理でしょ。ちょっと失礼」


でも真琴君はそう言うと私を抱き上げた。

凄く恥ずかしくて顔が赤くなったけど少しだけ…ほんの少しだけ胸が高なった。その後は優衣ちゃん達と合流してとりあえず私の家に行く事になった。



また玄関で一悶着あったけど真琴君がお風呂を勧めてくれたのでその言葉に甘えて優衣ちゃんとお風呂へ向かう。お母さん達は付いて来たので簡単に事情も説明しておいた。湯船に浸かってようやく一息つく。


「…何か凄く濃い1日だったわね」

「うん…」

「でも本当に無事で良かったわ」

「優衣ちゃんこそ」

「いやーもう悠一には感謝しまくるね」

「わ、私だって真琴君には…」


不意に真琴君の顔がフラッシュバックして顔が赤くなる。

(な、何だろ…何か凄く恥ずかしい)

何故か優衣ちゃんも顔が赤い。


その時にお母さん達がついでだからとお風呂に入って来た。その事に我に返ると私達は気を紛らわすように顔を洗う。

(あ、そういえば…)

その時にふと、最近真琴君達の様子が変な事を思い出して何となくお母さんに聞いてみた。…今思うとこれが物凄い自爆だったのだが。



「―ていう感じなんだけど…お母さん何か心当たりある?」

説明し終えると何故かお母さん達は気まずそうな顔をしている。


「優樹菜…あなた思春期って知ってる?」

「え?えーと…え?」


唐突に聞かれて訳が分からず止まってしまうが、優衣ちゃんは分かったのか顔を真っ赤にして湯船に顔を沈めてしまった。


「我が娘ながらこんなに鈍いとは…まぁ真琴君達もそういう時期にこんな子供っぽい考えの子と一緒にいたら気まずいでしょうね。本当、顔はとても美人なんだから」

「う…ん?私は別に美人じゃないよ?」

「あなたが自分の事をどう考えてるのかは勝手だけど世間一般的にみてかなり美人の部類よ。勿論優衣ちゃんもね。そんな子達と一緒にいる真琴君達はある意味拷問かもね」

「うー、ん……!?」


何となくお母さんの言葉を理解すると途端に恥ずかしくなって湯船に顔を沈めてしまう。

(え?つまり、え?真琴君達は私達をそういう目で見て、え?)

上手く考えられず混乱する。


「ま、自信持ちなさい。男にそうやって見て貰えるほど魅力的だって事よ。それに彼ら中々格好いいじゃない。良かったわね」

「い、いや!そうじゃなくて!」

「あら?嫌だった?」

「…い、嫌じゃないけど」

「あら何脈アリ?」

「う…ゆ、優衣ちゃんだって悠一君と仲良さそうに」

「にゃ!?こ、こっちに振らないで!」


そんな会話を顔を赤くしながら繰り広げる娘2人を母親達は微笑ましそうに見守っていた。

…その後にお父さんが何か余計事を言ってお母さんもそれに便乗したので揃ってお説教をしたが。




それから2ヶ月ぐらい後に優衣ちゃんが悠一君と付き合い始めたと聞いた。

「あんたも自分に素直になりなさい」

「う、うん」

そんな頼もしい言葉と共に決意を固め……未だ何も出来ない自分がいた。


(い、いつかは私もちゃんと真琴君に)





そうして日々は過ぎて行く

いかがでしたか?


次からは本編を再開するのでよろしくお願いします。

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