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閑話 ある冬の1日 (上)

ちょっと息抜き?に書いてみました。


時間軸としては真琴達がまだ中学二年生の時の話です。



その日は珍しく優樹菜達と喧嘩をした。


丁度思春期を迎えて異性としてそれぞれ距離感が微妙になっていた頃だ。


それは中学2年生の冬の事だった。その日は休日で珍しく4人共暇だったので近くのデパートまで遊びに来ていた。


きっかけは正直どうでも良い事だったと思う。確か服装についてだったかな?でもそこから話はヒートアップしていき、気づけば全く違う話になっていた。


「大体あんたら何よ!最近私達の事避けてない!?」

「な、そ、それは!今は関係無いだろ!」


悲しいかな。

思春期を迎えたと言っても男性と女性とではかなり意識が違うようだ。何を盛っているんだと思うかもしれないがこの年頃の奴らは大体そんなのだ…多分。

だからと言うか性を意識し始めた僕達としては優樹菜達のような美少女と一緒にいるとどうしても性的な目で見てしまう瞬間がある。そんな意識の変化に戸惑って少し距離を置いていた事が彼女達は不満だったようだ。


「ま、まぁとりあえず落ち着こう。ね?」


人の目もあるのでひとまず休戦させようとする。しかしそこで今まで黙っていた優樹菜が口を開く。


「そういう真琴君だって最近私達の事ちょっと避けてない?目を合わせると逸らすし」

「いやそれは…」


何でそう答えにくい質問をするかな…正直言ってしまえば優樹菜に惚れているのかもしれない。まぁそんな資格なんて無いんだけれど。とりあえず優樹菜や優衣は失礼だが周りと比べても段違いに綺麗だ。そんな美少女達と居るとどうしても微妙な気分になり、ちょっと色々と気まずいのだ。しかしそんな事をストレートに言えるはずも無く適当にはぐらかしてしまう。


何時もならそれで流せるのだが優衣と悠一が喧嘩している事もあり優樹菜もヒートアップしてしまった。


「いっつもそうやって言うね。何なの?真琴君は私達と遊びたく無いの?」

「い、いやそういう訳じゃないよ!」

「だったら何で?」

「え?…あー、んー…」


自分でもどう言っていいか分からず答えに詰まる。


「あーもう!腹立つわね!優樹菜、もう帰るわよ!」

「そうだね。じゃあね真琴君、悠一君」


ハッキリとしない真琴と悠一に痺れを切らした優衣が優樹菜を連れて帰ってしまった。

後に残された男2人に何とも言えない空気が流れる。


「は!何だよ優衣の奴。好き勝手言いやがって」

「う、うーん…」


ダメだとは分かっているがそういう目で見てしまう自分が嫌になる。その後は2人で時間を潰そうとゲーセンに寄ったりしたがどうにも気分が乗らず、結局帰る事にした。


「はぁ…明日どうしよ」

「はは…まぁとりあえず謝らないとね」

「だよなぁ…はぁ、鬱だ」

「え、そんなに?」

「あ、今日はちょっとこっち行ってみようぜ」

「うーん…たまにはいいか」


そんな事を話しながらデパートを出て気分転換に閑散とした裏道を歩く。


「あれ?…これ優樹菜の時計?」

「ん?何でこんな所にあるんだ?」


ふと路地に目をやると隅の方に見慣れた優樹菜の腕時計が落ちていた。しかも止め金の部分が歪んでいる。

(おかしい…普段は表通りから帰るはずだ。それにこの時計、まるで無理矢理引きちぎったみたいな…)

嫌な予感がし、悠一を見ると同じ事を考えたのか顔色が悪い。


「ちょっとあんた達。もしかしてその腕時計の子の知り合いかい?」


すると近くの家からおばさんが出てきて話しかけて来た。


「え?ええ。何か知っているのですか?」

「いや…ちょっと前にこっちの方で言い争う声が聞こえて来てみたら女の子2人が男達に囲まれて連れて行かれててね。その時に1人の子がしていた腕時計が外れて落ちたのさ」

「何処に連れて行かれましたか!?」


最悪な予感が的中し、軽く呻きながら話を聞く。

(くそ!最悪だ!喧嘩なんかしてるから!)

突如切羽詰まった感じの真琴達に若干押されつつ、1つの路地を示す。


「ちょっと前にそこの路地に入っていったよ。さっき警察に連絡したか…」

「ありがとうございます!」

「ちょっと!?」


そこまで聞けばもう充分だった。お礼もそこそこにその路地へ駆け込む。


「いい加減離しなさい!」

「まあまあ嬢ちゃんそんな連れない事言うなよ」

「触るな!あ、優樹菜!」


すると少し先の折れた所から聞き覚えのある声が聞こえる。一瞬悠一と目を合わせると一気に加速し、路地を曲がる。

するとそこには大学生程の男2人に抑えられた優衣がいた。奥の方には黒のワゴン車が停まっている。


「優衣!」「ってめぇ!」


ブチギレた悠一を先頭に優衣を助けにかかる。幸い路地が狭く、真琴と悠一は中学生だったので小回りが効き、あっという間に1人倒す。


「奥の車に優樹菜が!」


その時に真琴達に気付いた優衣が声を上げた。その言葉に背筋が凍る。


「真琴行け!」「っ!頼む!」


悠一の言葉に我に帰ると一気に路地を駆け抜ける。


○○悠一side○○

真琴に呼びかけると一気に駆け抜けて行った。

相手の注意が逸れたスキに殴りかかるが相手は大学生並の体格だ。一撃では決められず反撃の蹴りを食らう。


「はっ!その程度かよ」

「悠一!」

「く、そったれぇ!」


優衣の声にふらつく頭を抑えて立ち上がる。

(くそ…強いな…)

最初の一撃で決められなかったのは痛い。

(どうする?真琴が戻るまで耐えるか?)

悠一は普段は抜けているが、いざという時はかなり頭が回る。だからこそ彼我の戦力差も分かる。自分では勝てない。通常ならここで時間を伸ばして増援を待つ。


しかし―

(出来るか!んな事!)


目の前で腕を掴まれて涙目になっている優衣を見てそんな弱腰を叱咤する。


(確かに勝てないだろう。でもそれがどうした!目の前で優衣が泣いているんだぞ!)


決意を固めると一気に駆けだす。しかし直線では対応される。だから悠一は少し手前で地面を蹴り上に飛んだ。予想外の行動に相手が固まる。そして悠一は更に横の壁を蹴って相手の上を取るとそのまま頭を蹴り抜いた。


「んな!?がっ!」


(決まった!)

確実に後頭部を蹴り相手は気絶する。


「げっ!やべ」


しかしここで1つ失念していた。それは自分が跳んでいたという事だ。相手を倒して満足した悠一はそのまま地面に突撃した。


「いってぇ…」


何とか転がり衝撃を逃がすが、身体の節々が痛い。


「て、優衣は!?」

「あんた本当最後は締まらないわね…」


はっとした時に上から呆れた声がかかる。若干衣服が乱れてはいるが怪我などはしていないようだ。


「はは、本当だな」

「…何でこんな事したのよ」

「え?」


唐突な質問に訳が分からず首を傾げる。


「あんなに酷い事言ったのに…それに今だってそんな怪我してまで」


少し泣きそうになりながら優衣が問いかける。そんな優衣の言葉に悠一は苦笑しながら立ち上がると優衣の両手を握って自分の方を向かせる。


「何でだろな…お前が泣いてるのみたらカッとなった。何としてでも助けたいって思った」

「……バカ」

「はは、かもな。でも優衣を助けれて良かったよ」

「…ありがとう」

「おう」


悠一は屈託の無い笑顔で笑い優衣は恥ずかしそうに顔を赤くして俯く。


「って!優樹菜達は!?」


「ああ、終わった見たいだせ?」


ふと目を向けると真琴のコートを着た優樹菜を抱えながら真琴がこっちに歩いて来ていた。

タイトルの通り3部構成の予定です。

基本24時に投稿するので読んで下さい

m(_ _)m

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