表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/100

第35話 集団戦法


目の前から魔族の集団が突っ込んで来る。階層の端から端まで距離があるとはいえ五分程で到着するだろう。

(数は…20ぐらいか?なら!)


「盾持ちは前衛で三人一組で突進を防げ!間から槍などの長い武器の奴らが攻撃!魔法組はいつでも撃てるように後方で待機だ!」


僕の指示に皆が戸惑ったように顔を見合わせた。

(ちっ!状況を見てくれよ!仕方ない、あれを使うか?)

思わぬ事態に焦った真琴の横で今まで黙っていたガルムが怒鳴った。


「貴様ら!それでも帝国兵か!?目の前を見ろ!指揮官の指示を聞け!貴様らはその程度の事も出来ないのか!」


その檄に兵士達は痺れたように背筋を伸ばすと一斉に駆け出し持ち場についた。


「ガルムさん…」

「勘違いするな。貴様の方が指揮が上手いと思っただけだ」


ガルムは不機嫌そうに顔を背けた。一応は指揮官として認めてくれたようだ。生徒も兵士に連られて動き出す。

(これなら行けるか?)


「悠一!盾持ちの指揮を頼む。薄い所へ応援を回せ!ガルムさんは槍組の指揮を頼みまます。優樹菜は魔力を維持しつつ怪我人の手当を!」


この流れに乗り更に指揮を出す。今度は素直に従ってくれた。


「真琴、私は?」

「優衣、君は機動力の高い奴を15人程厳選して敵に気取られ無いように盾持ちの隙間で待機。合図をしたら「一気に飛び出して叩く」…そうだ」

「任せて!」


あらかた指示を終えた頃に先頭が盾持ちと衝突した。


「「うおぉぉ!」」


当て身のように突っ込んでくる。恐らく魔法により加速したのだろう。かなりの威力でぶつかった。1人なら負けていたがこちらは3人だ。何とか止められたようだ。動きが止まった所を隙間から槍で刺す。それにより相手は体勢を崩す。


「優衣!今だ!」


合図を出すと同時に一斉に盾の隙間から躍り出た優衣達は斬りかかる。敵は一度距離を取り魔法を使おうと動きが止まっていたので容易く倒していく。あっという間に魔族は倒れた。


「はは!いい、素晴らしい!期待通りの手応えだ。ならば次はこれです!」


まだ魔族は後方に5体程残っていた。

(でもあいつらは不味い。倒した奴らとは格が違う。特に真ん中の笑ってる奴は…)

どうやら最初の魔族は捨て駒だったようだ。そして次だと言うと魔族の背後から大量の魔物が出現し、そのままこちらに向かって来た。


「優衣戻れ!盾持ちは構え直せ!もう一発来るぞ!」


言うが速いか魔物が盾組と衝突した。ギリギリ耐えられたようだ。


「ガルムさん!優衣!皆を下がらせろ!手の空いている奴は頭上の注意だ!出来るなら盾持ちの頭を守れ!」


指示の意味が分からない他の生徒はいきなりの指示に戸惑いつつ盾を掲げた。


「魔法組用意!

僕が合図した所に魔法を打ち込め!」


そんな周りを無視して光で頭上の地面(つまり上層の残った地面)を示す。瞬時に意図を理解し、皆はそこに魔法を打ち込む。


Q、するとどうなるか?

A、頭上から大量の土砂が魔物達に降り注ぐ。


盾持ちにより止まっていた魔物達は一瞬で土砂の下だ。

「真琴てめぇ!やるならそうと言え!」「埋まるわ!」「あぶねえだろ!」

うん、盾持ちからの苦情が凄いわ。


「あはははは!これは凄い!まさかこんな戦い方があるなんて。ただ無策に突っ込む以外にこんな方法を考えるとは。いやはや人間とは面白い」


何がおかしいのか5体の魔族の中心にいた奴は笑い転げている。とりあえず奴と仮称しよう。


「もういいですか?いい加減帰らせて下さい」


「何を言ってるんです?これからが本番でしょ?まさか最初の奴らが魔族の本気だと?あんなクズの出来損ないと一緒にしないで下さい」


駄目元で頼んだけどやっぱりか…てかむしろやる気増してるよな。すると魔族は一斉に右手を挙げた。その瞬間皆の視界は光に塗りつぶされる。

(…え?)


ドッカッァァン!


続いて何かが爆発する音と共に光が消えた。

(何が…起こった?)

目の前には巨大なクレーターが出来ていた。恐らく何かが爆発したのだろう。その余波を食らって前衛は倒れており、怪我人も多数いる。


「ははははは!見たか?これが魔族本来の力だ」


奴の笑い声が響く。


「悠一!盾持ちを立て直して怪我人を下がらせろ!優衣は副代表とメンバー確認、ガルムさんは部隊再編成を!優樹菜は魔法組で怪我人の治療して!」


素早く指示を飛ばして一秒でも早く立て直す。

(指示は出した後は…時間だ)


「アルン、クロ行くぞ」

『まかせて!』『行くよマコト!』


自分の中にいる2人に告げると抜刀し駆け出す。それと同時に身体強化が発動し、一気に加速する。

「真琴!?」「なっお前!」「真琴君!」「工藤君!?」

後方で何か言ってるがガルム達のおかげでそこまでの混乱にはなってない。


「ほう、指揮官自らが時間稼ぎですか。面白い、付き合ってあげましょう」


そう言うと左右の4体の魔族がこちらに向かって来た。

(…何故奴は動かない?)

その疑問を確かめる前に4体とぶつかった。


相手の魔族は全員大剣を装備しているが空中を飛んでおり、小回りがきくのでかなり厄介だ。

(でも倒す必要は無いな)

今回は時間稼ぎが目的なので敢えて受けずに避け、受け流し、撹乱する。


「ちょこまかとウザいですね。これでどうです!」


突如前の1体が地面に大剣を振り下ろし砂埃を舞いあげる。瞬間的に視界が効かなくなる。

『マコト!前!』

アルンの悲鳴が聞こえたと思ったら4体が大剣をタイミングを合わせて同時に振った。ご丁寧に丁度真琴の位置で重なるぐらいだ。


(まず…い)


瞬時に剣を前に掲げて防ぐが4本の大剣を同時に食らって剣が折れた。そのまま真琴は4本の大剣をくらい後方へ吹っ飛んだ。


「がぁっ……ぐっ……ぐほっ」


途中何回かバウンドしてそのまま魔法組の所へ突っ込んだ。


「真琴君!大丈夫!?」

「やぁ…優樹菜か。丁度良かった」

「と、とりあえず治療を!」


身体強化のおかげで貫通はしなかったが、今の真琴は胸にクロス状の怪我を負っていた。それを見て優樹菜が慌てて治療しようと手を伸ばすがそれを遮って真琴はある作戦を伝える。


「それよりも優樹菜、聞いてくれ。君に頼みがある」

「え…?」

「実は……」






「さて、行くか」


優樹菜に作戦を伝え、真琴は再び剣を構えて立ち上がった。

(アルンはちょっと休んで。クロ…全力でどれだけいける?)

『五分ぐらいかな』

(充分だ…行くぞ!)

再び身体強化を発動し、駆け出す。


「ほう…まだ立ちますか。ですがまた倒れるのがオチですよ」


奴はこちらに向かって歩きながらそう話すと、先程の4体が向かって来た。それを見て真琴はあえて彼らを避けて、その場で地面に手を伸ばした。


「《爆炎》」


地面が爆発し、視界が遮られる。


「今だ!優衣!」


唐突に真琴が叫んだ。


「何!?」「え?私!?」


奴が驚いて振り返る。…が、何も起きなかった。

優衣も唐突な呼びかけに固まっている。


「ハッタリだよ」


動きが止まったスキを見て1体倒す。


「貴様ぁ!」


残った3体が大剣を構えて向かって来る。


「《爆炎》」


再び地面が爆発させて視界を遮る。


「今だ!優樹菜!」

「はっ!またそれですか。そんなもの!」


今回は止まらず3体が突っ込んで来た。

…が


「何!?くそっ!」


奴の悪態と共に奴自身に魔法が突っ込んだ。

これが真琴が優樹菜に伝えた作戦。始めにハッタリをかまし相手の警戒を薄れさせてから本命を叩き込む。その為優樹菜達魔法組には合図をしたらただ1人攻撃していない奴に魔法を打ち込むように頼んだ。

(恐らく奴が他の4体を操っている。ならそいつが指示が出せないなら動きは止まるよな!)


勘が当たったようだ。3体は武器を構えて戸惑うように止まっていたのでそのスキに倒した。

(さて、残るは)


「くふふふふ…可愛い私の操り人形がここまでやられるとは…いいでしょう、この私が相手になりましょう」





そう奴は不気味に笑うとこちらを向いた。

そうして第2ラウンドが始まった。

最初に突っ込んだ魔族は正確には魔人と呼ばれ、いわば人間の形をした魔物です。

なので実力や知能は魔族には到底及びません。

奴はそれを利用して4体の魔人を操ってました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ