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第32話 人生初パーティ


その後、部屋へ戻るとパーティ用の服が用意されていた。

(用意周到だな…)

軽く呆れながらアルンとクロにただいまを告げて夕飯を作る。

(親子丼…でいいかな?)

流石にパーティにアルン達は連れて行けないので優樹菜達に頼んで夕飯を提供する代わりに部屋に居てくれと頼んだのだ。


そして夕飯を作り終え、着替えてると優樹菜達が来た。


「お邪魔します。真琴君来たよ」

「いらっしゃい。ごめんね、3人共」

「こんな事で何頭下げてんの。もっと私達を頼りなさい」

「そうだぜ真琴。俺達は友達だろ」


相変わらず頼もしい幼馴染みに感謝しつつ自分の準備をすすめる。


「マコト、今回は繋げてもいいわね?」「おいてけぼりはやだよ」

「はぁ…分かった。その代わり僕が呼ばない限り絶対に出てくるなよ?」


その言葉に精霊二人は真剣に頷く。

と言うのも、真琴が中々頼ってくれず悩んでいた時に貴族のパーティに行くと知り、今度こそはと《接続》をするように真琴に頼んでいた。流石の真琴もここまで真剣に心配されたら心は折れる。

(絶対ろくでもない嫌がらせとかあるからあんまり関わって欲しく無いんだけどな…)

ちなみに通常は常に《接続》しておくのが常識だ。不意打ちなどが来ても精霊が身代わりになり本人は耐えられるというのが主な理由だ。


「じゃあ行ってくるね。優樹菜達、悪いけど頼んだよ」

「任せて」「気を付けてね」「頑張れよ」「いってらっしゃい」「頑張ってー」


皆の心強い出送りを背に部屋を出ると1階の奥の広間へと案内された。


そこには豪華な服を着た様々な人がいた。ざっと見100人程か。真ん中の方には王族の人達がいる。真琴が姿を見せると一斉に全員が話を止めて此方を見た。

(うわぁ、行きたくない…)

止まっていても仕方が無いので会場へと踏み出す。


「おお、良く来てくれたな。皆の者、勇者様が来てくれたぞ!」


(いやいや、そういうのいいから!ほらそんな事言うから…)

ちらりと周囲を見ると

「ほう、出来損ないの…」「細っこいのう」「けっ、魔力無しの分際で」「何故無能がこの場に…」

などと酷い評価が聞こえる…

あ、ヤバイ心折れそう…


とりあえず顔には出さずアイゼン王のところへ行く。

ひたすらに視線が痛い…


「皆の者、彼がかの噂の勇者の1人だ。今回は急であるので代表であるマコト殿に来て頂いた。それでは今宵も楽しんでくれ」


アイゼン王の紹介を受けて礼をする。周りの貴族からとりあえず拍手が起こるが大半の年若い貴族は侮蔑の視線で真琴を見て、その場限りのなおざりな拍手を送っている。

(そいつらは放置で良いな。問題は…何を考えているか分からない奴らか)


元々貴族のほとんどは教会派なのでスルーだ。その中で使えそうな人を探す。


広間の至る所で貴族同士が固まって話している集団が幾つもあった。それらを観察しながら真琴は誰を味方に付けるかを慎重に考えていた。(そもそも味方がいるのか?と言う疑問は今は置いておく)

周りから様々な視線を受けゲンナリしつつこちらも周りを観察する。


挨拶の後は各々食事を取りつつおしゃべりタイムに突入する。

(実際の所はタヌキ達の腹の探りあいなのだが)

王族の人はまだ挨拶があるようなのでとりあえず一人で隅に行こうとする。

すると背後から声がかかる。


「ほほ、楽しんでおりますかな?マコト殿」


(げぇ、確かモール教の司祭…と愉快な仲間達)

後ろには司祭を先頭に10人ほどの貴族がいた。


「これは司祭様方。お久しぶりです。ええ、とても楽しいですね」


と、そこで後ろの貴族達が騒ぎ出す。


「貴様!司祭様に対してその言動は失礼であろう!勇者の代表などと調子に乗りおってこの無能が…」「いい加減に立場を弁えたら…」「勇者でも無いくせに…」「何なら我々の所で…」


この後は聞くに耐えない罵詈雑言を貴族らしく遠回りに、時に直球に言われたので割愛する。さらにさりげなく自分達の派閥に入れようとする貴族もいるので適当な挨拶を返す訳にはいかない。


「まあまあ皆さん、マコト殿も色々と大変なのでしょう。魔力の無い貴殿が勇者の代表とは気苦労も多いでしょう。…いや、魔力の無い貴殿が勇者様に混じっている、ですか?まぁそれはそれとして、どうですか?教会でモール神にお祈りをしてはいかがかな?」


ほら来た勧誘、しかも司祭から直々に…

(コノヤロウ…"混じって"って、わざわざ言うなよ。もうお前は勇者じゃ無いってか?あ?)

そんな真琴を他所に司祭の言葉に反応して周りの人々の話しも少し小さくなって聞き耳を立てる。この国の派閥は結局王族派か教会派の二つに分けられる。真琴の返事によっては勇者の大半が動くので戦力的、精神的に両者のパワーバランスが大きく変わると言っても過言では無い。

(だからこんな所は嫌なんだよ…)


「ははは、ご心配して下さりありがとうございます。しかし私には地球で信仰している教えがありますのでどうかご容赦を」


こちらも遠回しに教会とは関わらないと伝える。するとその言葉の意味を理解すると共に周囲から敵意が沸く。

(今まではまだ様子見程度だったけどもうこれで完全に敵…かな?)


「ほう、厚い信仰心ですな。そちらの神もさぞお喜びでしょう。しかし今マコト殿はこちらの世界にいます。こちらの神を信仰しても良いのでは?」

「しかしそんな事をすればあちらの神に怒られてしまいます」

「はははっ、心配せずともモール神は改宗者にも寛容ですよ。マコト殿程が心を改めて改宗していただければ決して見捨てはしません。今なら教会の十字軍で軍団長クラスの地位を約束しますよ?」


…それはそれは


「これはまた可笑しな事を。私達は魔王討伐の為に呼ばれたのでは?十字軍といえば確か宗教弾圧に対応するためのいわば対人用の軍隊ですよね?まさか討伐後も…なんて考えてませんよね?」


改宗だけなら無理だが、十字軍に入れと言われたら多少強引に考えると元の世界に帰す気がなく、政治の道具にというニュアンスにもとれる。なのでそこをつついてみた。


「な…ほ、ほほ。まさかそんな事伝説の勇者様に対して恐れおおいですよ」

「そうして頂けると嬉しいですね。今の言葉はしっかりと記憶させて頂きますよ」

「私は構いません。しかし…よろしいのですか?改宗なされず」


まるでこれが最終警告だとでも言うかのように念を押された。


「ええ、結構です」

「…残念ですよ」


周囲はもう既に世間話などしていなかった。そんな中で真琴は自分が王族派だと明言したので一気に敵意が膨れ上がる。


その後はルーン達と合流するまで貴族達の挨拶と称した遠回しな罵詈雑言の嵐を受けた。まぁ地球の頃は父やその仲間達に似たことをされていたので余裕でスルーする。

(あとは…あの人達か)

未だ奥の方で興味深そうにこちらを見る貴族達が数名。

彼らは使えそうだ。




しばらくすると殿下が合流し(流石に殿下の前ではお互い友好的なふりをしていた…いや、今更手遅れじゃないか?)少し話しているとパーティはお開きになった。


(あぁ…しんどい)

いくら慣れてるとはいえ、周りから暴言を吐かれ時に足を踏まれても何も手が出せないというのは精神的に色々とキツい。最後の方貴族達が怯えたみたいになってたが何かあったのか?


「マコト殿大丈夫か?そんな顔して…」


横からルーン殿下が心配そうに聞いてくる。


「そんな顔?」

「あ、あぁ気持ちは分からんでも無いがそんなに睨まなくても…」

「……え?」


そこで初めて真琴は自分が彼らを睨んでいたことに気付く。

(おかしいな…前なら顔には出なかったのに)


「あ、すみません。私は大丈夫ですよ」

「そ、そうか。その…すまなかったな。こんな事に巻き込んで」

「まぁ必要な事ですからね。それでは私も帰ります」

「あ、ああ。気を付けて帰ってくれ。今日はありがとう」

「ええ、では失礼します」


そんな真琴をルーンは心配そうに見送った。

(今回は司祭まで出てきたから余計に酷かったな…本当にマコト殿は大丈夫だろうか?)





一方真琴はどの貴族を味方に付けるかを考えながら部屋に戻った。


「あ、真琴君お帰りなさい」「あら真琴帰ったのね」「おう、お疲れ真琴」「マコトお帰り~」「お帰りなさい」

「あれ?皆起きてたの?アルン達も起きてて大丈夫?」

「真琴君が帰ってくるまで起きてるって言ってね」

「あー…ごめんね遅くて」


どうやら待っていてくれたようだ。


「それよりも何か食べる?」

「そうだね。何か軽い物をお願いします」

「ふふ、了解です。ちょっと待ってね」「あ、優樹菜私も手伝うよ」


優樹菜と優衣がキッチンの方へ行った。

それを見ながら真琴はソファに座ると左右にアルンとクロがすわる。


「あのね、マコト。今日ね…」


そしてアルン達が今日の出来事を話すのを聞きながらある意味日常とも取れる状況を見て少し安心する。あんなタヌキの集団よりもよっぽど良い。


「マコト?」


(ふぁ…眠い…)


真琴が覚えてるのはそこまでだった。





○○優樹菜side○○

「真琴君お待たせ…て、あれ?」


スープを作って戻ると悠一君が少し笑いながら唇に人差し指を当てて、ソファを指差している。釣られてそちらを見ると


「あれま、寝ちゃったか。優樹菜残念だったね」


真琴君が寝てしまったようでアルンちゃん達が起こさないように横にしようと動かしていた。


「きっと疲れたんだよ。寝かしておこう」


確かに料理食べてくれなくて残念だけどこんな無防備な寝顔見れてむしろラッキー…

「優樹菜、顔」

…は!

横から優衣ちゃんが呆れたように指摘してきた。慌ててヨダレを拭いて顔を戻す。


「ふぁ…私達も寝ましょうか」

「そうだね」「そうするか」


優衣ちゃんの言葉で皆寝る準備を始めた。もう一度真琴君の寝顔を見てほっこりしてから私も準備を始める。


「お疲れ様。おやすみなさい真琴君」

最後はちょっとほっこりさせてみました

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