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第31話 魔力制御


「え?」

「いやいやちょっとあなた?」


周りの反応にどうすべきか困っているとクラリッサ先生が声をかけてきた。


「はい?えーと…僕ですか?」

「そうあなたよ。あなた名前は?あと君は今何したの?」

「えー…僕の名前は真琴です。今のは魔法の練習?です。何か間違ってましたか?」

「いやまぁ間違っている訳じゃ無いんだけど…まず魔法の発動はまだ教えて無いはずよ。それにあの火を大きくしたり小さくしたりって…難易度としては更に上の技術なの。あなたどうやったの?」

「えーと、空気の量を調節しただけですよ?」


火の勢いは酸素の量で調節可能なので自分から空気を送るイメージでちょっと調節しただけだ。


「空気?なんで空気が出てくるの?」


クラリッサ先生は興奮しているのか顔を赤くして食いつくように質問してくる。

(近い近い近い!)


「え?あー…風の魔素の量…ですかね」


(忘れてた。この世界に原子論とか無いわ)

そう、この前本を読んでいて気付いたがこの世界では魔素を集めるほど強い魔法が発動すると本当に信じている。つまり原子の組み合わせで何かが起きるとは考えてないのだ。確かにこんな魔法の世界に化学とかあったら怖いけど。


「なるほどね。たしかに考え方は合ってるわ。マコト君凄いわね!こんな短時間で魔法を習得するなんて。それに魔力の流れも凄く綺麗!先生こんな優秀な子初めてよ!」


そう言ってクラリッサ先生は僕に飛び付いて来た。

(あ、あっぶな!)

慌てて火球を魔力で散らす。当然こっちは避けられずそのまま抱きしめられた。

(え?ちょ)あ、柔らかい…では無く。

周囲から集まる嫉妬などの視線が痛い。特に後ろからの殺気が…


「あ、あのクラリッサ先生?」

「いやーマコト君は凄い子ね。先生キミみたいな子大好きよ」

「いやとりあえず離れて」


じゃないと視線で死にそうですあと優樹菜、後ろから腕つねらないで痛い。その後、なんとか離れてもらいました。


「さて、他の皆さんはどうでしょう?」


その言葉を受け他の生徒(主に男子)がやる気倍増しで頑張りだす。まぁ理由は目に見えているが。てかあの先生まさかやる気上げる為にわざとやったのか?ふと先生を見ると意味ありげに笑ってた。コノヤロウ…

だが、まだ問題はある。さっき解説したのは魔法の発動の仕方なのでほとんどの人はその前段階、魔力の制御が出来ない。


「ねえ真琴君。魔力の制御ってどうやってやるの?」


優樹菜が聞いてきた。一応自分のやった方法を説明してみたが、やはり感覚頼りなので真似は出来ないようだ。


「うーん…なら優樹菜、ちょっと僕の手を握って」

「へ?て、手を!?」


両手を出すとそれを見た優樹菜は顔を赤くして動揺した。


「い、いや真琴君いきなり過ぎてちょっとと言うか、いや!私も凄く嬉しいよ!嬉しいけどその前にその、色々お…」

「あ、えーと…僕と優樹菜の魔力を繋げて僕が流してみるから。それで大体感覚が掴めると思う」


何だか優樹菜が変な方向に暴走し始めたのでとにかく事情を説明して落ち着いてもらう。


「あ、はは、まぁそうよね。うん、真琴君だもんね。そうだよね」


それを聞いて優樹菜は小声で何か呟くとお願いします!と手を握った。

(や、柔らか)

ちょっと役得だと思っても仕方無い。僕だって健全な男子高校生だ。しかしそんな事は顔に出さず意識を集中させる。

(導線を繋ぐイメージで…)

僕と優樹菜を繋げて魔力を流す。言うのは簡単だが実際はかなり難しい。


「当たり前です。そんな事上級魔術師以上でないと出来ません。今日魔法を知ったようなマコト君が」

「出来た!」

「そうですだから…出来た!?」


横でクラリッサ先生が何か言ってたが聞こえなかったな。

とりあえずイメージ通りに魔力は流せた。


「ん…あ、これかな?」


自分でも何か感じた優樹菜も魔力を流す。


「そうそう。上手いね」


馴れてきたのかスピードが上がる。


「あ…ふ…うん…ま、真琴君…ちょっと多い」

「あ、ゴメン」


そういえば僕の魔力って普通よりかなり多かったな。それを流される優樹菜の負担はちょっとキツいだろう。それに気付き慌てて手を離す。


「ご、ごめんね。真琴君。ちょっとびっくりしちゃって」

「いや、僕こそごめん。どう?出来そう?」


ちょっと息遣いが荒くて色っぽいとか口が裂けても言えないな、などと考えつつ聞いてみる。

(まぁ聞くまでも無いと思うけど)


「うんありがとう。私も分かったよ」


そう言うと優樹菜はしっかり魔力を制御して見せた。

(さっきお互いの魔力を回したので何となく分かる)


「く、工藤君私もやって」

「真琴俺にもやってくれ!」

「わ、私も」


ちょっと満足してると他の生徒も迫って来た。改めて周りを見ると周囲に群がる生徒(男子の仲の良い奴と女子生徒のほとんど)と前の方から此方を睨む出遅れた男子の生徒達。そして真琴がやった事を優樹菜にやってもらおうと優樹菜を囲む残りの男子生徒。

優樹菜の方はかなり困ったようで此方をちらっと見たので声をかける。


「優樹菜、女子達の対応してくれる?そっちの方が相手も気が楽だと思うから」

「あ、うん。分かった。えー、皆さんすみません」


あちらの男子から凄い睨まれたが知らん。優樹菜が困ってた事に気付け。あと貴様らには絶対に触れさせんぞ。


「じゃあ皆さん優樹菜とやって下さい。悠一達はこっちでやるよ」

「おう、頼むわ」


そうして席を交代する。男子達が優樹菜の方へ移動しようとしたが今の男女がはっきり分かれている状態で混じろうとする勇者はいなかった。…あれ?僕達って確かこの世界じゃ勇者か?まぁいい。

(そのうち制御出来る人が増えるから大丈夫かな)


「じゃ、順番な。とりあえず悠一から」

「おう」


そうして先程と同じようにやっていく。流石に魔力の流し過ぎはもうやらなかった。




それからしばらくたって日が落ち始めた。


「はい皆さん時間です。まさか初日でこんなに多くの人が制御が成功するとは思いませんでした。今日はここまでなので気を付けて帰って下さい」


先生のその言葉を受けてほとんどが机に倒れた。以外と体力がいるのだ。それと精密なコントロールによる精神的負担が大きい。


そんな中真琴達は四人で話しながら片付けをしていた。

(これからパーティか…夕飯どうしようかな)

真琴はアルンとクロがいるので食堂が利用出来ない事を知ったアイゼン王が料理長に話を通してくれたのでキッチンから食材が貰える。なので話しながら夕飯のメニューを考えているとクラリッサ先生がやって来た。


「マコト君ちょっと良いですか?選択授業の件ですけど」

「選択授業?」

「あれ?まだ説明されてませんか?本当なら習うのは戦闘術だけなのですが強くなれるならと剣術と魔法の訓練が追加され、そのどちらかを選択して習うって」

「…初耳です」


驚いた…恐らくこれはアイゼン王の計画だろう。教会はあまり力はつけて欲しく無いはずだし。


「説明は明日なのかな?まぁ良いです。とにかく選択授業は剣術ではなく魔法にしてください」

「え?あの…僕は何も出来ませんよ?」

「そんな事はありません!この短時間であそこまで出来る人見たこと無いです!なので是非とも!」

「いや、でも…」


ちょっとクラリッサ先生の勢いに押されかけた時。


「待たれよ!」

「カインさん!?」


扉を開けてカインさんが来た。


「クラリッサ殿、マコト殿は魔法よりも剣術を選択すべきだ。

既にこの私が負けかける程の腕前ですぞ!」

「な、あなたが!?いや、でもマコト君は今日1回目で魔法を発動させる段階まで出来たのよ?ここは魔法でしょ!」

「たった1日で!?いや、しかし…」

「でも、やっぱり…」


カインさんとクラリッサさんは当事者抜きでどんどん話を進めてる。







結局決着は付かず、真琴の「パーティが…」の一言で引き分けとなった。別れ際のお互いからの「こっち選んでくれますよね!」オーラが半端なかった。


遅くなりすみません…

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