第25話 お茶会
連続で投稿出来ずすみません…
「単刀直入に聞こう。マコト殿の精霊は神龍と悪魔…魔族で合っているか?」
そんな国王の言葉に真琴は固まった。
(…何故知っている?確かにさっき殿下との会話でアルン達の事は軽く触れたけどそこまでは話して無いはずだ。それと…魔族、クロの事を?)
もしここで肯定すれば相手はどうする?やはり敵である魔族のクロを殺そうとするか?
「そんな事を、一体どこで?それと仮にそうだとして何か問題でも?」
アルンは神龍でクロも悪魔であり魔族だ。そこは間違ってはいない。だが正直に答える必要は無い。
そもそも何故種族まで分かった?どこで聞かれた?確かに人型の精霊は珍しいが神龍や魔族とは考えるか?それは無い。なら一体…?
一瞬で様々な事を考え何が起こっても対応出来るように腰を浮かせながら答える。
そんな真琴を見て国王は
「…ふっ、ははははっ」
笑いました。なんか凄く笑ってます。
「いやいや、警戒させたのならばすまない。ルーンから話は聞いていたがやはり自分の目で改めて君を見たくてな」
そんな事を話し出した。ちなみにそんな国王の言葉を聞いてルーン殿下は顔を真っ赤にしていた。
(…要は、試されてた?いやでもそれなら)
少し拍子抜けしたがまだ王は肝心の事を答えていない。警戒を緩めずに再度質問する。
「ところで、何故アルン達の事を?」
「あぁそれは私のせいね」
しかしここで以外な人物が声を上げた。ルーン殿下だ。
「私の…まぁ精霊の魔法でね、相手の思考が分かるのよ。とは言えかなり感情や状況に左右される。それに読める思考もかなり大雑把な事しか分からないけどね。で、その魔法でマコトを見た時にあなたの精霊が相当な高位のものだと分かったの。後は見た目とか…まぁ色々調べて仮定をたてて見たってわけ」
「…なるほど」
つまりはカマをかけられていたと…
確かに言われてみると幾つか心当たりはあった。しかし理由が魔法とはさすが異世界。
(正直魔法って全く信用出来ないんだよな…まぁルーン殿下がこの状況で嘘をつく理由が無いから多分そうなんだけど…魔法ね)
やはり元々無かった物を急に信じろと言われて頷ける人は中々居ないだろう。だがここはとりあえず納得しておく事にする。
「疑う用な事をしてすみませんでした」
「いやいや良いのだよ。元はといえば黙っていた私達が問題なのだしな。…それで、君の精霊の種族は」
改めてアイゼン王が聞いてきた。さっきとは逆になったような感じだ。
「…まぁこっちが隠しているのもフェアでは無いでしょう。あなた方の予想の通りです。アルンが神龍、クロが悪魔です」
「そうか。教えてくれてありがとう」
「…何もしないのですか?」
「何かして欲しいのか?」
「あ、いえそうではなく…」
何かをして欲しい訳ではないが逆にこの態度に戸惑う。
そんなマコトをアイゼンは優しい目で見ながらゆっくりと話す。
「…確かに帝国としては魔族を排除し神龍様を崇める。馬鹿らしいがこんな事をしなければいけないのだろう。だがそれをして皆が幸せになれるのか?無理だろう。それに彼女たちを捕らえようとすれば君はどうする?」
再び試す様な目でアイゼンは問う。その質問にアイゼンだけでは無くアルンやクロ、ルーン殿下やリオン皇子、カリン王妃も真琴を見る。
「…私は、僕はアルンとクロを守ります。例え、あなた達を殺す事になっても」
戸惑いつつ、それでもハッキリと真琴は応えた。その答えにアイゼン達は満足気に頷き、アルンとクロは満面の笑みで真琴に抱きついた。
「そういう事だ。君達のその関係を続けるのも壊すのも全ては君達が決めること。例え国であろうと世界であろうと横から入る事は絶対に許されないのだよ。それに娘を守ろうとする父を誰が止められるものか」
「…ありがとうございます」
「ははは、そういう事だよ」
この人は…素直に凄い人だと思えた。
その後は皆でお茶をのみながら小一時間ほど談笑していた。そこで分かったのはこの家族は皆好奇心が旺盛だということだ。アイゼン王も始めは慎重な人かと思ったが話していると地球にとても興味を持っていた。奥さん達も似たり寄ったり。
…お願いですから笑顔で僕の過去を探らないで下さい。
リオン皇子は一見細そうな外見をしているがとても運動が好きで実際剣の腕はかなりの物らしい(今は近衛隊に混じって次期国王に向けて勉強中だそうだ)。始めは話さなかったが一度共通の話題を見つけるとそれをきっかけに打ち解けてとても親しげに話してくれる。
ルーン殿下は…まぁ今更だろう。
「…それにしてもマコト殿。貴殿はとても面白いな」
「そうでしょうか?」
「ああ。貴殿の雰囲気は上に立つ者に似ている」
うーん…まぁ生徒会やってたからかな?でもあまり悪い気はしない。するとリオン皇子が笑いながら話す。
「でもまさか本当に2体の精霊と契約してるとはね。しかも神龍と魔族」
「まぁ運が良かった…て事ですかね」
「運…ね。本当にそれだけかな?2体と契約出来るのは千人に一人いるぐらい。神龍や魔族と契約したのは初めて聞いたよ」
それは僕にも分からないです。とは言えず肩をすくめた。
「流石はマコト殿だ。温厚そうな雰囲気でそのような実力を持っているとは…いやはや頼もしい」
「ルーンも良いお友達を持ったわね。お母さん嬉しいわ。でももっと頑張りなさい。うかうかしてると取られるわよ」
「わ、私は別にそんな…マ、マコト殿は友人です!」
「またそんな事言って…どこで育て方を間違ったのかしら」
「だから私は別に!」
そんな母娘の会話にリオン皇子が呆れた声を出す。
「まぁ毎日毎日あんだけ話を聞かされれば…ね」
「あ、馬鹿リオン。それは秘密と…」
「えーなんで?ふむ…やっぱり姉様、マコト殿を」
などと目の前は盛り上がってます。
え、僕?さっきアルン膝の上で寝てしまい、横で船を漕いでるクロをこけないように支えていて忙しいです。ちょっと距離があって殿下達の話があまり耳に入らないです。
ここでアイゼン王が口を開いた。
「さて、そろそろ解散にしたいがその前にマコト殿にお願いがある」
「私に…ですか?何でしょう?」
「勇者のリーダーとしてパーティーに出て貰えるか?」
「え?」
「そろそろ勇者を出せと貴族共が煩いのだよ。だが全員出すと混乱するのでまずはマコト殿を。と考えたのでな」
ここまで来ると国王さんかなり口調が愚痴っぽくなってきた。相当溜まっていたのだろう。色々と。
「いや、ですが…私は勇者かどうか」
「魔力の事か?精霊が2体もいる時点で大丈夫だ。それにこの時間だけでも君が充分な人物だと分かったからな」
「えーと、でも私は」
「何、心配するな。貴族達と仲良く話してくれたらそれで良いよ」
はぁ…断りたい。
つまり召喚した勇者を早く出せと貴族が煩いからちょっと顔出せと。まぁ多分全員出すと貴族(教会)に引き込まれる可能性が大きいからって理由もあるだろうな。
となると僕はパーティーで出来るだけ自分に有利な状況を作れるように貴族達と話しをした方が良いかな。いずれ全員がパーティーに出る事もあるだろうからそれまでに地盤を固めておかないと。
「…分かりました。パーティーはいつでしょう?」
「ありがとう。次は明後日の夜だな。また使用人を寄越す。
その時に礼服も持って行かせるよ」
「分かりました。では今日はこれで失礼しますね」
「ああ、今日はありがとう。とても楽しかったよ」
そうして僕達は席を立った。
と、ここで重大な事を思い出す。
「ふふ。すっかり寝てしまったわね」
「あー何かすみません」
そう。アルンとクロが寝てしまったのだ。
(確かにもう遅い時間だしな。さてどうしようか)
とりあえず二人を抱き上げる。
「あ、ちょっと待ってマコトさん」
王妃のカリンさんに呼び止められた。もう呼ばれ方がすっかり近所の奥さんだ。
「もう遅い時間だしルーン、部屋まで送ってあげなさい」
「え?私?」
「他に何処にルーンがいるのですか」
目の前で急に始まる家族漫才。
このお茶会で分かったがこれがこの家族の日常なのでこちらもとりあえずスルーしておく。
「そうそう、マコトさん。最近さ…」
カリン王妃とルーン殿下が話していて真琴が止まっているのを見てリオン王子が話しかけてくる。関わると面倒なので即効でこっちに逃げてきた感じだ。
この王子、普段はあまり話さずとても理性的な印象を受けるが何かあったのか今では真琴に友人のように話しかけてくる。
(まぁこっちの方が話し易いから良いけど)
でも仕事の愚痴を言うのは辞めてください…絶対この人常に仕事サボりたいとか考えてる人だ。
一方、
「ちょっとお母様、何で私が」
「ルーン、これはチャンスよ。早くマコトさんを落としてしまいなさい」
「な、何を急に…」
「惚れてないの?」
「う、そ、それは…まぁちょっと格好良いなーとは思って」
「ならアタックよ。女も度胸は必要よ…ただでさえあなた愛嬌が…」
「お母様!でも…」
「ほら早く。相手を待たせない」
そんな会話が裏で行われた。聞こえた国王が少し寂しそうにしていたのには誰にも気付かないのがお約束だ。
そんな感じで話はまとまり
「マコトさんお待たせ。ルーンが案内してくれるそうよ」
「いいのですか?こっちは確かに助かりますが…」
二人も抱えながら帰るのはちょっと辛いかな。
「ま、任せなさい。ほら、行くわよ」
何故か顔を真っ赤にした殿下が先を歩いて行く。
「あ、えっと、今日はありがとうございました」
「こちらもありがとう。また来てくれ」
そして僕も殿下の後を追った。後ろから
「ルーン、帰りは明日でも良いわよー」
と良く分からない事を言う王妃の言葉は聞かなかった事にしよう。
…それが聞こえたのか、殿下のスピードが上がって付いて行くのが少し辛かった。
どうだったでしょうか?
もし誤字などがありましたら教えて下さい
m(__)m




