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第1話 いつもの朝

2017/09/04 誤字脱字修正しました。父親の名前を大介に変更しました。

4月某日



チ、チ…カチッ


ジリリリリリリリ!


「…っさい!」ガチャン


朝聞きたく無い音ランキングがあったら恐らくトップ3に入るのでは?

などと、若干現実逃避気味なことを考えながら目覚まし時計を止め僕、工藤真琴はソファーから身体を起こした。


「あー…もうこんな時間か

そんなに寝れんかったな…」


欠伸を噛み殺しつつ身支度を整える。


(んー…

朝食はもういいか、どうせもう時間だし)


ふと壁にかけてある鏡を見ると、そこにはどこかパッとしない顔立ちの黒髪の青年の顔(つまり自分の顔)が写っていた

自分の首元にある痣を見ながら


(一人暮らしももうけっこうたつな…

以外と出来るものだな)


真琴は現在、家賃数万のアパートに一人で暮らしている。

そもそもこの生活の原因は彼の父にある。

彼の父、大介は昔は凄腕の社長だったのだがある事業に失敗して会社が倒産してから人が変わったように酒を飲み、浮気をし、暴力を振るようになった。

母さんもついに父さんに愛想を尽かし僕と一緒に家を出て行こうとした。






ーーたが、それを知った父さんは母さんと僕を殺そうとした。

僕は母さんに庇ってもらったが危うく本当に殺されてしまうところだった。

偶然近くにいた友達の親に助けてもらい僕は一命はとりとめた。が、母さんはすでに手遅れだったそうだ。

そして父さんは現在も行方不明だ。


(あの時僕にもっと力があれば…)


この痣もその時についたものだ。

これ以外にも身体中に火傷の跡や傷痕などがあったりするがそれは服を着たら見えない。

首元だけは隠せないため包帯を巻いて隠す(周りには差し当たりの無い程度の言い訳をしている)


結局、父さんがその後どうなったかも分からず、周りに頼るのも気が引けたので真琴は一人で暮らしている。


(母さんはあっちで笑っているのかな…)


そんな事を考えながら真琴は準備を終え、家を施錠して学校へと足を向けた。




歩き慣れた道を行くと、公園の前に見慣れた男女三人がいた。

男は真琴に気づくと片手をあげ、


「おっはよー!

元気ー?」


朝からやたらとハイテンションな声で茶髪を短く刈り込んだ頭とがっしりとした体格の活発そうな幼なじみ…斉藤悠一がそんな挨拶をした。


「あ!真琴君おはよう

バイトお疲れ様。

ちゃんと寝れてる?クマすごいよ」

「あんたもうちょいちゃんと挨拶しなさいよ。

や!真琴おはよう。

相変わらず時間ぴったりね」


彼に続いて二人の女性が挨拶をしてきた。

先に遠慮がちに挨拶したのは整った顔と腰まである黒髪が特徴の幼なじみ、遠藤優樹菜。

後から悠一に注意しつつ挨拶したのは悠一に似た活発そうな顔と優樹菜とは違いショートボブの髪形が印象的な幼なじみ、服部優衣だ。


「やあ、みんなおはよう。

待たしてごめんね。

まぁ…うん、睡眠については、ね?」


いくら家賃が安いとはいえお金はかかる。

なので僕はちょっとバイトを掛け持ちしていたりする。

…その結果家賃は払えるが毎回睡眠時間が削られて行くわけだ。


「ダメだよ?ちゃんと寝なきゃ。

どうせバイト終わって面倒だからソファーとかでちょっと寝てすぐ出てきたとかでしょ。」


「…なんの事だか、さっぱりだな」


「あっ目を反らした

ちゃんと寝なきゃだめだよ?身体壊しちゃうよ?」


いつも疑問なのだか何故、優樹菜はこうも鋭いのか(普段はけっこうな天然である)

これが所謂女の勘というやつなのか?


「まあまあ優樹菜その辺にして行きましょ。ね?」

「また優衣ちゃんはそんな事を言って。

大体真琴君はいつも無茶ばっかりして!あ、ちょっと聞いてる?」

「は、はい…」


すると優衣が横からニヤニヤ笑って優樹菜に囁く。


「真琴君真琴君って優樹菜まるで彼女みたいね」


「な…か、彼女ってち、違うから!違うからね!」


優衣がからかうと途端に優樹菜が顔を真っ赤にして否定した。


それを少し離れたところで聞いていた真琴は少しへこんでいた

(いや。分かってるけど…でもそこまで必死に否定しなくてもな…)

そもそも優樹菜や優衣みたいな美人たちと幼なじみというだけでもかなりラッキーなんだ。

それ以上を求めるのは欲張りという物だろう。

そして自分の中でそう完結させ歩き出した。


ふと隣の茶髪の友人を見るととても楽しそうに笑っていた。


(こいつらはカップルそろってSっ気あるよな…)


悠一と優衣は中3の頃から付き合っており、端から見ても羨ましいぐらいに仲が良い。


「優樹菜はああ言っているが真琴君

正直なところどうなの?どうなの?」


唐突に悠一はニヤニヤしながら真琴にそんな質問を投げかけてきた。

真琴は呆れて歩きつ出しつつ


「どうって…

まずあり得ないだろ?

僕みたいなやつが釣り合うとでも?

相手に失礼だわ」


真琴がそう笑って返すと悠一は少し眉をひそめて


「…お前はまだそんな事を」


「大体僕には誰かを守る力も何も無いんだよ」


自分にはそんな資格はない

そう言外に告げると、悠一は何か言いたそうな顔をしたが真琴が聞く気が無いと分かると諦めたように口を閉じた。

(真琴、お前はまだお母さんの事を…

今のを優樹菜達が聞いていたら悲しむだろうな…)

悠一はそう思いつつ後ろでまだ楽しそうに話している二人を見た。


「悠一?遅れるよ?」

「あーそうだな。

おーい、二人とも早く行くぞ!」


(まぁそのうち何とかなるだろ

こいつも大分マシになったし、優樹菜はけっこう本気みたいだし)

そう考えながら悠一は歩き出した。





「じゃあまた帰りにな」

「おう、あんまり授業で寝るなよ?」

「ど、努力します」

「あんまり先生を困らせたらだめよ?

優樹菜もしっかり注意しなよ?」

「任せて」


そしてしばらく行った先の交差点で各々挨拶を交わし、悠一は中部工業高校へ優衣は新中央高校へと向かって行った。


「じゃあ僕たちも行こうか」

「うん!」


そして真琴と優樹菜は桜ヶ丘高校へと向かって行った。

次回は月曜日に投稿します

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