第17話 精霊王マコト?
ターニャ王女の話を一旦頭で整理してから真琴は話しだす。
「なるほど…大体理解出来ました。でも何でアルンが僕の子供になるのですか?ただ僕の魔力を食べていただけのようですが…」
「だからよ。私たち精霊は体のほとんどが魔力で出来てるのは知ってるわよね。精霊は子供の頃に親の魔力を注いで貰ってそれを体に馴染ませて成長するの。成長したら体が自動で空気中の魔力を自分用に変換してくれるからそれまでは慣れた親の魔力で育つって訳ね。
そしてアルンの魔力は元々は親の私のだけだったけど今はあなたの魔力が混ざってるのよ。だからこの子にとっての親は私とマコトってこと。理解した?旦那様」
「はぁ…何となく分かりました。でもそれなら今からでも魔力を注ぎ直せばアルンは元に戻れるのでは?」
確かにアルンは真琴の魔力が混ざっているらしいがまだ子供だから注ぎ直せば戻るはずだ。
「それが…精霊は子供の時は貰った魔力だけ成長するの。アルンもここまで成長したらちょっと無理かしら。それにこの子が嫌がると思うし…」
「何故嫌がるんですか?」
「マコトの魔力とっても美味しい!それに中ぽかぽかして気持ち良かった!」
ここで今まで真琴に抱きついていたアルンが手を挙げながら主張した。
「美味しい…って、え?」
「この子ったらずっとこの調子で…でも確かにさっきちょっと味見したけどあなたの魔力は美味しかったわ」
そう言ってターニャはうっとりと微笑んだ
(え?何?何か分からないけど怖い)
「え、えーと…つまりアルンは僕とターニャ王女の魔力が混ざっているから僕達の子供という訳ですか」
「ええ。ちなみに私は人間の体にもなれるから人族の二人の子供も作れるわよ?どうする?」
そう言ってターニャ王女は妖艶に微笑んだ。
「い、いやいやいや、何言ってるんですか王女様。そう言うのは…その…」
「ふふ、冗談よ…今はね?」
からかわないでくれ。あと、最後は冗談だよね?ね?
「え、えー…そう言えばさっきからこっちを見ている視線は何ですか?」
とりあえず何か話題を変えねばと考えてとりあえず気になっていた事を聞く。
「あら、気付いてたの。でも大丈夫よ、精霊と獣人のみんなだから。新しい精霊王がどんな人なのか興味があるのでしょうね」
「へー精霊王なんているのですか。どの方ですか?」
「あなたよ、旦那様。アルンは私の子供であの子にはあなたの魔力が混ざっているからね。それに魔力は美味しいし」
あははーそうなりますかー
なんとなくそんな気がしたんですよー…はぁ…
「ああ…そうなりますか。ところでさっきから魔力が美味しいって言ってますけどそんな大事な事なのですか?」
「勿論よ。精霊にとって魔力が美味しい程質が良いって事だからね。それにアルンをここまで成長させる程の魔力の持ち主だしね。流石私の旦那様だわ」
そう言ってターニャ王女は嬉しそうに笑った。
「うーん…今まで魔力無しだったからな…それで精霊王って何かしなければいけないのですか?」
多分無理だから精霊王辞めるとか言うのは諦めた。
「何もしなくていいわよ。精霊達もあなたから漏れた魔力を浴びるだけで十分みたいだしね。だからこんなに周りに精霊がいるのよ」
「…え?やっぱりこの動物や光の玉って精霊だったんですか?」
確かに何か光ってたからそんな気はしてたけど…
「ええそうよ。でもここまでなつかれてる精霊王ってすごいわ。みんなあなたが望んだら喜んで力を貸すって言ってるわ。あなたを守るって」
そう、ターニャ王女は嬉しそうに言った。
(僕を…"守る"?)
「…何から僕を守るんですか。もっと守るべき物はみんなあるでしょう。僕なんかを守る必要なんて…」
そう真琴は無意識に呟いた。その瞬間風がざわつき精霊達が一斉に騒ぎだす。ティターニャはその中で溢れ出る真琴の魔力の奥にある黒い何かに気付く。
(これは…一体何?)
とりあえず落ち着かせる為に真琴の手を握りゆっくりと語りかけた。
「マコト落ち着いて。ゆっくりと気持ちを落ち着かせて。大丈夫よ。あなたは今ここにいる」
「…っあ」
その言葉が聞こえたのか真琴は、はっとしたように顔を上げた。すると全てが嘘のように落ち着いた。
「ぼ、僕は何を…」
「マコト、あなたは精霊王だからここでは膨大な量の魔力があなたに従うわ。他の勇者何か比にならないぐらいの量と質よ。そして精霊達もあなたの魔力を浴びている。いわば君の手足のようなものね」
戸惑いつつもターニャ王女の話を聞く。
「そ、そんなに…」
「だからあなたが感情的になると精霊達が影響を受けるって事だけ覚えておいて。あなたは精霊王なんだから」
「…分かりました、すみません。ありがとうございます」
また、父さんの事で感情的になったのか…なんで今更あんな事…
「マコト?どっか痛いの?大丈夫?」
すると下から心配そうな声が聞こえた。
静かだったから寝ていると思っていたアルンがこちらを見ていた。
「ああ、大丈夫だよ。ありがとう」
そう言ってアルンの頭を撫でると気持ち良さそうに目を細める。
「…さて、そろそろ行かないと。みんな心配してるかな」
悠一達との待ち合わせに既に30分ほど遅れている事に気付く。
「あら、もう行ってしまうのね。残念だわ」
「すみません。色々聞けて助かりました。また来れる時に来ますね」
「いつでも来てね、旦那様」
ティターニャは少し寂しそうに言った。それを見て真琴も何だか申し訳無い気持ちになる。
なのでさり気なく近寄り耳元で囁いた。
「またすぐに戻るよ。ここには綺麗な奥さんがいるからね」
「な、ま、マコト!」
寂しそうだったターニャ王女はたちまち顔を真っ赤にする。
「もう…気をつけてね」
「ありがとう。アルンもまたな」
そう膝の上に座っているアルンに言うとアルンは怒った。
「えー!なんで!私はマコトについて行く!」
「ふふ、連れて行ってくれない?その子はあなたと離れたく無いみたいだし。それに子供でもその子はドラゴンよ。そこら辺の精霊なんかと違うわ」
ここでターニャ王女からの援護射撃。
アルンもそれに乗っかり
「私強いよ!マコトを助けられるよ」
胸を張って自慢気に言う。
(本当に親子そっくりだ)
「うーん…二人がそれで良いなら」
「決定!アルンはマコトに付いて行く!」
まぁそうなるわな
「はぁ…じゃあ行くか」
「うん!」
「ふふ、二人共気をつけてね。いつでも精霊達と待ってるわ」
「ではまた」
そして真琴とアルンは立ち上がる。
「…と、その前に」
ふと思い出したように立ち止まると周りを見た後にある一点を見ながら告げる。
「皆さんも今までありがとうございます。このお礼はまた改めて」
するとあちこちから驚いた顔の獣人が出てきた。
その中でも真琴は未だに誰もいないある一点を見続ける
「ずっと見張っててくれてありがとうございます。おかげでゆっくり出来ました」
そして頭を下げる。すると突然その前に一人の獣人が現れる。戦士の雰囲気を纏わせる武人のような人だ。
「気付かれていましたか…気に入りましたぞ、精霊王。
またゆっくり話をしましょう」
「ええ、また。それではありがとうございました」
そうして真琴とアルンは精霊達と別れて優樹菜達の所へ向かった。
「行ってしまいましたな」
「どうです?私の旦那様は」
「まだ未熟ですがとても面白い者ですね。初めてでこんなに精霊がなつくなんて初めてです」
「ふふ、やっぱりすごいわね。次はいつ会えるかしら」
そう言ってティターニャ達も精霊の国へと帰った。
(それにしても、旦那様のあの黒い塊は一体…)
真琴の魔力が暴れた時に見えた黒い塊がずっと心に引っ掛かっていた。
やっとドラゴンテイマーらしく?なって来ました




