第14話 精霊の大樹林
コンコン…
扉をノックする音が聞こえた
「真琴君おはよう。体調悪るくない?大丈夫?ちゃんと寝れた?」
扉を開けるといつものように優樹菜達がいた。どうやら朝食の時間のようだ。
「おはよう優樹菜。しっかり寝たから多分大丈夫だよ。悠一と優衣もおはよう」
…まぁ実際寝れて無かったりするのだが
(あんな夢見た後に寝れたらすごいわ。まぁ多分大丈夫だろ)
そう甘くみていた真琴。
だが、
「おう真琴、お前本当に大丈夫か?その顔で冗談は辞めとけよ?」
「…なんで?」
と、悠一に真顔で言われ疑問を浮かべる。
よく見ると悠一と優衣は純粋に心配そうな顔。優樹菜はそれに若干の怒りが混じってる。
(ちょっと待って何で皆そんな顔してんの?ちゃんと寝たって言ったよね?)
少し戸惑っていると優衣がやれやれと言った感じで口を開いた。
「はぁ…ねえ真琴、ちゃんと寝たのならあんたのその隈と疲れた顔は何?」
「…え?そんなひどい?僕」
「正直徹夜開けの漫画家の方がマシかもね」
どうやらかなり顔に出ていたようだ。
「真琴君本当に大丈夫?今日も寝てたほうが…」
「あー…ありがとう優樹菜、あと心配かけてごめんね。悠一と優衣もごめん。でもとりあえずは大丈夫だよ。それよりも朝食を食べに行こう。昨日から何も食べて無いから腹ペコなんだよ」
実際問題昨日の朝倒れてそのままなので成長期の高校生男子男子としてはかなりキツい。
「まぁそれもそうね。じゃあ行こうか」
「そうだな。俺も腹ペコだよ」
そう言って優衣と悠一は歩き出した。
「私たちも行こ。真琴君体調おかしかったらすぐに言ってね」
「うん。ありがとう」
「そう言えばさ、この前さ…」
などと話しながら真琴達は食堂へ向かった。
食堂へ向かう途中は何とも微妙な空気だった。
僕の魔力の事は既に伝わっているらしく、すれ違う人達は珍獣でも見るかのようにこっちを見つつも決して近寄らず。何か凄く居心地が悪かった。
優樹菜達は友達と合流して(やはり生徒もどこかよそよそしかった)そのまま料理を取りに行ったので一旦別れた。
(さて何食べようかな…)
「おやおやこれは我らが代表サマではないですか」
「…」(うわぁ最悪だ)
料理を選んでいるといつの間にか良太たちに囲まれていた。そして馬鹿でかい声で話しかけられる。
「…おはよう良太」
何とか表情を変えずに挨拶する事に成功した。うん、良くやったよ僕。
「おはようございます代表サマ。ところでこんなところで何をされてるので?」
「見ての通り朝食だけど?」
「おやおやこれは驚いた!朝食と!」
「…何か問題でも?」
アホみたいな茶番劇に不快感を募らせながらも何とか無表情で返す。
「まさか!魔力無しの!勇者の資格の無い!無能の代表サマが!勇者である我々と同じ食事とは!これは驚いた!」
(いちいちほんとに腹立つな!)
ようやく良太たちのやりたい事が分かった。要は僕が魔力無しだからここぞとばかりに陥れたいのだろう。取り巻きも「無能」とか「恥知らず」とか喚いてる。他の生徒は見て見ぬふり。ちなみに扉付近で兵士達がニヤニヤ笑ってこちらをさり気なく見ていた。
(……面倒臭い)
だがこちらとしても気絶とか寝不足とか色々あって疲れている。なのでここは適当に流そう。
そう考えた真琴はとりあえず良太たちを無視してパンと牛乳を取る。
「おい聞いてんのか!無能のお前は!「これは酷い!」…あ?」
良太の言葉に被せるように言う
「まさか勇者ともあろうお方が無能の僕に何も恵んでくれないなんて…勇者ってそんなのでいいのか?」
「な、お前…」
「パンと牛乳でさえも取り上げる勇者なんて「もういい!」」
不利を悟ったのか怒鳴るように遮ると肩を怒らせながら取り巻き達と去っていった。きちんと僕を罵倒する事も忘れない。
そして当事者である真琴はゲンナリしつながらそれを見送り、パンと牛乳を持って空席を探す。
(…もう帰りたい)
丁度優樹菜達が席を取ってくれてたのでそこに座る。
どうやら優樹菜達は助けようとしたが友達に止められて結局動けなかったらしい。それは正直巻き込まなくて僕も良かったと思ってるので別に構わない。
ちなみに真琴の食事の内容についてひと悶着あったが何とか事情を説明し、足らなかったら自分の分を分けると優樹菜が言い落ち着いた。
(それを見て良太達が忌々しそうに舌打ちをした)
そんなこんなで食事をしていると司祭と他数人がしれっと何食わぬ顔で入って来た。どうせさっきまで見てたくせに。
「勇者様方おはようございます。急ですみませんが今日は皆様に『精霊の大樹林』へ行き精霊と契約をしてもらいますので、準備をお願いします。心配せずとも皆様程の魔力なら高位の精霊とも契約出来ますでしょう。
…まぁ例外はいますがね」
と、最後に嫌味を残して去って行った。(最後の部分で良太達が馬鹿にしたようにこちらを見てゲラゲラ笑ってたがスルー)
ちなみに昨日真琴が倒れた後に皆に精霊についてのおおまかな説明があったそうだ。とりあえず皆準備の為に席を立つ。
「精霊の大樹林って何だろうね?」
「そのままの意味で精霊達がいる巨大な森らしいよ」
これについては前に殿下にこの世界について教えてもらって、多少は知っていたので答えれた。
この世界の大陸の地形は簡単に言うと円形で西側には魔王の領地が、南東側に人族の領地があるそうだ。
そして北側には広大な森がありそこには獣人や精霊などがいるらしい。(精霊の力が強く魔王も簡単には手を出せないそうだ)
そんな事を話しつつ一旦皆と別れて準備をする為に部屋へ戻った。
(てか着替えだよな)
昨日真琴が倒れてから皆に何着かの衣類が配られたらしい。流石にずっと制服という訳には行かないそうだ。真琴の部屋にもいつの間にか衣服が数着積まれていた。そして、着替えを終えて部屋を出る。
集合場所へ向かう途中で前から使用人の人が来た。
「周りは皆教会派だと考えて行動して」
そうすれ違う瞬間にそう囁き去って行った。
(今のは…ルーン殿下か。てか、周り全員って最悪だな…)
つまり真琴はかなり教会に目を付けられているようだ。ちょっとげんなりしながら集合場所へ向かった。
集合場所にはもう既にほとんど人が集まっていた。真琴は優樹菜達を見つけて合流する。軽く話していると全員集まったようで兵士の人が前に立った。
「勇者様方。お集まり頂きありがとうございます。本日の案内を勤めさせていただくガルムです。森までの距離は長いですが、魔力を使えばすぐに行けますのでご安心を」
そう言うとガルムさんは魔力操作という方法を説明した。
一、血管のように全身に魔力が巡っているイメージをする。
二、関節などへ魔力を誘導するイメージをする。
これだけで良いそうだ。
何でも疲労回復と身体能力の一時的上昇が出来るらしい。
「これで皆様も軽く歩いていればすぐに森へ着くでしょう」
が、そこで良太達が騒ぎだす。勿論ニヤニヤ笑いながら。
「ガルムさん!魔力が無い人はどうなるのですか?」
それにガルムさんや兵士もこちらを見ながら笑ってかえす
「それはまぁ付いて来て貰うしかないですね。そこらの子供でも簡単に出来るので考えた事もありませんでした。いやすみません」
一部の生徒達爆笑
それに対して真琴は
(はぁ…どうでも良いけどとりあえず眠たいわ)
ベットの事を考えていてスルー。
周りも真琴がスルーしているので普通にスルーした。
兵士さん達怒りながらも出発しました。
ー到着ー
…いや分かってたよ。皆魔力あるそうだし。僕無いし。
一言で言おう、しんどい。
周りの皆が涼しい顔で立っている中で真琴は息を切らして膝をついていた。それを見てまた良太達が何か言ってるがスルー。と言うより構ってる余裕が無い。
心配して声をかけてくれる優樹菜が女神に見える。
そんな皆の後ろで精霊の大樹林はまるで何かを感じたかのようにざわついていた
また少し間があきます
遅くてすみませんm(__)m




