第13話 友達として
遅くなってすみません
「ああ、そういうの辞めくれ。固苦しいの嫌いなんだ。それよりマコト殿は大丈夫なのか?」
「それは…」
そう言ってルーン殿下は真琴君の所へ行ったから私たちも状況を説明しつつベットへ向かった。
そこには先程よりもかなり苦しそうに顔を歪めて呻きながら涙を流す真琴君がいた。
「真琴君!?」「ちょ、これ本当に寝てるだけ?」「いや…これはちょっと…」
明らかに広間の時よりも酷くなっている状況に私は慌てて名前を呼びかけながら手を握った。後ろでは悠一君やルーンさんもかなり心配そうにしている。
そんな時に
「か…あさん」
と、真琴君は小さくでも確かにお母さんと言った。その言葉に私たち(ルーン殿下を除く)は固まった。
(お母さん…って真琴君…そんな…)
「え、ちょっとあなた達どうしたんだ?」
殿下は私たちの様子に心配そうに声をかけるが、今はそれどころでは無い。
「…え?…まさか…」
「真琴…お前…」
悠一君と優衣ちゃんも同じ事を考えたのだろう。泣きそうな顔で真琴君を見て呻いた。
(何で…!)
私は一層強く真琴君の手を握る
そして、真琴君は涙を流しながら呟いた
「母さん…ごめんなさい…」
「…っ、真琴君!真琴君!」
(もう辞めて!)
もう聞いていられなかった。私は思わず真琴君の肩を掴んで名前を叫んだ。その衝撃で真琴君は目を覚ました。
起きてからしばらく混乱していたけど、状況を説明して落ち着いたのか段々落ち着いてきたようだ。
ルーンさんも何かを察したのか少ししたら退出して行った。まだ話したい事はあったけどさっきの事があったから私たちも挨拶をして部屋を出た。
(真琴君、また無理してるな…)
そんな事を考えていると悠一君が
「なあ、ちょっと話しない?」
と、言ってきた。内容も分かってたからそのまま3人で近くの悠一君の部屋に集まる。
皆とりあえずお茶を飲んで一息つく。
「もう…さ、あれからけっこう経つんだな」
悠一君はゆっくりと話しだした。
「俺達もあれからけっこう頑張ったけど、まだ駄目なのかな」
「いつになったら話してくれるのかな?…今の私達じゃ、頼り無いのかな…」
そう。真琴君は私たちにご両親のあの事件の事を話して無い。体の傷跡も派手にこけただけだと言い張っている。
(もう、知ってるのに…)
確かに私たちはあの部屋には居なかったけど、あの日3人で真琴君を驚かせようとこそっり家の庭に入っていた。そして見た…見てしまった。あの暴力の全てを。
「あの時はすごく怖かったよね…」
「だから私達は動けなくて…」
「でも今は違う!ちゃんと守れる力をつけた!なのにまだ…まだ駄目なのか…」
同じ事を思い出したのか、優衣ちゃんはそう呟いた。それを否定するように悠一君は言ったけど最後は悔しそうに声が弱々しくなる。
「あの時もっとちゃんと動けたら…ならもっと」
「優樹菜、それはもう考えても仕方ない事よ」
「でも!今ならきっと…」
「分かってるさ…分かってる、でもあの時の俺達は動けなかった。だから真琴はあんなんになったんだ」
私たちはあの日真琴君が殴られるのを庭の木陰から隠れて見ていることしか出来なかった。助けなくちゃとは思った。けど3人共体は恐怖ですくみ上がり動かなかった。
ただ真琴君が殺されかけるのを見る事しか出来なかった。
(真琴は知らないが真琴が助かったのは我に返った優樹菜達が助けを呼んだから)
「なんで…なんで真琴君があんな目に合わなきゃいけないの?なんで、なんで…」
堪えきれずに涙を流す。優衣ちゃんが優しく肩を支えてくれるけど多分優衣ちゃんも泣きかけているのだろう。手が少し震えていた。
「今更悔やんでも過去はもう変えられ無い。でもさ、今は何とかできる。いや、するんだ。俺達で真琴を守る。これ以上あいつが悲しまないように」
私たちを見ながら悠一君はそう言った。それは自分自身への誓いでもあった。勿論私達自身にも。
「そう…ね。ただでさえ今の真琴は危ないわ。その、色々と。何か魔力が無いらしいし…」
「ああ、あの広間は酷かった」
「あの人達も好き勝手言って…何も知らないくせに」
悠一君のその言葉で少し落ち着く事が出来た。でも改めて思い出してみてもやっぱりあの広間の一件からとても腹がたっている。
(何よ、勝手に真琴君に全部押し付けておいて気に入らなかったら非難して…真琴君は皆のために頑張ってるのに)
「でも悠一、具体的にどうするの?」
「それなんだよな…あの教会のおっさん達がどう動くかが分からんからな。とりあえず出来る限り真琴と行動するぐらいか。後は出来る限りの情報収集と共有だな」
「まぁそれぐらいね…優樹菜は何かない?」
と、優衣が優樹菜の方に向くと
「…そうだよ真琴君はいつも皆の為って頑張ってるのよ。皆ももっと感謝しても良いぐらいよ。なのに皆ときたら、何よあの態度何とか真琴君が穏便に済ませようとしてくれたのに…」
ぶつぶつ呟き続ける優樹菜がいた。
「優樹菜?おーい優樹菜さん?遠藤優樹菜さん?」
「そうよ、なら一層の事…え?優衣ちゃん何か言った?」
(一層って何!?あんた何する気なの!?)
と、優衣は内心で恐れつつこれまでの話を説明する。
「うーん、そうね。とりあえずそれで様子を見てみよう」
「まぁこれでしばらくは大丈夫だろう。何かあったらしっかりと真琴を守れるようにしないとな」
悠一君は最後にそう締めくくった
「そうね。さて、もう遅いから寝ましょうか。行こ、優樹菜」
「そうだね、悠一君ありがとうね。おやすみ」
「おう、おやすみ」
そう言って部屋を後にする
その時はそれで良いと思っていた。
次の日の朝食を真琴君達と食べている時に司祭さんが精霊と契約しに行くと言うまでは…
明日もう1話出せるように頑張ります




