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第10話 皇女の気持ち



「…やはり教会は王族とあまり仲が宜しく無いのですか?」


僕の雰囲気が変わったのを感じ、皇女も少し背筋を伸ばして答えた。


「あまりと言うかほぼ喧嘩だな」

「しかしあくまでも1教会。しかしあなた達は国ですよ?そこまで力があるのですか?」

「あの教会はとにかく規模が大きく資金力が凄くてね。ほとんどの貴族は教会に協力してる」

「つまりこの国の権力は国王と僅かな貴族vs教会とほとんどの貴族で争っていると?」

「簡単に言えばそんな感じ。だからこれからはどちらの勢力がより多く勇者を引き込めるかで決まって来るな」


…また面倒な事に巻き込まれたな

とにかく教会は今の国王が気に入らないらしく、もう乗っ取ろうとしているそうだ。これはまた極端な…


「なるほど。大体理解出来ました。しかしならばルーン殿下がここに居るのはまずいのでは?」


すると皇女は嬉しそうな顔をしながら


「あら、心配してくれるのか?優しいやつだな」

「それは心配しますよ。幾ら初対面とはいえ、貴方みたいな美人な女性がこんな時間にそんな危険な事をしているのですからね」


そう少しおどけて、しかし真面目に返すとルーン殿下は少し驚きと哀しみの混じったような顔をした。


「貴方は本当に優しいんだな。見ず知らずの私をそこまで心配してくれるなんてね。所詮私なんて政治の道具に過ぎないのに…」


少し自虐的に微笑むルーン殿下の姿に軽くショックを受ける。

(…それもそうか。権力者の娘でこの年って来たら大体政略結婚に出されるのがテンプレか…)

そう考えていると皇女は少し悲しそうに言った。


「良く分かっているじゃないか。そうだ、私なんて何時知らないおっさんに嫁ぐかも分からない。だから毎日毎日ご機嫌取りに挨拶されたり、気持ち悪い視線で見られても笑顔でいなくちゃいけない。こんな人生ならまだ市民の方が楽だな。少なくとも好きな相手にアタックするチャンスはあるんだ。それさえも出来ないなんて笑っちゃうな」

「…ルーン殿下?」

「は、どうぞ笑ってくれ。この歳にもなって毎日毎日花嫁修業。しかも相手は見ず知らずのおっさんだ。もう傑作だな。くそ…もう…こんなんなら一層…」


と、歯止めが効かなくなったのか皇女は涙混じりの独白をする。

後半はもう言っている事が滅茶苦茶だ。恐らく本人も分かっていないんだろう。

そんな姿に耐え切れず否定する


「それは違う!」


少し語句を強めて言うと皇女はビクッと肩を振るわせてこちらを見た。


「こんな事を何も分かって無い奴が言うのは場違いかもしれない。でも、一言言わせて貰うと貴方はただ逃げているだけだ。その未来を少しでも良くする為に何かした?ただ周りに流されて愛想振り撒いて何か変わった?余計不快になっただけだろ?結局何もしてないのと同じじゃないか!」


ついカッとなって口調が戻ってしまったが、今の真琴にはそんな事はどうでもよかった。ただ目の前にいる彼女に語りかける。

そして皇女もそれに反論する


「な、何!?何も知らないくせに!やったよ!少しでも国の為になれるように相手を調べたり、お父様の敵になりそうな人とは少しでも距離をとったり…」

「だから!それを逃げているって!言うんだ!」

「っ!さっきから逃げる逃げるって!私が一体何から逃げてるって言うんだ!」

「自分自身だろ!」


その言葉に皇女は驚いたように固まった。


「さっきから国、国って…自分の心はどうした?…確かに自分では色々やったんだろう。でもそれでも何も解決しなかった。ならそこで終わるのか?違うだろ?もっと考えて、自分ではどうしようも無かったら周りに聞けば言いだろ?何故そこで自己完結するんだ?自分が納得するまで足掻けよ!あなたはあなたの人生を生きているんだ!諦めてどうする!?」


皇女は少し涙を流しながらも真琴の話に耳を傾ける。

その姿に少し真琴も頭を冷やす。


「…それで、最後に解決しなかったら?」

「それはもう諦めるしかないな」

「はは、何だ…最後の最後でとても残酷な事を言うんだな」

「大事なのは自分が納得できるまで足掻けるかどうかだと僕は思う」

「…だったら、マコトは…マコトはこんな私を助けてくれるのか?」

「…貴方が本気でそれを望むなら。少なくとも僕は全力であなたを助けたい」


皇女の質問にも1つ1つ本音で答えてゆく。それが真琴がこの皇女に出来る精一杯の事だと思ったから。

そして、お互いに少し心を落ち着かせた。

(…あれ?良く考えたら僕とっても失礼な事してない?)

と、真琴が軽く焦っていると


「…やっぱりマコトは優しいな。優しくてとても真っ直ぐだ。こんな話をそこら辺の人にしてもそんなしっかり向き合ってくれる人なんて居ないと思ってた」


そんな発言に真琴は少し考えてから


「…確かにそうかもしれません。でも少なくとも誰か1人、この人なら何を言っても大丈夫と思える人がいると案外楽になるかもしれませんよ?」

「そうだな、そうなんだろうな」


そう言うと皇女は少しおかしそうに笑った。


「マコトは不思議だな。初対面のはずなのにこんな事まで話してしまうなんて」


今さらながらに自分の言った発言の数々を思い軽く後悔にかられる。

(よくもまぁ自分を棚に上げてこんな事言えるよ。一番逃げているのは僕だって言うのに…)

そう考えつつも顔には出さず返事を返す。


「差し出がましい事を言って申し訳ございません。ですが、少しでもルーン殿下が楽になったらなら嬉しいですね」


その言葉を聞いて皇女は複雑そうな顔をした。


「言葉使いが戻ってる!さっきみたいに普通に話してくれ」

「いや、しかし…」


冗談きついです。不敬罪でやられます。僕まだ死にたくないです。

それも皇女はわかってるみたいで、


「うーん…ならせめて身内だけの時は…ダメか?」


そう言って下からこちらを見上げる皇女

(…その顔は反則ですよ)

その顔に若干魅了されつつそれを顔に出さないように頑張った。


「…じゃあ、その時だけはこの口調にするよ」


そう言うと皇女はとても嬉しそうに笑った。

(どうやら、とりあえずは何時もの調子に戻ったようだな)


「さ、殿下。もう夜も遅いですから」


「うーん…もっと話していたいけどな。まぁ流石に迷惑だろうな」


(そうです。とりあえず寝させて下さい)


「じゃあ今日はありがとう。また明日…」


そうして皇女は去って行った。

(はぁ…やっと寝られる)

考えてみればまだこっちの世界に来てからまだ1日も経って無いのだ。

(そりゃ疲れるわ。もう寝よう)


…が、まだまだ夜は長そうだ

唐突に扉が乱暴にノックされ開けてみると、何やら不穏な空気をまとった優樹菜、それを苦笑いで見ている優衣、悠一が立っていた。

優樹菜の後ろに般若が見えるのは錯覚だろうか…



はぁ…今日は何時に寝れるのかな…

ちょっと強引かな?

とりあえず皇女さんの悩みを解決させました


また感想などがあればお願いします。

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