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エスティマ滅亡編5

火の粉が降ってきた。火攻め。平民街は完全に逃げ場を失った。

人々は何故逃げているのか、理由も知らず、何処へ逃げればいいのかも分からないままひたすら逃げている。

生きる意味さえ忘れて。


騎士の見習いである自分にも直ぐに収集がかかった。こんな出来事、想像もしていなかった。しかし、集合に時間はかからなかった。


弟にそれを伝えて、一人で家に向かうように言った。まだ火は回っていない。賊軍も貴族街には到達していないからと。しかしそれも時間の問題だろう。母を連れて、王宮へ逃げるように伝える。それが無理なら、まだ火の回っていない、北門へ行くのもありかもしれない。ただ、壁の外へ出たところで、自分達に何が出来るのか。


弟は別れる間際、今にも泣きそうな声であることを呟いた。



「僕…お母さんのこと守るから。兄ちゃん、無事に帰って来てね。シチュー温めて待ってる…から」



心が引き締まる思いだった。



本当の家族じゃないのに。ここまでこの少年は自分達のことを思ってくれていたのかと。こんな小さな少年もなにかを必死に守ろうとしている。自分も、人々を守らなければ。



「分かった。帰ったら三人で暖かいシチューを食べよう。それまで、泣いちゃダメだ。兄ちゃんとアモンの約束な」


帰ったら。帰ったらシチューを食べよう。

自分で言った言葉なのに、嫌に現実味がなく頭の中を繰り返した。

果たしてそんな未来が自分達に待っているのだろうか。ふとそんなことを考える。

駄目だ。希望を持たなければ。



---



西門、南門の壁が壊滅的な程壊された。

火の粉は貴族街の西側にまで飛び火し、王宮までは時間の問題だという。


賊軍は王宮を目指して、全身を進める。ただ、先生の言う限りでは、そこいらのバラバラだった盗賊達が頭も無しに攻めてきているだけなので、まとまりが無く、二人一組でかかれば此方側が有利だということ。


ただ、想像の範疇でしかないが、この盗賊達に今日という日を指示し統率した人物がいることも伝えられた。


もしかすると、そいつは相当の手練れ。出逢えば騎士クラス以下は退散。住民の避難を最優先に行動しろ。なお、貴族の避難場所は王宮へ通し、それ以下は北門へ誘導するように。そう各騎士へ情報が行き渡る。


部隊は大きく3つへ分けられ、逃げ遅れた者の救助班、誘導班、そしてオーガ隊長率いる討伐班。


騎士、そして自分を含めた上位クラスの騎士見習いは全て討伐班へ回された。


作戦開始の合図をオーガ隊長が高々と言い張る。初めての実戦、初めての作戦、初めての実剣。心臓がばくばくと脈打つ。手の震えが止まらない。


「エスティマ軍二千三百三十四名、本日1745を持って初作戦、盗賊退治並びに市民の救助、誘導を行う。皆の者、これまでの訓練を存分に発揮し一人でも多くの命を助けるように」


歓喜の怒号が騎士学校の講堂に集まった2334名の中から巻き上がる。


死ぬかもしれない。初めての命をかけた作戦、誰もが震え、そしてそれを隠すために大声を上げたのだと、ルシアは思った。

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