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[詩]なかったことにする

作者: 小林大樹

なかったことにしようって

昨日の僕に言う

過去を

これまでの事を

臭いものに蓋をして

狭い殻に閉じこもる


なかったことにしようって

昨日の僕に言う

出来るなら

出来るならば

その言葉に耳を塞いで

箱の奥底に閉じ込める


なかったことにしようって

昨日の僕に言う

僕の目はどこを見ている?

虚ろに澱んで

ただ過去に足をとられる

足を。


なかったことにしようって

昨日の僕に言う

迫ってくる影に気付いては逃げ

逃げては恐れて

ここがどこかも分からずに


なかったことにしようって

昨日の僕に言う

今日も繰り返す

明日も繰り返す

いつまで?

それは。


なかったことにしようって

昨日の僕に言う

昨日も

一昨日も同じ

ただ繰り返す

ただ逃げている


なかったことにしようって

昨日の僕に言う

積み上げてきた言葉に触れて

指先を少し切ってしまった



思っていたんだ


思っていたんだ


積み重ねが僕を作る


過去の僕はすべて


今の僕と繋がっている


それを消してしまうのは


自分を否定するのと同じだって


思って痛んだ


思って痛んだ


指先の傷


痛みも僕の一部で


それを受け入れるために


前を向くのか



なかったことには出来ないって

明日の僕は言う

痛みに耐えなくてもいい

涙をこらえなくてもいい

全部を受け入れて

やっと始まりなんだって



なかったことには出来ないって

昨日の僕に言う

痛くて

辛くて

でもそれを受け入れろって

逃げ出してもいつかは

戻らないと駄目だって



なかったことには出来ないって

今日の僕に言う

「どれだけ逃げ続けたって」

「なかったことにはならない」

「あの日の痛みも僕の証明」

「だから僕はここにいる」


あぁ。


ようやく、会えた。

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