同盟なのか、それとも敵なのか? 1
は濡れた布で頬を拭いながら、離れていった。
「えええ……待って、待ってよ。どういうこと? 私のアイカが結婚しなきゃいけないって?」
「父さん、本気なの!?」
「そうだ、娘よ……。まあ、落ち着け」
「アイカ、お前はあの家と、そして我が娘を見張るんだ。あの家での目的は、奴ら一族の秘密を探ること。それから……娘を監視することだ。俺は向こうの当主とすべて話をつけてある。奴は何も疑っていない。単なる同盟だと思っている……だが、これは利益のためだ。我々はあいつらを潰し、秋田県を我々の一族の独占下に置く」
アイカは表情を変えず、冷たく答えた。
「あなたがそう望まれるのでしたら、私は彼と結婚いたします」
それを聞いた父親は、嬉しそうに笑った。
「アイカ、俺の姪っ子よ。お前は本当に最高だ!」
「ちょっと、待って、待って!」
ヒマワリは足を踏み鳴らしながら近づいてきた。
「いったい誰なのよ、その男! 私のアイカを奪おうとしているのは誰!?」
「誰なの……?」
「そうよ、私は知りたいの! もしそいつが……その……変態だったらどうするの!? それとも、何か別の……。私の大事なアイカを、そんな男に渡すわけにはいかない!」
「まあ、落ち着け、可愛い娘よ。この男には、いろいろな伝説がある……」
「伝説?」
ヒマワリは父親を見つめて尋ねた。
「ああ」
父親は答えた。
「彼はサエモンサブロウ一族の護衛だ。そして、サエモンサブロウ一族の当主、その後継者の護衛に任命された男だ。聞いた話では、後継者を脅した他の一族の者たちを一人で叩きのめしたらしい。三十人もの人間が二か月間、病院送りになったそうだ。まさに化け物だ。だが……うちのアイカなら大丈夫だろう?」
「あなたがそうお望みでしたら」
アイカは冷たく答えた。
「そうこなくては!」
父親は大声で笑った。
すると、ヒマワリの母親が冷たい口調で言った。
「あなた。話がそれだけなら出ていって。私たち女同士の話があるの。邪魔をしないでちょうだい」
ヒマワリは、不安そうな顔でアイカを見つめていた。
「はいはい、分かったよ。ごめん、ごめん。お嬢さんたちの邪魔はしないさ」
そう言って、ヒマワリの父親は慌てて部屋を出て、頭の後ろを掻きながら扉を閉めた。
廊下を歩いていると、彼の右腕であるハヤタが現れた。
一人の忍者が、まるでどこからともなく現れたかのように姿を見せ、当主の後ろを歩き始める。
「当主……本当に、彼女を送り込むおつもりですか?」
「ああ……彼女ならな」
当主は冷たい表情のまま歩き続けた。
「彼女は亡くなった俺の兄の娘だ。そして、ナオヤに次ぐ、我が一族最強の戦士でもある」
「それに、あの男についてすべて調べろ。そして俺に報告しろ」
「承知しました」
そう答えると、ハヤタは姿を消した。
その夜。
老人は日本式の家の縁側に出て、山々に囲まれた静かな夜の中を歩いていた。
秋田県、大館市。
古い日本家屋の軒先を歩きながら、老人は心の中で一つの目標を定めていた。
――あいつらがこの県全体を支配下に置いてしまう前に……何としてでも阻止しなければならない。




