9話:リザードマン
リザードマンは跳躍した。
何m跳んだんだ――。
物凄い高さから蹴りを叩き込まれ、俺は吹き飛んだ。
地面を転がる。
胸骨が痛む。
――折れたか?
(何にせよ、攻撃は受けたらマズい)
俺は歯を食いしばって立ち上がり、リザードマンに全力で斬り掛かった。
だが俺の剣撃は難なく受け止められる。
次の瞬間、脇腹に尻尾。
鈍い衝撃。
骨が軋む音。
内臓にダメージが走り、呼吸が止まる。
それでも根性で斬り返した。
だが、バク宙であっさり避けられる。
(……バケモノか)
人間と、身体能力が違い過ぎる。
ダメージで片膝を着いた。
もう、目の前だ。
俺は地面を掴み、砂を投げつけた。
目潰し。
リザードマンが一瞬怯む。
その隙に――
全体重を乗せ、剣を叩き込む。
リザードマンは咄嗟に右手で受け止めたが、
俺は剣術なんて知らない。
これは技じゃない。
鈍器のような一撃だ。
右手がへし折れ、鎖骨が潰れる感触。
残った左手で斬り返してくる。
俺は蹴り飛ばし、反動で後方へ跳んだ。
腕一本では扱い切れないのか、
リザードマンが僅かによろける。
俺は全速力で踏み込んだ。
太もも目掛け、剣を突き立てる。
(これで動きを――)
思った瞬間。
尻尾。
腹部に直撃。
視界が白く弾けた。
俺は胃液を吐きながら地面に突っ伏す。
手足が痺れる。
勝手に痙攣する。
(やばい……効いた……)
影が落ちる。
リザードマンが、とどめを刺すために剣を振り被っている。
俺は胃液を吐きながら横へ転がった。
片手、片足。
確かに潰した。
でも――
俺のダメージが大きすぎる。
剣撃だけじゃない。
全身が凶器だ。
勝てるのか……?




