第8話:ギルドの依頼
「確認が取れた。騒ぎを起こすなよ。それと、仮面を取るな」
村に入るとなかなかの賑わいだった。
子供の笑い声と、金属が触れ合う音が混じっていた。
商売してる声が交差し、雑談しながら人々は歩いている。
行き交う人々は俺を見るなりヒソヒソと何か言っている。
「私は商売があるから」とポーテットと別れた。
俺は村を回って歩き、散策が終わったあとにギルドに入った。
ギルドは酒場も兼ねているらしく、笑い声と怒号が入り混じっていた。
「いらっしゃーい!あら?あなたね?アンデッドを無償で倒してくれたの。名前は?」
「丈だよ。もうそんな情報出回ってたんだ。」
「あなたは目立つからね。火傷の跡隠してるんでしょ?ジョー、私はチップよ。今日は仕事?」
「あ、うん、一文無しでね。いい仕事ある?」
「たくさんあるけど、急ぎなのは村外れに出るリザードマンの討伐よ。はぐれの一匹でね。剣の扱いが上手いらしいわ」
「わかった。早速今から行ってくるよ」
「いってらしゃい!」
元気に送り出されて気分が良かった。初めてちゃんと人として扱われたみたい。仮面のおかげかな?
◇
村外れに着くと異様な光景だった。
リザードマンにやられた冒険者だろうか、そこら中に鎧を着た者たちの亡骸が転がっている。
俺は転がってる亡骸を一箇所に集め、胸の前で手を組ませた。
せめて、安らかに眠ってくれ。
この人達もあの冒涜的な神に会うのだろうか。
そんな事を考えいた時、ヒタヒタと何かが近づく足音がした。
草むらが揺れた。
ぬるりと姿を現した。
それは、リザードマンだった。
リザードマンは、俺の仮面ではなく――その奥を見ていた。
リザードマンは、俺を見て、わずかに首を傾げた。
その目には、感情がなかった。
リザードマンは剣を構える。
俺も腰から剣を抜き構えた。
リザードマンは一瞬で距離を詰めてきた。俺は辛うじて防ぐ――だが、物凄い筋力で俺は後方へ弾き飛ばされた。
手が震える。
怖いわけじゃない。
剣撃を受けた衝撃が、まだ骨の奥に残っているだけだ。
――勝てるのかな。
いや、勝たなきゃ死ぬだけだ。
トカゲのバケモノは、間合いを測るように、一歩ずつ距離を詰めてきた。
慎重なバケモノだな――手強い。




