第6話:人間の心
身体中が痛い。
特に右足は、もう感覚が曖昧だった。
右足を引きずりながら村に向かう。
疲れた、倒れてしまいたい。
服もフードもボロボロだった。
折れた剣だけが、指に食い込んで離れない。
傍から見たら、アンデッドにしか見えないな。
そんな時に複数の足音が聞こえ冒険者に囲まれた。
「こんな所にアンデッドが!村が近いみんな戦闘準備だ!」
ここでもアンデッド扱いか、もう疲れた。そう思ったが弁明した。
「俺は……人間だ。こんな姿だけど、人間なんだ」
僧侶が前に出て、短く詠唱した。
白い光が俺を包む。
だが、何も起こらない。
「……効かない?」
僧侶の声が震えた。
「浄化魔法が、効かない……!?」
その瞬間、冒険者たちの目が変わった。
――恐怖。
俺は笑いそうになった。
(ああ、やっぱり俺は、化け物なんだな)
「……くそ!ならば近接戦だ!」
恐ろしく鋭い縦斬りが振り下ろされる。
(もう楽になろう)
――ガキィィィン
気づけば冒険者の剣を俺は防いでいた。
考える前に体が動いた。
「うぅ、うおおおおお!!」
俺は泣き叫びながら冒険者を襲った。
折れた剣では、斬ることはできない。
右足は、もう踏ん張れなかった。
「俺は!人間だぁ―!!」
――ゴツンッ!
ヘルムにもう切れ味のなくなった折れた剣を叩きつける。
鈍い音とともに、男が地面に崩れ落ちた。
ふらふらになりながら後衛に向き合う。
弓矢を射られ咄嗟に左手で庇う。
掌から手の甲まで貫いた。
鋭い痛みを感じたが、アドレナリンからかそこまで気にならなかった。
二射目を準備してる間に距離を詰め弓矢を剣で叩き折った。
「なんだ!このアンデッド!強いぞ!」
「た、助けて!」
命乞いまでし始めた。
「どっか行け」
俺は短く吐き捨てる。
冒険者達は倒れてる仲間を抱え逃げていく。
再び村へ向かう。しかし体はもう限界だった。しばらく歩いた後、俺は倒れた。
「……俺は、人間だ」
その言葉を、誰も聞いていなかった。
そのまま限界を迎えた俺は、意識を手放した。




