第14話:ドラゴン
ドラゴン退治と言うから、てっきり火山に行くのかと思っていたが。
辿り着いたのは荒廃した街だった。
壁には爪痕。
炭化した亡骸。
砕けた家屋。
岩は熱でガラスのように溶けていた。
「ひどい……」
思わず俺は呟いた。
「もう火を吐けるのか、成長が早いな」
団長は冷静に言った。
「この人数では足りないかもしれん」
その不穏な言葉を聞くと同時に咆哮が聞こえた。
団長は団員達に武器の準備をさせた。
「上だ!」
誰かが言い、空を見上げるとドラゴンが上空から火を吐いた。
「うわああ!」俺は必死に民家の扉を蹴破り炎から逃れた。
炎が……怖い。
俺が一度死んで焼けたからだろうか。
民家の外ではドラゴンに燃やされた兵士たちが断末魔を上げている。
何人かやられたな。
街は火の海と化していた。
民家から思い切って出ると民家ほどの巨大なドラゴンが降りてきていた。
ドラゴンの無機質な瞳が、俺を捉えた。
騎士でも、術師でもない。
俺だけを見ている。
——まるで、“異物”を見るように。
だが、そこに感情はなかった。
怒りでも、憎しみでもない。
ただ、
獲物を見る目だった。
次の瞬間、ドラゴンは地を蹴った。
「うおおおお!!」
俺は勇気を振り絞りドラゴンに大剣の一撃を叩き込んだ。
ドラゴンの額に当たり火花が散る。
鱗の余りの硬さに俺の剣は弾かれる。
ドラゴンは素早く尻尾で攻撃してきた。
剣で受けた。
が、ドラゴンのパワーは異常だった。
圧倒的な力で手が痺れ、
俺は吹き飛び建物の壁を突き破り屋内の壁に叩きつけられ倒れ伏した。
体がバラバラになりそうだ。
外ではドラゴンに魔法を放ってドラゴンにダメージを与えている。
ドラゴンに爆発魔法が集中して放たれる。
ドラゴンは鬱陶しそうに魔法を使う兵士たちに向き直り、再び炎を吐いた。
兵士の一人が掴まれた。
悲鳴は途中で途切れた。
ドラゴンの顎が閉じる音だけが響いた。
痺れた身体に鞭を打ち、俺は外へ出た。
ドラゴンが背を向けている。
俺は雄叫びを上げその背中に渾身の力で切りつけた。火花が散ったが鱗を削ぎ落とした。
「ドラゴンの背中に傷を付けた!魔法で狙え!」
俺は咄嗟に叫んだ。
ドラゴンは俺の方に向くと鋭い爪で俺の胸と腹部を切り裂いた。
(鎧意味ないのかよ)
流れるようにそのまま尻尾攻撃。
再び吹き飛び街の中央の噴水を砕きながら倒れた。
また立ち上がろうとするが、力が入らない。
出血が酷かった。
ドラゴンは追撃で炎を吐く。全身に灼熱の地獄のような痛み。
(燃え尽きてしまう!)
俺は噴水に飛び込み、なんとか炎を消した。
周囲は、すでに火の海だった。
ドラゴンは兵士たちを文字通り「引き裂き」炎を浴びせていた。
術師は何度も爆発魔法や冷気による魔法で攻撃。
槍や弓矢の攻撃は硬い鱗に阻まれてしまう。
効果は薄い。
俺はドラゴンの背後から後ろ足を刺した。
全体重を乗せて。
ーーなんて硬さだ。だが、刺さった。
後ろ足でそのまま蹴られ宙を舞う。
そのまま重力に従い俺は地面に叩きつけられる。
そして、ドラゴンに容赦なく踏み潰された。
そこに感情はなかった。
踏み潰したものが何だったか。
ドラゴンは、気にも留めなかった。
骨が、嫌な音を立て、俺は意識を失った。




