第3話 100均を知らねぇだなんて正気か
最近滞っておりますが、久々に短編書きましたー。
1話どこイッタァ――――ッ!!!
なにはともあれ俺の名はリード。
元地球人である転生者である。昨今のブームは勇者や聖女と言う王道ジョブではなく一風変わった雑魚ジョブからのチート成り上がりザマァだろう。
――――と言うわけで俺も12歳の洗礼で昨今の流行りである王道クソ雑魚ジョブをもらったわけだ。
「そんで……スキルが100均」
いや、待て。
現代人の素材集めの拠点100均だぞ。それは……滅茶苦茶ヤバいチートなのでは!?
そんなわけで俺は……スキル100均を活かして異世界で100均をやっている。
「どれでも100ゴルゴル均一」
因みにゴルゴルとはこの世界の通貨単位である。
「昔懐かしい……みんなの105ゴルゴル」
あれ……最初って105円だったか103円だったか……とりま7%10%になった辺りから記憶がねぇっ!しかしながらこちらでは国に税金を治めれば消費税っぽいのはないので利益分は売り手の自由。
「くまちゃんぬいの材料も売ってるよ」
そして売り子は勇者。なんと勇者である。俺と同じ始まりの村出身、見事勇者ジョブを引き当てたスーパーラッキーヒーローである。
なのに何故こんなところで100均の売り子をしているのか。
「また、くまちゃんのお着替えセット売りだそう」
この勇者ブレイク、無類のぬいぐるみ好き。特にくまちゃん大好きなのだ。
100均で取り扱う商品は100ゴルゴルに収まるものなら俺が自由に仕入れられる。ただしMPはかかる。MPも時間経過やアイテムで回復できるし……。
「おい、雑魚ジョブ・リード。貴様……」
「何だよ花形チートジョブ・聖女コーデリア」
つまりこの口の悪い清楚な美少女は勇者ブレイクの相棒……なのだが。
「MPを回復してやろう」
この聖女が適度にMPを回復しに来てくれるのでだいたい回復アイテム代はかからない。
「あざっす」
勇者よりも勇ましい聖女に……敬礼っ!
「その見返りを求めるようで癪だが……」
聖女とは見返りを求めぬ奉仕の心が必要なのだ。
「でも働きに見合った報酬は必要だろ」
俺のそのひと言は世界を揺るがす大問題発言に発展したのだが。
「そうであるぞ聖女よ。貴様ら聖女が命がけで何代も魔王城にアポ無し突撃してきてるとはしらなんだ。全てが無償?いや給金くらいは払うべきであるぞ」
そう告げたのはいかにもな角を頭から生やした男……ダークドラグーン。
「……まさか魔王が労働と金についてこんなにも博識だったとは」
聖女コーデリアが感心する。いや、普通のことだと思うのだが。この世界の聖女と勇者も苦労している。因みに勇者はうちのアルバイト代と冒険者ギルドでの報酬で食っている。国に命じられた討伐やら何やらは金を払わないと言うことであまり積極的ではない。それよりもギルドがちゃんと報酬を出してくれるのでそちらに行っている。みんな察してギルドに依頼を出す。
因みに魔王はうちの100均のご意見番。新しい商品の開発やら魔王しかしらない悠久の知識を活かして働いてくれている。……と、言うのも。
「ふははははっ。この最新の哺乳瓶のマスコット!うちのばぶねこちゃんにぴったりであるぞ!」
この魔王もぬいぐるみ好きであった。しかもぬいぐるみでおままごとやお人形遊びを楽しむタイプ。最近では魔王の間で勇者と一緒におままごとやお人形遊びを楽しんでいるのだとか。
――――いや、何やってんだお前ら。しかしながら100均で世界が平和になったのも事実。魔王と勇者が仲良しなんだものな。
「んで、コーデリアは今日は何が欲しいんだ?」
「その……新作のクラフトアイテムを……だな」
「たくさんあるから見てって。出してるもののほかにもマジックボックスに在庫があるから。これカタログ」
因みに異世界の定番便利システムマジックボックスはスキル100均に自動でついてきた在庫管理システムである。
「うむ……!では幾つか……!全部100均だからな……ついつい買いすぎてしまうので注意しないとな」
やはりそこは100均あるある。異世界でも地球でも変わらないらしい。