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来い春 1

4月8日(月)AM6時30分

予定よりも早く目が覚めた

(2度寝…するほどの時間でも無いな)

眠い目をこすりながらリビングへと降りた

「おはよー」


母は朝ごはんを作っていた 。

いつも通り…では無い。今日は待ちに待った高校の入学式。中学では思うように行かなかった青春を高校で思う存分満喫すると決意していた。まぁ、つまり今日は俺にとって運命の日だ。


「あら悠、早いじゃない」

母はご飯を作る手を止めて言った。もう既にほとんど出来上がってるようだった。


「なんか早く目が覚めちゃった。まぁ今日は遅刻できないしちょうどいいよ。」


当然……第一印象は大切だ。初日から遅刻などしたら間違いなくヤバいやつ認定されてしまう。それだけは避けなければいけない。じゃないともしかすると…


「すみません遅れました!!」

息を切らしながら言う。クラスメイトの視線が俺に集まる。なんとも冷たい目だ。コソコソ何か話している。

「ねぇ、初日から遅刻じゃない?ヤバいやつだ…」

「時間管理できない人ってヤバいやつだよね…」

「ヤバいやつ……関わるのやめとこ……」

「………………隣の席…あのヤバいやつだ…助けて…」

「……ヤバいやつ…」


「うわぁー!!!!ヤバいやつじゃないのにー!」


……

「今日じゃなくても遅刻はいけません」


……はっ!母の一言で俺は妄想から戻ってきた。確かにそうだ。でもやっぱり初日は大事にしなきゃな。万が一あぁなったらもうおしまいだ。

「それより、もう準備はしたの?」

母は聞いた


「あぁ、もう準備は昨日で完璧だよ。あとは着替えるだけ」

ドヤ顔で言った。

必要なものは既に昨日リュックに入れてある。意外とこういうところはしっかりしているのだ。


「ふーん、じゃ、髪はそのままで行くつもりかしら?」

母は俺に鏡を見せた

……ボサボサだ。髪が四方八方にはねている。

「違う!後で直すつもりだったんだよ!」


「あらそう?はい、朝ごはん出来たわよ」

母は軽くあしらった


そんなこんなで結局登校時間ギリギリになった。


AM7時40分

もう家を出る時間だ。

「行ってらっしゃい!」

ドアの前で手を振る。母はどうやら俺よりもテンションが上がっているようだ。

(……俺の入学式なのに)

「行ってきまーす」

俺も内心高ぶってはいたが満更でもなさそうに言った。


高校の場所は家から歩いて20分でとても近く同じ中学から来てる人も多い。そのため不安はあまり無かった。

今日も友達と一緒に行く約束をしている。


友達の家に着いた。ピンポンをするとすぐに出てきた。

「よっ」

こいつは稲垣いながき くらと言って、中学3年の時のクラスメイト。お調子者で少し変人だが良い奴だ。


「じゃ、行こー」

2人で歩き出した。ここからはあまり歩き慣れていない道だ。


「道分かる?」

不安だったので聞いてみた


「俺今日朝トルティーヤ食ってきた!俺の母のトルティーヤまじ美味いよ。1回食べてほしい」

蔵は俺の質問を聞いていなかったようだ。


「トルティーヤ?」


「トルティーヤだよ」

蔵はドヤ顔で言う。

なんかムカついてくる


「なんでトルティーヤ?」


「なんでって何?」


お互いの頭がはてなマークで埋まった。

蔵と話してるといつの間にか緊張とか忘れている。いい意味でも悪い意味でも落ち着くのだ。


「同じクラスだといいね」

蔵がボソッと言った。


「まじ3人同じクラスだったらもう初日から大騒ぎだね。想像するだけでもワクワクする。」


「3人」とは、俺、蔵に加えもう1人 中嶋なかじま あつしという人のことだ。こいつも中3の時同じクラスで学校が始まったら3人で行こうと予定していた。今日はバスで来ることになったそうで2人になったのだ。


そんな話をしているとあっという間に学校へ着いた。

「お!蔵!悠!」

敦だった。なんと丁度同タイミングで学校に着いたみたいだ。


「おー敦!!なんかはげた?」

蔵が言った。「はげた?」などのハゲワードは中学の時からの身内ノリみたいなもので特に面白い訳では無いがよく言っていた。もう一度言う。特に面白い訳では無い。


「おい誰がハゲじゃ。いやでもまじ安心した!1人で校門通れないもん俺。」

敦は友達想いで良い奴だがメンタルが弱い。たまに痛いセリフも言うし急にテンション高くなったり色々と面白い人間だ。


「よし、じゃあ入ろう」

俺らは3人で校門を超えた。


下駄箱の手前に人が集まっている。どうやらクラス表はあそこのようだ。ドキドキしてきた。


「やばい緊張してきた」

蔵が言った。体がガチガチになっている。


「まぁ1人くらい知ってる人居るでしょ!」

俺は緊張を和らげるかのようにすかさず言った。


「マジで3人同じとか無いかなぁ」

敦も言った。3人とも緊張しているのは同じよようだ。それはそうだ。クラスで全てが決まると言っても過言では無い。

そしてクラス表の目の前に辿り着いた。

各自名前を探す。

「俺は……6組だ!」

「俺8組……」


(俺は……7組か……)

3人ともバラバラだ。

俺らは全員音楽クラスを選択している。音楽クラス

は6、7、8組の3クラスしか無い。キレイにバラバラになってしまった。


「まじか、、」

「運悪ー」

しかし蔵と敦は知っている人が同じクラスにいたようでそれほどショックは受けていなかった。

俺は……見た限り同じ中学の人も一人もいない。

(これはまずい……)

急に不安が襲ってきた。


「教室までは一緒に行こう!!」

俺は焦りながら言った。


「おう」

「もちろん」

3人で階段を登った。

周りを見渡す。やっぱり色んな人がいるな。

不安に緊張それと同時に少しだけ高揚感もあった。知らない人が誰もいないということは逆に言えば自分のことを知る人も誰もいない。中学でモテモテ人生を歩めなかった俺にとっては生まれ変わるチャンスだ


五階に着いた。


それぞれの教室を探す……が見当たらない……


「これ階違くね?」

敦が苦笑いで言う


「よし、降りよう」

四階だ。ここにも……見当たらない。


「よし、降りよう」


三階だ。ようやく見つけた。3クラスともここの階だったようだ。無駄な体力を使ってしまった。


「それじゃあまた後で」

3人はそれぞれの教室へと向かった。


(来い……!俺の春!!)


え?これラブコメディだよね?まだ女性キャラがお母さんしか出てないんですけど!!blでは無いからね!それじゃ!

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