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星持ちの少女は赤の秘剣で夢を断つ  作者: 小谷草
第4章 星持ち少女と決闘と
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第68話 ドミニク・ヘッセンとアルバン・カーキー

 それから数日後のことだった。


 大きな足音が響いたかと思ったら、派手な音がして扉が開かれた。そこにはハンネス先生がいて、壁に手をついて荒い息を吐いていた。昼休みに駆け込んでくるなんて、まさか異常事態でも発生したのだろうか。


 先生は息を整えると顔を上げてこちらを見渡した。ほとんどの生徒はまだ教室にいて、驚いた顔で先生を見ていた。みんな、あまりの事態に驚き戸惑っていた。


「み、皆さん・・・。よかった。みんないる。あ! でもアーダさんがいない!」

「え、ええ。あの、彼女は図書館に用があるとかで。すぐに戻ってくると思います」


 私が答えると、ハンネス先生は息を整えながらこちらを見た。


「そうですか。図書館なら、追いかければすぐに見つかるか。分かりました! まずは部隊リーダたちだけに話があります! エリザベート様とロータル様、それにアメリーさんはすぐに学園長室に向かってください! 詳しくは・・・」

「待てよ!」


 教室に、大きな声が響いた。振り向くと、あのドミニク・エッセンが不機嫌な顔で先生を睨んでいた。


「ドミニクさん。話はあとで。今は・・」

「気に入らねえんだよ!どいつもこいつも!」


 その剣幕に教室中が沈黙した。


「討伐任務だろ! 分かってんだよ! アンタが慌ててるってこたぁよ! 最近はしょっちゅう駆り出されてるし、よほどの阿呆じゃなきゃ察せられるさ。でもな! 俺たちはもう、何もできねえ未熟もんじゃねえ! なのに、てめえら、北をないがしろにしてんじゃねえ! なんで俺やコルネリウスの名が呼ばれないのに、今だにそいつが指名されてんだよ!」


 ドミニクが私を指さした。


「エリザベートは分かる。仮にも実家は魔法家だし、侯爵家の出だからな。ロータルも、この春に力を見せつけた。だが、子爵家のアメリーが選ばれるってのはどういうことだ! この春戦っていたのはそいつじゃない! 俺たちだ! なのに、のうのうと領地にもどってた子爵家のそいつが、なんで選ばれんだよ!」


 教室がしんとなった。


 子爵家出身の私に反感を持つ生徒がいることは分かっていた。今だって、彼に賛成するような顔をしているクラスメイトが何人かいるのは気づいてた。


 だけど、こんな時に! ハンネス先生が焦っているときに反発意見を言うだなんて!


「何を言っているんです! こんな時に!」

「ああ! 貴様! 子爵無勢が調子に乗ってんじゃねえ! ちょっとエリザベートやギオマーに気に入られているからって調子に乗りやがって! はっ! てめえなんぞ、ただのコネでのし上がっただけじゃねえか!」


 こいつ! こいつ!


「武の三大貴族のくせに、たかが子爵だ! しかも当主は剣も使えねぇときている! そんなんじゃ、うちのヘッセン家のほうがましだろ! 金も地位もある。傘下の貴族家だって多い。お前らよりもよっぽど使えるんだよ!」

「貴様! いいでしょう! 見せてあげます! ビューロウ隊の強さというヤツを! 決着をつけてあげますよ!」


 私はドミニクとにらみ合った。あいつのヘッセン家は確かにこの国有数の伯爵家だ。だけど、ビューロウまでけなされて黙っているわけにはいかない!


 そんな時、私の耳に届いたのは彼の冷たい笑い声だった。


「はっ! まさか爵位や金でしか人を見ないやつが北にいるとはな。それも、勇猛といわれるヘッセン家の者が、な。これは笑わせてくれる!」


 コルネリウス様だ。コルネリウス・ポリツァイがあざけるような目でドミニクを見ていた。


「なっ! コルネリウス!」

「ヘッセン家は、どうやら北と東の同盟がお気に召さないらしい。ビューロウが手柄を立てるのは気に入らず、それだけでなく足を引っ張ろうとするとはな」


 冷笑するコルネリウス様に、ドミニクは焦ったような声を上げた。


 私も意外だった。


 コルネリウス様は、今まではこんな時に何もしないのが常だった。ハイリー様がいつもかばってくれていたが、他人事のように騒ぎを見ていたのだから。


「お、お前! まさか、ビューロウをかばおうってのかよ! ちょっと領に行ったからって懐柔されたってか!?」

「貴様こそ、わかっているのか? 貴様の今の言動はヘッセン家がビューロウを攻撃しているともとられかねんのだぞ」


 見下すように言い放つコルネリウス様に、ドミニクは何も言えなくなった。急にかばってくれたコルネリウス様を驚いて見つめてしまう。ハイリ―様なんか、目を見開いてコルネリウス様を見ていた。


「まさか貴様、ビューロウ隊がこれまでどれほどの魔物を倒してきたのか知らんのか? そいつらは学園で最も多く魔物を駆逐してきたんだぞ。最近やっと魔物と戦い出した貴様ごときが、とってかわれると思っているのか?」

「だがそいつはたかが子爵家だろうが! 侯爵家のコルネリウスが呼ばれるなら納得できる! 俺たちが慣れない間だけ、指揮を執るのもわからんでもない。だが、俺たちはもう慣れた! なのに選ばれたのはいまだにそいつだ! このクラスには侯爵家の人間が何人もいるのによ!」


 ドミニクが言い募った。クラスメイトの何人かが頷いたように見えたが、コルネリウスの冷笑は止まらない。


「魔物討伐に爵位が関係するとは知らなかったな。貴様の中では、爵位が高い貴族なら魔物は手加減してくれるというのだな。ヘッセン家がそういう考ということを頭に置いておこう」

「なっ!! そうじゃない! そうじゃなくて!」


 必死で言い訳するドミニクに、何本もの冷笑が突き刺さった。


 ため息の音が聞こえた。冷たい目をしていたのはエリザベート様だ。


「ドミニク。いい加減にしなさい。あなたが指揮を執ろうとしても誰もついてこないわ。コルネリウスだって対人戦の専門家なのだから魔物相手には力を発揮しきれない。それに、個人での討伐数は多くとも、周りを見ないあなたに他の部隊を率いることはできない。討伐任務に参加して、そのことすらもわからないの?」


 エリザベートにまで言われて、ドミニクは鼻白んだ。


「アメリーは星持ちだから選ばれたわけではない。これまでの戦いでその価値を示し続けたからこそ、学園長に呼ばれたの。あなたは納得していないのかもしれないけど、王家も学園も、そして私たちもそのことを理解しているわ」

「だが!」


 なおも言い返そうとするドミニクに、コルネリウス様がとどめを刺した。


「大した実績を上げていない貴様の言など、誰も聞かんさ。ヘッセン家がビューロウ家に含むところがあるのは理解した。だが、今日はそれくらいにしておけ。これ以上言うのなら俺が相手してやる。まあ、お前に俺と争う気概があるのならな」


 コルネリウス様が立ち上がると、ドミニクは今度こそ口を閉ざした。まだ納得していないような顔をしていたが、コルネリウス様の剣幕に何も言えなくなったようだった。


 ハンネス先生が溜息を吐いた。そして、頬を掻きながら、説明を続けた。


「では、エリザベートさんとロータル君とアメリーさんは、随行を一人許可しますので、直ちに学園長室に向かってください。アメリーさんの副官はアーダさんですよね? 彼女は私が呼びに行きます。いいですね! 学園長室ですよ!」


 疲れたように言うハンネス先生に、私たちは静かに返事をしたのだった。



◆◆◆◆


 私は学園長室に向かっていた。コルネリウス様が助けてくれるとは思わなくて、未だに動揺が収まらない。


「まさか、あのコルネリウスがアメリーをかばうなんてね。ビューロウで何か心境の変化でもあったのかな。そういえば、あいつの活躍でフェリシアーノを倒せたんだし」

「ええ。意外でした。すごく褒められていたから自信がついたんですかね? ポリツァイの始祖、ヴォルフガング・ポリツァイの再来とか言われていましたし。これまでは興味なさそうな顔をしていたんですけどね」


 エーファも意外な顔をしていた。エリザベート様の随伴として同行してくれたんだけど、彼女にとってもコルネリウス様の言動は意外だったようだ。尊敬する始祖と同一視されて、よほどうれしかったのではないだろうか。


 貴族にとって、功績を上げた始祖と同一視されることはこの上ない誉れだ。かくいう私も、ビューロウの始祖であるダーヴィドと同じだと褒められたら喜び勇んでしまうだろう。


「ビューロウで何かあったわけじゃねえのか。でもあいつがあんな言動をするとはな。北から注意されたとかか?」

「いや。私も聞いていない。まあいい薬だったんじゃない? ドミニクの奴、大した活躍もしていないくせに態度ばっかり大きかったから。一度シメないとと思ってたのよ」


 ロータル様の疑問に、彼の随行のナデテ様が答えた。


 彼女は、同行メンバーが5人になったタイミングでロータル様の隊に加わったのだけど、瞬く間に副官のような立場になったのよね。北出身で十字槍の使い手だ。授業を見る限り、同じ獲物を使うドミニクよりも相当に強いという気がしている。


 そんな話をしながら、私たち5人は学園長室へと向かった。随行のアーダ様とは、学園長室で落ち合う手はずになっている。


 急ぎ足で向かう中、何組かの生徒とすれ違った。みんな、私たちを見てすぐに避けてくれた。彼らに頭を下げながら進むと、前のほうに同学年の生徒たちがいることに気づいた。


「!!!」


 私は顔をこわばらせた。その一団の中に、ある人物の顔を見つけたからだ。


 話はしたことがないけど、聞いたことがあった。黄色い目にちょっと長めの茶色の髪。制服はノリが聞いていて、身なりがいつも整えられている。


「アルバン・カーキー・・・」


 私がつぶやくと、エーファの顔も厳しいものへと変わった。


 向こうはまだこちらに気づいていないようで、雑談しながら歩いていた。クラスメイトとふざけ合っているのだろうか。時々大声で笑い合っているようだ。


 もうすぐすれ違うというタイミングで、やっと向こうが気づいた。アルバンは、こっちを見て目を光らせたように見えた。


「これはこれは。我が愚妹の上官で、星持ちのアメリー様ではないですか。ああ。ウォルキン家のご令嬢もいるようで。あ、ロータル様もエリザベート様も。お急ぎで、なにかあったのですか?」

「いえ・・・。急ぐので失礼します」


 私は軽く頭を下げ、そのまま進もうとするが、アルバンはすれ違いざまに話しかけてきた。


「貴女も厄介ごとに巻き込まれたようですね。あの無能な妹と組まされるとは。討伐経験だけは多いようですが、付き合わされるほうはたまったものではないでしょう?」


 そっと振り返った。多分、私の顔はひどいものになっていたと思う。でも、理由もなしにアーダ様を貶めてきた相手に、笑顔を振りまく気にはなれなかった。


「無能とは誰のことです? アーダ様は、十分に力になってくれています。むしろ、私のほうが助けてもらっているくらいですが」


 私は怒りをにじませるが、アルバンは気にも止めずにアーダ様をけなし続けた。


「いいんです! いいんですよ! お優しいアメリー様は愚妹をかばっているようですが、私の前で無理を成さる必要はないのです。どうせ、教師に媚びでも売って地位を高めたのでしょう? なあ!」

「そうだ! 伯爵家で資質も高い私たちが中位クラスで、資質の低いアルバンの妹が上位クラスにいるとは思えない! 君のクラスにだってそう考える人はいるんだぞ!」

「そうよ! 大体、あなたも子爵家のくせに星持ちって何! それも何かインチキしたんじゃないの! そうよね! あなたたちは結託して上のクラスに入れるようにしたんでしょう!」


 あんまりにもあんまりな言葉に、一瞬言葉を失ってしまう。


「ふざけないで! 証拠もなしに偉そうに! そんなだから、あなたたちは上位クラスになれなかったんでしょう!」

「はっ! ウォルキン家の成り上がりが調子に乗りやがって! 歴史の浅い貴様らが、私たちに意見を使用など100年早いんだよ! もっと研鑽を積んでから出直してこい!」


 エーファが言い返すが、アルバンたちは取り付く島もなかった。


「証拠もなしに何を言うのです! 私たちの力は討伐任務で示しています! 私たちは、学園にしっかり認められているんですよ!」

「それが間違いだと言ってるんだよ! 子爵と出来損ない無勢が生意気に! この国では爵位は絶対なんだよ! 爵位のないお前が、私たちより認められるはずがないんだよ!」


 唾を飛ばしながら言い募るアルバンに必死で逆らった。こんな言い分、認められるはずはない! だってこの人たちは、私たちだけでなくこの学園そのものを貶めようとしているんだから!


「爵位、ねえ。じゃああなたたちは、私の言うことに逆らえないということね」


 思わず振り返った。その人は、いつものように優雅なしぐさで青い髪をいじっていた。


「ヴァ、ヴァッサー・・・、侯爵令嬢・・・」

「ねえ。いつからカーキ―家は侯爵家より上になったの? ベルク家が侯爵になったのかしら。 ロイス家? それともシュペー家かしら?」


 エリザベート様が言うと、アルバンとその仲間たちはあからさまに顔色を青くした。


「答えなさい、アルバン・カーキー。あなたの家はいつから根拠もなしに他家を貶められるようになったの? これは侮辱よ。何しろあなたたちは証拠もなく無実の他家を、ビューロウ家を侮辱しようとしたのだから」


 その剣幕に、アルバン・カーキーは目を見開いて絶句していた。


「ヴァ、ヴァッサー侯爵令嬢! あ、あなたこそ、中位クラスを貶めようというのですか! 侯爵位を持つ、ヴァッサー家に生まれたからと言って!」

「黙りなさい! 私がいつ中位クラスを貶めた! あなたたちに言っているのよ! キャリー・ベルク! 南の、ラサラ砂漠のそばにある伯爵家に生まれたあなたにね!」


 すさまじい剣幕で指さすエリザベート様に、その女生徒・・・。キャリーは口ごもった。


「もしまた、あなたたちが私のクラスメイトを貶めようというなら、覚悟なさい! 私は友人のためなら実家の力を使うのもいとわない。家と家の戦いをいとわないなら、かかってきなさい!」


 エリザベート様が怒りを見せると、アルバンたちは蜘蛛の子を散らすように逃げ出していく。


 そっと溜息を吐くと、エリザベート様はこちらにやさしい笑みを浮かべた。


「アメリー。大丈夫だった? エーファも。変なのに絡まれてついてないわね。あれだけ言えばもう突っかかってくることはないかと思うけど・・・」

「いえ、助かりました。彼らの考えにはちょっと賛同できなかったですし・・・」


 私は何とかお礼を言った。助かったのは確かだけど、さっきの彼女の言動に引っかかることがあったのだ。


「あの・・・。えっと、なにかすみません。友人扱いまでしてもらって・・」


 頭を掻きながらお辞儀すると、エリザベート様は顔を真っ赤に染めた。隣のエーファは、困ったような、でも面白がるような顔をしている。


 少し、沈黙があったあと、エリザベート様は早口でまくし立てた。


「お兄さまが言っていたのよ。友人を作るには学園生活が絶好の機会だと! お兄さまは公爵令息のあのエーレンフリート様と友人づきあいをしているって言ってたし! 今回も仲良く一緒に帰ってきたそうだし! そうよね! 私たちは一緒に旅した仲だし、温泉にも一緒に入ったし! もうこれは、友人と言っても過言ではないのではなくて!」


 一気に騎に話されて、しばらく沈黙が落ちた。エリザベート様は上目づかいで私を見つめてきた。


「だめ、かな?」


 なにこれかわいい。


 いえ、エリザベート様にこんなこと言うのは失礼かもしれないけど、そのしぐさは反則的にかわいらしかった。


「駄目じゃないですよ。でもいいんですか? 私、しがない子爵令嬢でしかないんですけど」


 私が言うと、エリザベート様は安心したように微笑んだ。


「ううん。あなたがいいの。あなただけじゃなく、エーファもアーダもね。私、前に旅に出たみんなを友人だと思ってる。アメリーが受け入れてくれてうれしい」

「ふふ。やっとっていう気がするけどね。一緒に旅行までしたんだから、今更って気がするし」


 あきれたように言うエーファに、エリザベート様はますます顔を赤くした。


「いやあ、眼福眼福! まさかエリザのこんな顔が見られるとはね。討伐任務に参加した甲斐があった」

「ナデテ! いや俺も意外だったけどよ! まあいいんじゃねえ? 学園にいるときくらいは西も東もねえだろ。俺も、爵位がかなり下の奴らとも仲が良いからな」


 ロータル様はナデテをたしなめながらも、楽しそうに笑った。


 うん。そうよね。爵位とかあるからはっきり言えなかったけど、私はあの時旅した人たちやクラスメイトとは、もう友人だと思っていたんだ。まあ、コルネリウス様のように、いつもからかってくるいけ好かない人もいるんだけど。


「アメリー! 待たせたみたいだな。エリザベート様たちも。ん? どうしたんだ?」


 駆け寄ってきたのはアーダ様だった。どうやら彼女も図書館での用が済んでこちらに向かってきたらしい。後ろでハンネス先生も、優しい顔で笑っている。


 私とエリザベート様は顔を見合わせて、同時に噴出した。アーダ様は困ったような顔で私たちを見回している。


「アメリー?」


 怪訝な顔で私を見るアーダ様。何と言おうか悩んでいると、エリザベート様が笑いながら話しかけてくれた。


「なんでもないわ。私とアメリーが友人関係にあることを確認しただけよ。もちろん、エーファもカトリンも、あなたともね」


 アーダ様は目を見開いた。


「い、いや・・・。わ、私は実家にも認められてないし、素質だって、その…。高くないから」


 消え去りそうな声で下を向くアーダ様に、エリザベート様は笑いかけた。


「あら? そんなこと、友人になるのには関係がないのではなくて? 私はあなたに言っているのよ。たぐいまれな技術を持つ、努力家でひたむきな、アーダ・カーキーに。ねえ。あなたさえよかったら、私と友人にならない? もちろん、友人だからって無理なことを頼んだりしないわ。たまにおしゃべりしたり、笑い合ったりするだけでいいの。友人って、そんなものでしょう?」


 エリザベート様がそう言うと、アーダ様は下を向いて何度もうなずいた。


「ありがとう。アーダ。じゃあ、そろそろ行こうか。あんまり学園長を待たせると、後が怖いからね」


 そう言って振り返ると、エリザベート様は学園長室に小走りで駆け寄っていく。そのしぐさが照れているように見えて、私は思わず吹き出してしまった。

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