☆第3話 消えた8円
皆さんがポテトチップスを購入したのは、商店街の一角でひっそりと老夫婦が個人経営している『駄菓子屋』ですね。
地元の子供には親しまれていますが、一日に数人だけしか駄菓子を買うことがないので、売上高は年間1000万円以下です。
だから、『皆さんから受け取った消費税を納めなくていい』のですね。
つまり、駄菓子屋はポテトチップス製造会社に『消費税8円』を納め、皆さんは駄菓子屋に『消費税16円』を納め、駄菓子屋は『年間利益1000万円以下』なので、皆さんから受け取った消費税を国庫へ納めなくてもいい。
あれ、おかしいですね。動いた消費税は『16円』なのに、実際に国庫へ納められた消費税は『8円』です。
余った『8円』はどこへ消えてしまったのでしょうか。わたし、気になります。
答えは、駄菓子屋がそのまま貰っちゃいます。もちろん本来は駄目なんですけど、政府が『売上高が1000万円以下の個人事業主などは、皆さんから受け取った消費税を納めなくていい』と決めたので、駄菓子屋は『合法で』差額利益を得ることができますよね?
そして、この差額利益となる支払われない消費税のことを『益税』といいます。テストに出ますよ、ここ。
これまで日本政府はこの『益税』を見逃していました。だって、対象が小さな事業者ということは、動いているお金も小さな額なんだもん。
ですが、少し前に述べたように日本政府は『お金が足りなくて困っている』ので、これからは『益税』も納めてもらうことにしたのです。
その方法が『インボイス制度』なのです。