☆第2話 消費税、ちゃんと理解してる?
インボイス制度と最も密接に関係しているのは、もちろん『消費税』です。
ですので、インボイス制度を理解するには消費税を理解するのが一番早いです。
え? 消費税なんて基本過ぎて説明しなくていいから、早くインボイス制度の話題を、だって? まあまあ、我慢して聞いて下さいな。こっちも必死なんですから。
消費税とは、皆さんが商品を買った時に納める税金のことですね。
そういえば、令和元年には食品などの一番商品を除いて、税率が8%から10%に引き上げられましたね。生まれてから死ぬまで僕たちに関わってくる、憎き敵です。
このエッセイでは、食品に当たるため消費税率が8%のままであるポテトチップスを用いて説明しましょう。なんでポテトチップスって、そりゃ僕が好きだからですよ。
さて、皆さんが200円のポテトチップスを購入したとすると、その8%の金額である『消費税16円』を皆さんは余分に店へ払っています。そして、店が受け取った消費税は、後ほど国庫に納められることになります。
ここから、消費税のちょっと特別な性質が理解できますね。
それは、税負担者と納税者が異なるということです。ここではポテトチップスを購入した皆さんが支払い、受け取ったその税を店舗が後で国へ納めています。
つまり、『税負担者は皆さん』で『納税者は店舗』です。ちなみに、このような税負担者と納税者が異なる税金を『間接税』といいます。
この特性は皆さんも知っていたかもしれません。
ですが、次に挙げるもう一つの特性は、知らない人も多いでしょう。
それは『多段階累積控除』という仕組みを採用していることです。こんな単語、知らなかったでしょう? 潔く認めていいんですよ。
この『多段階累積控除』は噛み砕くと、『消費税は同じ商品に累積して課税されない』ということです。
例えば、店舗が製造会社からポテトチップスを100円で仕入れて、皆さんに倍の価格である200円で売っていたとします。
すると、店舗は製造者に『消費税8円』を納める、皆さんは『消費税16円』を店舗に納めていることになります。そして、その税金は後ほど国庫に納められます。
あれれ、おかしいですね。最終的なポテトチップスの値段は200円だから、消費税は『16円』のはずなのに、実際は合計『24円』も納めていますね。
ここで『多段階累積控除』が採用されます。
『多段階累積控除』は『卸時に受け取った消費税から、仕入れ時に支払った消費税の金額を控除できる』制度です。
ここでは、店舗は既に製造者へ『消費税8円』を支払っているので、皆さんから受け取った『消費税16円』の中で国庫に収めなければいけないのは『16ー8=8円』ということです。
これでちゃんとした合計額『消費税16円』を払っていることになりますね。このように『多段階累積控除』という仕組みで行える控除を『仕入税額控除』と呼びます。
でも、ポテトチップスなんかの小さな商品に掛かる税金をいちいち計算して納めるなんて面倒くさいですよね。大企業ならまだしも、小さな会社だとそんな計算でも労力になります。
そこで、政府は『売上高が1000万円以下の個人事業主などは、皆さんから受け取った消費税を納めなくていい』としたわけです。こんな事業者を『免税事業者』といいます。大切な言葉なので、覚えて下さい。