CREATURES
●ロックバンドが描くダークファンタジー。
【収録曲】
1.OWL
2.MEMORIES
3.CLONE
4.Toneless Twilight
5.Sunny Suicide
6.Man-like Creatures
7.Dark Blue Day
8.DONKEY BOOGIE DODO
9.クラムボン・インザエアー
10.Starless Coaster
11.Diamond Phillips
12.瞬きをしない猫
ストレイテナーが2010年にリリースしたアルバム。『LINEAR』『Nexus』は構成力の高さが光るアルバムでしたが、今作はさらに分かりやすくコンセプトを掲げているように思えました。一言で例えるなら「ダークファンタジー」といった感じでしょうか。冒頭を飾る『OWL』は得体の知れない怪物がうごめいているような感覚に襲われますし、続く『MEMORIES』はまるで深い森に取り残されたような寂しげで暗い雰囲気が曲全体を覆っています。その後も、途中でおどろおどろしいダンスナンバーに変化する『Man-like Creatures』や、サビで奇妙な浮遊感に囚われる『クラムボン・インザエアー』等といった楽曲が続き、影をまといつつ現実離れした世界観を見事に表現していると言ってもいいでしょう。『Toneless Twilight』や『Sunny Suicide』のような明るめの雰囲気の楽曲も、アルバムのピースとして上手く作用している印象があります。
また、今作は曲のタイトルの約半数に「生き物を表す言葉」が入っているのですが、ジャケットの雰囲気と相まって、「様々な生き物が魔法陣から次々と召喚されて、百鬼夜行のような集団が形成されていく」という印象も受けました。こういった要素が先程挙げたファンタジックな面をより強調しているようにも感じられます。
個人的には、10曲目の『Starless Coaster』で締めた方が良かったように思えますが、最後の2曲はボーナストラックのようなものと捉えればさして不自然ではないでしょう。今作のジャケットを見て「これだ」と思った方もいるかもしれませんが、彼らをよく知らない方でも、そういうちょっとしたきっかけで聴いてみるのも面白いかもしれません。
評価:★★★★★