Nexus
●ギターロックを軸に「ストーリー」を綴る一作。
【収録曲】
1.クラッシュ
2.Little Miss Weekend
3.Ark
4.Lightning
5.Magic Blue Van
6.蝶の夢
7.Black Hole
8.Stilt
9.イノセント
10.ネクサス
ギタリスト・大山純が加入して4人編成なってから初となるストレイテナーのアルバム。その影響か、前のフルアルバム『LINEAR』と比べるとギターロック寄りの楽曲が増えたように思えますが、『Little Miss Weekend』で叩き付けるようなサウンドに苛ついた感じの歌詞を乗せたかと思いきや、『Magic Blue Van』ではファンタジックで抽象的な歌詞をミドルテンポで綴っていますし、曲間が繋がっている『蝶の夢』と『Black Hole』は浮遊感のある音像が印象的。メロディもしっかりと練られており、「似たような曲ばかり」という感じはありません。もちろん、キーボードの穏やかなサウンドに低音のボーカルを乗せた『Lightning』やピアノをメインにしたバラードの『イノセント』のように「ギターロック」とは異なる方向性の曲もアルバムの流れを崩さない程度に収録されており、その手腕の高さがうかがえます。
また、冒頭の『クラッシュ』と最後の『ネクサス』の2曲の対比のさせ方も興味深く感じられました。両方ともやや速めのテンポでメランコリックなメロディを聴かせるギターロックという点では共通していますが、前者はかなり悲しげな印象であるのに対して、後者は不思議と明るさも感じられ、まるでプロローグとエピローグを上手く繋げた物語のよう。その影響か、『LINEAR』とは異なった形でアルバムを通して一つのストーリーが語られていようにも思えます。
『LINEAR』ほどのバリエーションはありませんが、程良くメリハリの付いた構成を堪能しつつ、ある種の「ストーリー」も感じ取れる一作。分かりやすく「アルバムを聴いた」という満足感を抱かせるような作品でした。
評価:★★★★★