LINEAR
●楽曲の多様性や構成から、ストレイテナーというバンドの「器用さ」が良い方向性で前面に押し出されたアルバム。
【収録曲】
1.CLARITY
2.TRAIN
3.SIX DAY WONDER
4.BIRTHDAY
5.GHOST OF CHRISTMAS PAST
6.BERSERKER TUNE
7.REST
8.LIVES
9.AFTER THE CALM
10.MARCH
今から十年以上前、ストレイテナーというバンドが着々と知名度を上げていく中でリリースされたのが今作で、そこで私は初めて彼らのアルバムを聴いたのですが、まさに勢いに乗って出された作品といった印象を受けました。
アルバムの序盤から分かりやすくその「勢い」を受け取ることができます。冒頭を飾る『CLARITY』で打ち込みのサウンドを駆使しつつメランコリックな雰囲気を見せたかと思いきや、続く『TRAIN』は歌謡曲的なメロディを聴かせるパンクナンバーになっていますし、その次の『SIX DAY WONDER』ではピアノをメインとした透明感のあるサウンドを……といった風にバリエーション豊かでインパクトのある楽曲が次々と繰り出されます。それ以降も、跳ねたリズムで進めるポップチューンの『GHOST OF CHRISTMAS PAST』やギターリフで引っ張っていく全英語詞のロックナンバーの『BERSERKER TUNE』、気だるげな雰囲気の中に「語り」が差し込まれる『LIVES』のように、曲ごとに様々な表情を見せてくれます。
焦燥感のある『AFTER THE CALM』で最後に向かって盛り上げていき、壮大で神秘的なバラードの『MARCH』で締めるという構成も見事。これにより、一見バラバラに見える収録曲群が伏線となって最後に回収されるような印象を受け、「一作のアルバム」としての作品性もしっかりと存在するように思えます。
あらゆる方向性の楽曲が収録されていることにより、バンドとしての個性がやや見え辛いところもありますが、それが気にならないほどの完成度の高さを誇るアルバム。彼らの「器用さ」がかなり良い感じで前面に押し出された作品になっているのではないでしょうか。
評価:★★★★★