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⑨疑惑

しばらくは『ふあいなる・りせったーず』としての活動をクーミンとしながら、現実世界でも二重生活を続けていた。



峯島さんにお礼も兼ねて、どこかで一杯飲みましょうという話になった。


軽い気持ちでお誘いしたのだが、政府の要人や官僚でも来そうな銀座の秘密クラブに連れて行ってくれるという。



大通りから少し路地に入って、地下へ階段で降り、入り口に「SUSPICION」というプレートのある、思い鉄の扉を開ける。



中では、須磨・まきを・雛鶴という三人のどこかで聞いたことがあるような飛び切り美人のホステスが相手をしてくれた。


「わたしたちはネエ。三人とも峯ッチの奥さんなんですよう」


峯島さんだと全く冗談に聞こえない。



「そう、あのリスト役に立ったの。それは良かった」


大きな団体が取れた話には、峯島さんはことのほか喜んでくれた。



峯島さんは相変わらず低い声でボソボソとしゃべるが、面白い話がとめどなく出て来た。



中国で10人乗りくらいの旅客機に乗った時、添乗員は補助いすとして折りたたみのパイプ椅子を用意されたとか。


中学校の修学旅行で、しおりに『あしゅら像を見て感じたこと』などとわざとらしい記載があったにもかかわらず


実は阿修羅像は展覧会で東京のその中学のすぐ近くの博物館に来ていた、という話などを


面白おかしく聞かせてくれた。



かなり酒がすすみ、酔いがまわって来た。


話すネタもなくなってきて、


『最近よく見る夢』ということで、ついクーミンたちの話をしてしまった。



「可愛い女子高生と、半分人間半分野牛の怪物と、宙に浮いてるロボの三人組でね


自分の寿命があと少しになると、転生しないかとか誘いに現れるんだよ……」



やや脚色して話したが、三人の女の子は驚き、感心して聞いていた。



少し唇の端を引き攣らせていた峯島さんは、オレの耳元で低く呟いた



「もしかして…… 見えんの? キミも」

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