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④時と世界の境界線の住人

気が付くと、バスの中と外の景色の境界線があいまいになってきて、


バスの中の人々は、運転手とバスガイドを含めて動きが静止しているにもかかわらず、バスは走り続けている。



「どうだ、麻生さん、心は決まったかな?」


「Final answer?」



おおお、ミノさんがしゃべった! だがそれどころではない。



「あ、いや~、えっと、あの~。本当にいらっしゃったんですね」


「はあん? あったり前ッショ」


「当然ばい」



招かれざる客とはこういう人?達を言うのだろう。



「実は一年前あなた方に会ってから、比較的良い事ばかりおきたというか、どちらかというと絶好調でして……」


「ああ、なんかがふっきれたんだな、よくあること」


「彼女までできちゃったんスけど」


「なああーニイーー! やっちまったなあ。死ぬかどっかに吹っ飛ばされるかの選択を迫られてんのに、アンタなにやってんの?」



いやそれがそもそも理不尽なことなんだけど。



「で、そのすっ飛ばされるってやつ。転生って言うんですかね。そうなるとどうなるんですか?」


「ああん? 転生なんてそんな生やさしいもんじゃないよ。必ずしも赤ちゃんから始める訳じゃなくて、運次第だから、例えば死ぬ5分前の老人に運悪く吹っ飛んだらそのまま死ぬってことさね」


「死ぬばい」



なんだやっぱり不毛の選択だったのか。



「あのやっぱりその、吹っ飛んだら記憶とかは無くなるんすか」


「ああ、まれに前世を覚えてる奴もいるらしいが、ほとんど記憶もすっ飛ぶな」



そうなるともう、あまり選択の余地はないようだ。



「あのそれでは仮に仲間になるとして、あなた方はどんなことをやってるんですか?」


「うーんまあ基本的には何でもやるけど、時と世界の狭間にいる窃盗団みたいなもんかな。アンタがたの世界で言うと『死神』が結構近いかな」



これもキツそうだな。



「でも記憶が残ったままでいるには、それしか無いんですよね」


「まあ、そういうことになるねえ」



オレは心を決めた。



「それでは仕方がないので、あなた方の仲間になります」


「仕方なく? 随分と上から目線だなww」


「そいが最後の選択で、よかと?」



いやそこはミノさんじゃないんかいっ!



「はい。死んだり、他の世界にすっ飛ばされるよりはましです」


「いやいやいやー、それはきっと凄ーく後悔する事になるかもよ」



クーミンさんの目が一瞬、もう何千年も生きて来たような冷たく何かを悟ったような目になって、オレは身震いを覚えた。



「それじゃ当分は見習いで役には立たないだろうから、この世界で待機してていいよ、必要な時は呼ぶから」


「はあ」


「あ、あと前も言ったけど、このことは他言無用だからね。勝手に仲間増やしたことバレたら上がうるさいから」



上?


上って言ったな今。


上司がいるのか、あるいは上部組織みたいなものがあるのか。



「それじゃまったねー」


「今後、よろしくたのむばい」


「Final answer?」



いや、今言うんかいっ!

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