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⑮ミノさんの迷宮

その後5回ぐらいふっ飛ばされて、やっと迷宮の中に入れた。



「なんか相当メンタル削られたっすよ。迷宮ではまた10回くらいやりなおしあるんすか?」


「いや、一度迷宮に入ってしまうともうリセットでは戻れない。迷宮そのものに取り込まれるだけだ」



背筋が凍った。



麻生快(あそうかい)、いいか、迷宮の改変がはじまったら、何も考えずに体を丸くして宙に浮いて意識を真っ新にしろ、少しでも何かにとらわれると、意識ごともってかれるからな」


「へ、そう簡単に言われても……」



迷宮の中を慎重にゆっくり進む。


あれクサの迷宮探査アプリも万能というほどではない。



「麻生快、もうあと30秒後だ。来るぞ!」


「ひえっ、もう来るんすか」



突然、周りの壁がクス玉のようにバカッと割れて、訳の分からない象形文字の列の様なものが流れ込んできた。


麻生快(あそうかい)、無になれ!」


オレは心電図を取ってもらう時を思い出して、体の力を抜いて無の境地に入ろうとした。


その間、自分の意識だか脳そのものだかが物凄い速さで鋭角に削り取られて行くような感覚だったがなんとか耐えた。



恐らく数十秒くらいの間のことが永遠のように長く感じられた。


「終わりだ!」


オレはいきなり床に叩きつけられ、まるでテキーラといも焼酎のボトルを一気飲みした後に難破船に乗せられたような激しい吐き気をもよおした。


「うろろろろろッ けえッ けえッ!!」


麻生快(あそうかい)、戻している暇はない、行くぞ」


その迷宮の改変は131回繰り返された。



「ついたぞ!」


体の細胞が沸騰するような感覚のままで、迷宮の中央の部屋に倒れ込んだ。


中央の部屋には、古今東西あらゆる歴史上の怪物が閉じ込められていた。



「ひ、ひどい有り様っすねー」


「蓑田王の趣味だろうな、せめてちゃんと飼ってやればいいんだけど」


通路を奥に曲がってみる。


「お、いたぞ、ミノさんの胴体だ!」


クーミンは極小の注射針のようなものを取り出した。


「なんすか?」


「これでミノさんの体のDNAを解析してあれクサに送っとけばいつでも復元できるからな」


「え、胴体を持ってくんじゃないんすか?」


「そんな余裕があればいいが…」



その時グワッシャーンとけたたましい音がして、途中の通路が塞がれてしまう。


「ああ、やっぱりワナか……」

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