⑬天空の城
「ありゃあ、すごいですね。まるで山間の雲の上に城が浮いているみたいすね」
「有名な蓑田王の『天空城』だからな。自分の権力の誇示でもあるんだろう」
天空城はオレのいた『現生』とクーミンの活動している次元の狭間に位置し、人間の歴史の時間の尺度で言えば100億年前くらいから存在していたという。
領土の境に位置してしまうため、何度も領主は変わったらしいが、少なくともクーミンが存在するようになってからはずっと蓑田王が統治しているそうだ。
「クーミン、なんでミノさんを仲間に入れようとおもったんですか」
「ああ。ちっとワタシじゃ交渉にナメられることもあったので、迫力のあるのが欲しかったのと、蓑田王とは揉め事もあったしな」
「はあ、いろいろと経緯があるんすね」
「あとワタシみたいにビジュアルが良いのと、でかくてガタイがいいのと、ロボット系がいたらバランスいいしシルエットも決まると思わない?」
そんなんで決めてんのか。
「でこの蓑田城の地下の迷宮にミノさんの本体が閉じ込められてるってわけ」
「……もともとその、意識はどうやって引きずり出したんすか?」
「あれクサが適当なフィッシング関数をぶち込んで、クラウドから引きずり出した」
なんだかわからんがあれクサ優秀だな。
「で、どういう作戦で行くんっすか?」
「作戦ってほどじゃないけどな。まずウーバーイーツの販売員を10000人城に送り込んで混乱を起こす」
「はいっ?」
「でワタシと麻生快があれクサのリモート指示で迷宮に忍び込んでミノさんを救出」
「思いっきり危険っすね」
「そうだな、ミノタウロスの迷宮は5分に一回くらい構造を変えるらしいからな」
こんな安っぽい大雑把な作戦で大丈夫なのか、おい。
「ウーバーイーツなんか戦力になるんすかね」
「戦力とは言えないかもしれんが、蓑田王もまさかいままでウーバーイーツに攻められたことはないだろ。普通の既存の兵器ではすでに対応策が構築されてしまってるだろうからな」
それなりに理にかなってるのかかなってないのかよくわからん作戦だな。