⑪弱肉強食
「エーッ! それで麻生快は私たちの事をベラベラしゃべっちゃったわけ?」
クーミンたちは白い目で見ている。
「あ、いやそれはそうなんっすけど、同業者じゃないんすか?」
「お前な、同業者って事はライバルであり、下手すっとひねりつぶされるような相手かも知れんのだよ」
「男のくせにぺらぺらとしぇからしかア!」
いやそこはジェンダーフリーで。
「もうアンタには今以上のことは一切明かさないからな、黙って働いてもらう」
「いえ、もともとそんなに教えてもらってないっすけど。っていうかまだバレたらまずいことでもあるんすか?」
「いや、もうなにも言~わないっと」
やっぱりまだ何かあるんだな。
クーミンたち二人と一体は、陰でこそこそ話をはじめた。
「ひどいじゃないすか、仲間を差し置いて密談っすか」
「こんなに口が軽いと思わなかったからな。だいたい麻生快あそうかいのほうから仲間にしてくれと提案してきたんだろ?」
「それはそうっすけど」
「この次の作戦はな、いよいよミノさんの本体を取り戻しに行くんだよ」
こんどは俺の方がド肝を抜かれた。
「本体って、ミノさんいままで実体じゃなかったんですか」
「ああ、簑田王っていうやつに迷宮に閉じ込められててな、詳しいことは説明しないが意識だけ具現化して引っ張り出してきたんだわ」
「はあーー」
「で、その遠征には危険だから麻生快を連れてくのはどーしよっかなー、と思ってね」
クーミンなりに気をつかってくれてたのかな。
でも危険なのはノーサンキューだけど。
「まあその話はおいといて、そのミネシマとかいうの、何言ってたか洗いざらい話しちまいな」
「あ、いえなんか秘密らしくてあまりなにも教えてもらえず」
「ほんっと役に立たないな。ミネシマとかいう人の方がよっぽど口が堅い」
「はあ、面目ねえっす」
だいたい峯島さんとあの店に入ってからのことは、なんか頭がぼやけて記憶も曖昧になりかけている。
「そうだ、たしか『るしふぁあ』とか言ってましたよ」
「はあ、なんだって! るしふぁあ!」
「FINAL ANSWER?」
「こいは、えらいこつタイ!」
ん? 何か変な雰囲気??