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第一話 発展の裏には俺達の頑張り。

いつもお読み下さり、ありがとうございます。


新章がスタートです。


間章で事件が発生していましたが、そちらとは関係なく真日さん達の日常は続いています。


いずれクロスすると思いますので、その時までお付き合いくださいませ。


評価、感想、ブクマは、いつでもお待ちしております。


これからも、応援よろしくお願いいたします。


m(*_ _)m


 

 〜 ダンジョン都市【幸福の揺籃(ウィール・クレイドル)】 政庁舎 〜



「マナカ、カードが足りない。それと商人がまた入居したいと言っている。審査官を派遣してくれ。」


「まーじ?なんか移民第2弾以降、勢い付き過ぎじゃない?」


 都市の行政を担う政庁舎。


 その一室、フリオールの執務室で、俺は彼女から現状の物資、財源、人員配置などの過不足を、確認している。


 そしてその現状は、というと。


「移民の第2弾の受け入れによって、更に広く情報が拡散したのだろう。商人、職人、冒険者など、迷宮の恩恵に肖りたい者達が、自ら移住を決めて訪れて居るのだ。それに伴って、王都以北より辺境に向かって、経済が活性化されている。人の流れが、此処に向かって出来上がっているのだ。」


 とのことだ。


 いやね?

 喜ばしいことだとは思うよ?


 事実俺達の街の人口も、最初の1000人から一気に膨らんで、今では1万に達する勢いだ。


 街には商店も増え、通りには人がいつも行き交っている。


 爆発的な発展。


 しかしそれは、嬉しいことばかり起きる訳ではなかった。


「砦の関所は連日のように大行列。審査で弾かれた奴のクレームやら、滞在から住民登録に変更する奴らの登録審査、新しい居住区の開発……執政側が圧倒的に足りてねぇ……」


 元々は街の仕切りは完全に王国に委ねるつもりだったというのに。


 それがどうしたことか、俺は連日駆り出され、配下の魔物達も駆使して行政の補佐に奔走している。


「無責任なことを言うんじゃない。それとも何か?審査の基準を緩和してでも、休みが欲しいか?」


「うぐ……」


 痛いところを突かれる。


 現状での住民登録の際には、俺の配下の【(さとり)】達が、審査に同席している。


 性向値である程度の悪人は弾けるとしても、心の内でしょうもないことを企んでいる奴や、悪意無く悪に手を染める輩も居る。


 そんな奴らを警戒するため、心を読む能力を持つ妖怪【覚】を、俺は連日産み出している。


「実際覚達のおかげで、人が増えても治安を乱そうとする輩は居らん。関所と役所の人員として人手も欲しい。必要なことではないか。」


 今や産み出した覚の数は、100体を超える。


 その全てに【読心】、【人化】のスキルを持たせ、更に仕事を熟すだけの知恵と器用さ、防衛のための武力を持たせなければならない。


 日に4体、また他の分野でも人員の足りない所を、俺の固有スキル【魔物創造】で産み出した配下に手伝わせている。


 おかげで、俺の魔力は連日枯渇状態だ。


 俺の魔力がだぞ?


 まあ、魔力トレーニングにはなるけどさ。


「覚の数は充分だろ?あとはどいつが必要なんだ?」


 覚の他にも、多数の配下を産み出している。


 例えば、街の拡張などに力のある鬼を派遣したり、宿や飲食店、商店などの臨時スタッフとして猫又などの人とコミュニケーションが取れる者を宛てがったり。


 人が増えても、働き手が即座に、充分に賄えるわけじゃないからな。


 全部ダンジョンの権能でやってしまっては、住民のためにもならないし。


「要所の番人を配下に頼むことは可能か?現状では警備隊の数も足りていない。最大限動けるよう、人員が増えるまではそちらを任せたい。」


 重要施設の門番か。


 確か、都市警備隊の100人の中から、ローテーションで人員を割いて配置してたんだよな。


 そこに必要なのは、不審者をその場で停める洞察力と武力か……


「そこも覚の出番だな。覚と鬼のペアをそれぞれ配置しよう。それで良いか?」


 実際、【読心】スキルはかなり有用だ。

 それを持つ覚と、武力に優れた鬼が門番になれば、強盗だろうがなんだろうが、文字通り門前払いにできるだろう。


「それでいい。詳細はレティシアに聞いてくれ。よろしく頼むぞ。……ふぅ。」


「お前もお疲れだな。休憩するか?」


 フリオールが頬杖を突いて溜息を漏らす。


 執務机の上は書類が山を作っている。


 うん、俺なら開始10分で夢の中だな。


「いや、ただでさえ午後に息抜きをさせてもらっているのだ。皆が働いている以上、我ばかり楽はできん。」


 フリオールが言う午後の息抜きとは、我が家のお茶の時間のことである。


 コイツ、どんなに忙しくても、その時間にはキッチリ顔を出すからな。


 まあ、マナエのお菓子目当てだろうけど。


「そか。まあ、無理だけはすんなよ。俺はレティシアのとこ行ったら、一旦家に戻って各地の確認とかしてるから。用が有ったら通信で呼んでくれ。」


「ああ。いつも力を貸してもらって、済まぬな。」


 そんな殊勝なことを抜かすフリオールに、俺は肩を竦めて見せる。


「何を今更。最初の出会いからずっと、俺達は一蓮托生のパートナーだろ?遠慮すんなよ。」


 そんな俺の言葉に顔を赤くするフリオールに苦笑しながら、俺は執務室を後にした。




 〜 都市警備隊 兵舎 〜



「次の者、どうぞ!!」


「はっ!参ります!」


 熱気に溢れた訓練場。


 そこでは、レティシアが兵達を相手に乱取り稽古をしていた。


 今は1列に並んだ兵達を、一人一人順番に相手取って打ち合っている。

 聞くところによると、これが終わると今度は複数相手の稽古に移るらしい。


 レティシアめ。

 やけに体力が付いてきたと思ったら、こんな稽古をしてたのか。


 うん、1回やられた兵達が、また列の最後尾に並び直してる。

 兵達もだけど、レティシアも大概タフだなぁ。


 まあ、打ち合い自体は2手、3手くらいで決着は着いてるけど。


「5分休憩の後、5人組です!一旦解散!」


「「「「はっ!ありがとうございました!!」」」」


 ざっと【鑑定】して観たところ、兵達のレベルは軒並み高い。

 大体、25〜35レベルくらいで揃っている。


 まあ、レティシア自身がLv50を超えたからなぁ。


 格上とこんだけ濃密に訓練してれば、そりゃレベルも上がるか。


「マナカ殿!いつからいらしてたのですか!?」


 訓練場の隅で見学していた俺の下へ、レティシアが走って来る。


 まだまだ元気いっぱいだなぁ。

 若いっていいなぁ……俺は0歳だけど。


「お邪魔してるよ。警備体制のことで、相談に来たんだよ。フリオールから言われてね。」


 此処に来た理由を、簡潔に伝える。


「おお!態々足を運んでもらって、すみません!ありがとうございます!」


 きっとレティシアも困っていたんだろう。

 花が咲いたような笑顔で、そう礼を言ってくる。


「でも、訓練の邪魔をしちゃ悪いよな。出直そうか?」


 俺は、訓練場でそれぞれに身体を休めている兵士達を見回して、そう提案したのだが……


「いえ!もしマナカ殿さえ良ければなんですが、良かったら兵達に稽古を付けてもらえませんか!?彼等も、師匠のことを気にしているみたいなので!」


 ええ〜……


 確かに先程から、チラチラと俺に好奇の目が注がれている気がしてはいた。


 でもレティシアさん、この視線さあ、どうにも敵意が混ざってる気がするんだけど……?


「ま、まあ、稽古自体は構わないんだけど……」


「おお!ありがとうございます!では、早速!」


 おおう。

 俺の心配そうな心細い顔は、どうやら気付いてもらえなかったようだ。


 俺はレティシアに手を引かれ、訓練場の中央へと連れて行かれる。


 うん、やっぱり。

 レティシアと手を繋いだ瞬間、視線に混じる敵意が一気に膨らんだよ。


「皆さん、集合してください!」


 レティシアの号令に、休んでいた兵達が整列する。


 うん、見事な練度だね。

 俺に一斉に敵意を向けてきて、息もバッチリ合っているね!


「紹介します!私の師匠にして、この迷宮の主である、マナカ殿です!本日特別に、皆さんの鍛錬の成果を観て頂けることになりました!マナカ殿、形式はどうしましょうか?」


 レティシアが俺の紹介をしてくれ、訓練形式を訊ねてくる。


 ふむ……


「君らは基本的に、多人数戦が主になるだろう?レティシアとも、1対1の後は5対1で訓練してると聞いている。だからそうだな……5人組の2組ずつとやろう。隊同士の連携を、この機会に試してみてくれ。」


 わーお。

 一気に吹き荒れる敵意の嵐よ。


 別に間違ったことを言ったつもりも、自惚れのつもりもないけどなぁ。


「なるほど!確かに隊同士の連携は、実戦に於いては必須ですね!聴きましたね皆さん!5人組を作り、2組ずつ挑んでください!」


「「「「はっ!死力を尽くします!!」」」」


 いや、訓練だからね!?

 そんな死ぬ気で来られても、怖いんですけど!?


 結局その後、脱落によって5人組が作れなくなるまで、俺1人対兵士達の稽古は延々と続いた。


 やけに粘るなーって思ってたら、誰かが告げ口しやがったのか、非番の連中まで続々と参加して来て、訓練場は死んだように転がる兵士達で溢れてしまった。


「皆さん、お疲れ様でした!今日の訓練の反省を、それぞれで話し合っておいてください!非番で参加した者も、折角なので一緒に反省会です!」


「「「「はっ!喜んでぇー!!!」」」」


 うん、コイツら変人だわ。

 そんなヘロヘロで喜んでんじゃねえよ!


 訓練場を後にして、俺はレティシアの執務室にお邪魔した。


 目的は勿論、警備体制の変更に関する相談をするためだ。


 結局のところ、フリオールに提案したように、警備員として各施設に、鬼と覚のペアを配置することで決定。


 都市警備隊のシフト案を練り直してから、施設警備は俺の配下に任されることとなった。


「いやあ、ありがとうございます!これで都市の治安維持に、より人数を割くことができます!」


「ああ、それは構わないよ。というか、警備隊員の募集もしてるんだろ?集まらないのか?」


 都市の人口は爆発的に増えている。


 そんな増えた住民の中には、腕っ節に自信のある人もいくらかは居る筈だ。


 そんな人達の中には、安定した収入を得られる警備隊という職場に、興味を持つ人も多少は居るんじゃないだろうか?


「募集は掛けてますし、実際に入隊希望の者も居ます。ただ、講習と訓練に時間が掛かってますから……」


 そうか。


 知識と力と役割を持って産まれる俺の配下と違って、人間の新人職員には、現場に出るための研修期間が必要だったな。


「そりゃそうか。変なこと聞いちゃったな。まあ、将来的に人員が増えるってんなら上々か。」


 何はともあれ、方針は決まった。


 俺はレティシアにも無理をしないよう言い、警備隊の兵舎を後にしたのだった。




 〜 ダンジョン【惑わしの揺籃】 六合邸 〜



 だいぶ様変わりした俺の家の敷地を見回す。


 正面には俺の庭付きの家が在る。

 それは変わらない。


 その家の近くに、新たに建物が増えている。


【保護療養所】。


 この施設を創った理由は、盗賊団によって奴隷にされ、心に深い傷を負った女性達を保護し、社会復帰出来るよう療養、訓練するためだ。


 それ以外にも俺が冒険者として、各地から保護した人達の一時保護のための施設として、活用している。


 新たに保護された人達の世話をすることで、療養中の彼女達に人との触れ合いや、仕事の技能を身に付けさせる目的も有る。


 実際に成果は出始めており、当初26人居た女性達の内、2人は身の上を思い出し、故郷へ帰った。


 更に4人は家事の技能を積極的に修め、働きたいと言うので孤児院の職員として、住み込みでマリーに預けてある。


 残ったのは20人だが、家事は一通り熟せるようになったし、コミュニケーションも普通に取れる。


 ただ、まだ俺達から離れるのが不安なのか、傍に仕えたいということで、引き続きこの施設で、訓練がてら働いているという訳だ。


「マスター、おかえりなさいませ。」


 そんなことを考えていると、俺の帰宅に気付いたのか、庭先の門からアネモネが出て来る。


「ただいま。変わりは無い?」


 俺はそんな彼女に返事を返し、確認を取る。


「保護された方達にお変わりはありません。訓練生達も同様です。あとは各地の支配下のダンジョンですが……」


 なんかあったのかな?


 俺は外界での移動手段のために、各地のダンジョンを支配下に置いている。


 ダンジョンコアかダンジョンマスターを支配して、俺のダンジョンへの転移施設を設置しているのだ。


 今支配下に置いているのは……6箇所だったかな?


 何れも、俺の冒険者としての身分であるCランクで入場可能な、小〜中規模のダンジョンだ。


「ただ今、マナエやアザミ達がコア通信で対応しているところです。マスターが参加した方が、話は早いかと。」


 なんだろう。


 処遇改善とかだったら面倒だな。

 福利厚生をしっかりしろ!とか。


 っていうか、基本的に転移に使うだけで、それ以外は好きにさせてるんだけどなぁ。


「分かった。とりあえず、話し合いとやらに参加してみるよ。」


 そう言って、俺はアネモネに続いて、我が家へと帰宅したのだった。





兵士D「あの男が、マナカ殿……レティシア隊長の師匠だったんだな。」


兵士E「納得の強さだったよな。俺達10人掛かりでも、魔法すら使わなかったもんなぁ。」


兵士F「体術も、極めればあそこまで強くなれるんだな。」


兵士B「でも、隊長はマナカ殿に魔法を使わせられるらしいぞ?」


兵士D「マジかよ!?ってことは、隊長はアイツが魔法を使わなきゃ勝てないってことか?!」


兵士F「流石は俺らの【剣姫】だな!惚れ直したぜ!」


兵士B「いや、別に俺らのって訳じゃねえだろ。だいたい隊長のあの顔見ただろ?マナカ殿が見学してるのに気付いた時の。」


兵士E「……嬉しそうだったなぁ。花が咲いたって言うの?」


兵士D「乙女の顔……だったな……」


兵士F「かわいかった。」


DEF「「「許せん!!」」」


兵士B(やば。こいつらもAとCの同類かよ!ウケる!!)


兵士D「ボサっとするな!今日は素振り1000本追加でやるぞ!」


兵士E「おお!【剣姫】を俺らの下に取り返すんだ!」


兵士F「やあってやるぜっ!!!」


兵士B「ちなみに、隊長はそのマナカ殿の家に身を寄せて、一緒に暮らしてるらしい。他の女性達と。」


DEF「「「次はコロス!!!」」」


兵士B(やばいおもろ!!今度はどんなネタをぶっ込むかなぁ。)



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― 新着の感想 ―
[良い点] 六合氏、無茶なことをやっとる……
[良い点] 第一王女の悲惨で無残な醜態の自然さ 第一王女は無能です。 代官として、王族として、王国に対する責任を果たせていません。 今なんとかなっているのは主人公が限界まで尽力して必死に尻ぬぐいして…
[一言] 兵士Bさんの悪巧みですね。
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